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ビートルズ「Come Together」の原点は選挙のスローガン? 50周年を迎える『Abbey Road』収録曲の裏話

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選挙戦のスローガンという意外な原点を持つ「Come Together」は、最も印象的なビートルズ・ナンバーのひとつとして進化していった。


ジョン・レノンによって書かれた「Come Together」は、『Abbey Road』の印象的なオープニング曲だったかも知れないが、実際にはザ・ビートルズが最後に取り組んだ作品のひとつでもある。1969年1月に行われた「Get Back」のセッション時にグループに初めて披露された『Abbey Road』のアルバム収録曲とは異なり、「Come Together」は『Abbey Road』制作中に書かれたものだった。

The Beatles – Come Together (2019 Mix / Audio)

 

意外な原点

曲の原点は、アメリカの意外な選挙スローガンと関係していた。ティモシー・リアリーと言えば、“ターン・オン、チューン・イン、ドロップ・アウト(薬でスイッチを入れよ!波長を合わせよ!社会に背を向けよ!)”の名言で知られるLSDの推奨者であり、サイケデリック体験の先導者として有名になりすぎてしまったために、リチャード・ニクソンに“アメリカで最も危険な男”と名づけられたほどの人物だ。

ジョンとヨーコがアムステルダムでのハネムーン後に行なった平和を訴えるイベント“ベッドイン”。このために滞在していたモントリオールのホテルの部屋で行われた「Give Peace A Chance」のレコーディングでは、ティモシー・リアリーはコーラス担当のひとりとしてベッドの足元に座っただけでなく、曲の歌詞にも登場している。

ティモシー・リアリーはジョン・レノン同様、キャッチーなスローガンの持つ力を理解していた。ロナルド・レーガンの対立候補として、カリフォルニア州知事選に出馬する決意をした彼は、自身のキャッチフレーズ“カム・トゥゲザー、ジョイン・ザ・パーティー”を基に曲を書いてくれないかとジョンに依頼した。これを快諾したジョンは、その場でテープに録音し、その曲はその後アンダーグラウンド・ラジオ局で流された。

 

「だってあんな曲は選挙のキャンペーンには使えないでしょう?」

「自分を騙したと、何年も経ってからリアリーに非難されたんです。実は「Come Together And Join The Party…」という短いものも書いてあったんですが、そっちはそれ以上膨らむことはなかった。それにその後彼らに二度と曲を頼まれることはありませんでした。僕は彼を騙してはいない。彼の為に曲は用意してあったから」とレノンは1980年のプレイボーイ誌のインタビューの中で語っていた。ザ・ビートルズのために書いたこの曲について、ジョン・レノンは「そもそも出来上がった‘Come Together’は、リアリーの役には立たなかった。だってあんな曲は選挙のキャンペーンには使えないでしょう?」と当時を振り返った。

ジョン・レノンの話に対してティモシー・リアリーはこう主張した。「新たなヴァージョンは間違いなく僕のキャンペーン・ソングの音楽と歌詞を改良したものでしたが、ジョンがああやって僕を蔑ろにしたことには少し腹が立った。僕がジョンに丁重に異議を唱えた時、彼はジョン・レノンらしい愛嬌と機知で、“自分は仕立屋で、僕のことをスーツを注文したのに取りに戻って来なかった客だ。だから自分はそのスーツを他の客に売ったんだ”って言ったんです」。

 

「僕はじめっとした感じでやってみないかと提案した」

『Abbey Road』のオープニング・トラックが育まれていった経緯には、他にもある意外な要因が絡んでいた。確かにティモシー・リアリーは自分のスローガンを奪ったとジョン・レノンを非難したが、彼の主張とは比べものにならないほど、この曲に弾みをつけることになる盗作疑惑が他に勃発した。

ポール・マッカートニーが「Come Together」の原型は彼等の若い頃のヒーローのものに酷似していることに気づいたのだ。「彼が最初に持ってきたのはとても快活な曲で、私はチャック・ベリーの‘You Can’t Catch Me’にとても似ていると彼に指摘したんです。ジョン自身もそのことは認めていた。だから僕は“じゃあ、そこから抜け出すために何か出来ないかな?”と言って、“じめっとした感じでやってみないか”と提案したんです。そう“じめっとした”って言った。そこから徹底的にやりこんだ」

