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音楽界の古参バンドたち:老いや時間の法則に逆い今も活動している数々のグループ

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Photos: Andy Vella (The Cure), Capitol Records (The Beach Boys), Rick Guest (The Who), courtesy of the artist (Def Leppard, The Rolling Stones)

ニール・ヤングは「My My, Hey Hey」にて「It’s better to burn out than to fade away / ゆっくり消えていくよりも、燃え尽きた方がいい」と歌った。だが時として、そのどちらにも当てはまらないバンドが現れる。

音楽界の古参バンドに焦点を当てたこの記事を通して、私たちはいまや文化の一部となっているグループの数々を称えたい。彼らは力を合わせて、難局や時代の流行の変化を乗り越えてきた。そうして彼らは、熱心なファンを何十年も繋ぎ止めることに成功してきたのである。

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メタリカ(結成年: 1981年)

息の長いバンドが少ないメタル界にあって、長年に亘り活躍し続けているメタリカはいまでも自己変革に余念がない。彼らのアルバムがいまでもプラチナ・ディスクになるのは、そのおかげでもあるのだ。

特にベーシストのクリフ・バートンがこの世を去ってからは過渡期といえる時期も過ごしたが、2003年にロバート・トゥルヒーヨが加入したあとラインナップは変わっていない。

Metallica: Ride the Lightning (Mexico City, Mexico – September 22, 2024)

 

ラジエーターズ(結成年: 1978年)

1978年以降のニューオーリンズを訪れたことのある人なら、誰でもこのバンドを知っているはずだ。ラジエーターズは有名なライヴ・ハウスであるティピティーナスや、同地の名物イベントであるジャズ・フェストには欠かせない存在となっている。そしてその間、メンバー構成は一度だけしか変わっていないのだ (パーカッショニストが加入し、のち脱退) 。

2010年には解散を宣言したが、以降も彼らは毎年ステージに立っており、その長い活動期間はいまも途絶えていない。

The Radiators – Like Dreamers Do

 

デフ・レパード(結成年: 1977年)

英国ハード・ロック界のレジェンドであるデフ・レパードは、その不屈の精神だけを評価してもこのランキングに相応しいグループだ。というのも彼らは、ギタリストのスティーヴ・クラークの死と、ドラマーのリック・アレンの片腕の切断という、人気の絶頂における二つの悲劇を乗り越えてきたのだ。

彼らはこれまで多くのことを成し遂げてきたにもかかわらず、そのラインナップは40年に亘ってほとんど変わっていない。1982年にギタリストのピート・ウィリスが脱退して以来、死別を除けばメンバーは一人もグループを離れていないのだ。

"Pour Some Sugar On Me" Live at iHeartRadio Festival 2019 – Def Leppard

 

U2(結成年: 1976年)

常に固い絆で結ばれたU2のメンバー構成は、1978年を最後に変わっていない。その年、ジ・エッジの兄であるディック・エヴァンスがグループにリズム・ギターは不要だと悟り、ライヴの途中でステージを降りたことで不動のラインナップが固まったのである。

U2 – Vertigo (Live From Chicago, 2005)

 

マッドネス(結成年: 1976年)

スカ/ポップ界のベテランであるロンドン北部出身のマッドネスは、大ヒット・シングル「One Step Beyond」と同名のアルバムを1979年にリリースして以来、いまも逞しく活動を続けている。6人のメンバーの顔ぶれはその当時のままで (あとから加入したダンサーのカサル・スミスは現在では脱退) 、彼らは英国音楽シーンきっての古参バンドであり続けている。

Madness – One Step Beyond (Official 4k Video)

 

キュアー(結成年: 1976年)

ロバート・スミス率いるこのグループは、おそらくこのリストのほかのどのバンドより多くのメンバー変更を経験している。だが、キュアーにとって重要なのはラインナップではなく、その精神 (もちろん、それはダークで謎めいた精神だ) であるはずだ。

それゆえ、スミスをはじめとする現在のメンバーたち (実のところ、ベースのサイモン・ギャラップが復帰したことで、初期のメンバーの2/3が揃っていることになる) が、グループの40周年を記念して新旧のレパートリーを披露し、2024年には新作アルバムの発売も発表している。

THE CURE – JUST LIKE HEAVEN (40 LIVE – CURÆTION-25 + ANNIVERSARY)

 

アイアン・メイデン(結成年: 1975年)

ニュー・ウェーヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル (NWOBHM) の先駆的グループであるアイアン・メイデンは、長年に亘る輝かしいキャリアの中で1億枚以上のアルバムを売り上げてきた。

彼らはブルース・ディッキンソンのオペラ歌手さながらの歌声を完璧に引き立てる歌詞を書き、ロック・ミュージックをよりヘヴィなものへと変容させた。そして何より、彼らは現在でも衰えることのない勢いで活動を続けているのだ。

Iron Maiden – The Trooper (Official Video)

 

イーグルス(結成年: 1971年)

「Hotel California」の大ヒットで知られるこのグループは、何度かの解散と再始動を経ながら現在も活動を続けている。彼らは世界屈指のセールス記録を保持していることからも、改めて実力を証明する必要はないはずだ。それでも彼らはドン・ヘンリーとジョー・ウォルシュを中心に、いまでもツアーを開催して観客たちを楽しませている。