You Can’t Catch Me

 

The Beatles – Come Together (Take 5 / Audio)

 

法的な争いを解決するために、ジョン・ジョンは自身のアルバム『Rock’n’Roll』にチェック・ベリーの「You Can’t Catch Me」のカヴァーをレコーディングした。彼曰く、「‘Come Together’はチャック・ベリーの昔の曲を少しだけ参考にしながら書きました。‘オールド・フラット・トップがやって来る’という一節を残しておいたんです。実際はチャック・ベリーの曲とはまるで違うけど、何年か前に一度、チャックから影響を受けていることを告白したこともあって、彼等に訴えられてしまった。‘オールド・アイアン・フェイスがやって来る’に変えてもよかったんですが…とにかくこの曲はチャック・ベリーやもしくはこの地球上の誰とも一切関係ないんです」

ペースを遅くし、よりファンキーなグルーヴを持つ曲に仕上がった「Come Together」を、バンドは1969年7月21日から始まり計6回に及んだ『Abbey Road』のセッション時にレコーディングし、10月6日にシングルとしてリリースした。曲の成功の秘訣はそのシンプルさにある。しっかりとした演奏は、間違いなく“じめっとした”ファンキーさを帯びている。

ジョン・レノンは1980年のプレイボーイ誌のインタビューでこう明かしている。「これはファンキーな曲で、僕が一番好きなビートルズ・トラックのひとつであり、僕が一番好きなレノン・トラックのひとつでもある、と言っておきましょう。ファンキーだし、ブルーズっぽいし、僕の歌もいい出来。曲のサウンドそのものが気に入ってます。一緒に踊ることも出来ますし、僕なら買うね」。

Written By Paul McGuinness


『Abbey Road』50周年記念エディション:フィジカル6形態とデジタル配信にて発売

①4枚組スーパー・デラックス・エディション
②2CDデラックス
③1CD
④3LPデラックス・エディション
⑤1LP
⑥カラー1LP
デジタル/ストリーミング
の各フォーマットで発売。

全てのフォーマットの購入はこちらから

The Beatles ABBEY ROAD Anniversary Editions – Unboxing

①スーパー・デラックス・エディション
<3CD + 1ブルーレイ(音源のみ)収録、100p豪華本付ボックス・セット>
英文ライナー翻訳付/歌詞対訳付
<輸入国内盤仕様/完全生産盤>
価格:12,800円+税 / SHM-CD仕様

CD1: ジャイルズ・マーティン&サム・オケルによるニュー・ステレオ・ミックス
CD2&CD3: セッションズ/「i Want You」を筆頭に、レコーディングされた日付順に23曲収録
ブルーレイ(音源のみ): ドルビー・アトモス、5.1 サラウンド、ハイレゾ・ステレオ・ミックス

②2CDエディション<期間限定盤>
英文ライナー翻訳付/歌詞対訳付
デジパック仕様 / 40ページのブックレット付
価格:3,600円+税 / SHM-CD仕様

CD1: ジャイルズ・マーティン&サム・オケルによるニュー・ステレオ・ミックス
CD2: セッションズ/オリジナルのアルバムの曲順通り収録

③1CD
英文ライナー翻訳付/歌詞対訳付
価格:2,600円+税 / SHM-CD仕様

④3LPデラックス・エディション
<直輸入盤仕様/完全生産限定盤>
3枚のLP入り限定盤ボックス・セット / 4枚のインサート付
英文ライナー翻訳付/歌詞対訳付
価格:11,000円+税

LP1: ジャイルズ・マーティン&サム・オケルによるニュー・ステレオ・ミックス
LP2&LP3: セッションズ/「アイ・ウォント・ユー」を筆頭に、レコーディングされた日付順に23曲収録

⑤1LP
英文ライナー翻訳付/歌詞対訳付
価格:4,000円+税

⑥カラー1LP
限定盤ピクチャーディスク仕様
英文ライナー翻訳付/歌詞対訳付
価格:4,600円+税


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