Eagles – Hotel California (Live 1977) (Official Video) [HD]

 

ZZトップ(結成年: 1969年)

テキサス出身のこのバンドは、なんと約半世紀に亘って同じラインナップを維持してきた。その間、彼らはメンバーの加入や脱退を一度も経験しなかったのである。確かに、ビリー・ギボンズがZZトップとしての最初のシングルを制作したとき、残りの二人のメンバーは別の人物だった。だが1970年からは、ギボンズ/ヒル/ビアードの三人で変わらず活動を続けてきた。

これによりZZトップは、ポピュラー音楽史上もっとも長い期間同じメンバー構成で活動しつづけたグループとなったのだ。あの顎髭にはきっと何らかの魔力があるに違いない。

ZZ Top – I Gotsta Get Paid

 

ニール・ヤング&クレイジー・ホース(結成年: 1969年)

ニール・ヤング&クレイジー・ホースが解散したことはないが、彼らには何度かの長い休止期間があった。ニール・ヤング、ビリー・タルボット、ラルフ・モリーナという三人の中心メンバーは1969年から在籍。

Neil Young & Crazy Horse – Phoenix, AZ April 27, 2024 (Entire show multicam)

 

リトル・フィート(結成年: 1969年)

リトル・フィートは創設者であるローウェル・ジョージの死をきっかけに解散状態となっていたが、1987年にツアー活動を再開。その際、彼らは”いい加減な一度きりの再結成”などではないとステージ上で宣言した。そして、その言葉は至って真剣だった。

のちに彼らはドラマーのリッチー・ヘイワードを失ったが、それでも『Dixie Chicken』制作時の残る四人のメンバーはいまもグループにおり、息の長い活動を続けているのだ。

Little Feat – Rock and Roll Doctor (Live In Holland 1976)

 

ディープ・パープル(結成年: 1968年)

英国ハード・ロック界でもっとも息の長いグループであるディープ・パープルには現在も、1971年に「Smoke On The Water」を録音したときのメンバーの3/5が在籍している。特に、イアン・ペイスは称賛されるべき人物だ。彼はドラマーとして過小評価されているだけでなく、パープルのすべての時代のラインナップに名を連ねる唯一のメンバーなのである。

なお、彼らが現在行っているツアーを見に行けば、すべての始まりとなった1968年のヒット曲「Hush」を最後に聴けるかもしれない。

Deep Purple – Smoke On The Water (Live from Montreux 2007)

 

パーラメント/ファンカデリック(結成年: 1968年)

ジョージ・クリントンがどちらの名称を使用しようが、どんなメンバー構成だろうが、このバンド (厳密に言えば、50年代にパーラメンツが結成されたときにその歴史はスタートした) のファンキーな精神は不滅である。それは、ヒップホップの領域に足を踏み入れた近年の実験作にも言えることだ。クリントンが引退したいま、Pファンクの未来は不透明だが、きっとまた宇宙のどこかに”母船”が現れることだろう。

Mothership Connection (Star Child)

 

ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター(結成年: 1967年)

プログレ・バンドには頻繁なメンバー・チェンジがつきものだ。そのため、イエスやキング・クリムゾンのラインナップの変遷を整理するのは悪夢のような作業だろう。

だがヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターの近年のツアーや、2016年のアルバムに参加しているのは、60年代後半のグループの中心メンバーたちである。ピーター・ハミル、ヒュー・バントン、ガイ・エヴァンスから成る現在のバンドは、かつてないほど濃密な演奏を披露してくれている。

Van Der Graaf Generator – Wondering

 

フェアポート・コンヴェンション(結成年: 1967年)

イングランド初の偉大なフォーク・ロック・バンドであるフェアポート・コンヴェンションは、常にグループとして纏まることで個々の総和より大きな力を発揮した。そのためか初期からメンバーの出入りは激しく、1968年のデビュー作と1973年の『Rosie』では共通するメンバーが一人もいないほどだったが、どちらの作品にも紛れもないフェアポートらしさがある。

結成から50年以上が経ったいまも、彼らは復帰して久しい創設メンバーのサイモン・ニコルや、初期に加わったデイヴ・ペッグを中心に活動を続けている。

Meet On The Ledge

 

シカゴ(結成年: 1967年)

幾度となくラインナップが変わってきたことを考えれば、シカゴが息の長いバンドとしてこのリストに入っているのは意外に思えるだろう。だが2019年時点で、七人の結成メンバーのうち四人がグループに正規メンバーとして在籍している。その四人とはロバート・ラムと三人のホーン奏者たちだが、近年のステージではホーン隊に代役が立てられるようになっている。

Chicago – You're the Inspiration (Official Music Video)

 

モンキーズ(結成年: 1966年)

テレビ番組のために一から作り上げられたグループであることを考えれば、モンキーズの活動期間の長さには驚かされる。ミッキー・ドレンツ、マイケル・ネスミス、ピーター・トーク、そしてイギリス人俳優/シンガーのデイヴィー・ジョーンズから成るオリジナル・メンバーは、米NBCのコメディ・ドラマ『The Monkees (ザ・モンキーズ・ショー) 』 (1966年〜1968年) に登場する60年代のポップ/ロック・バンドとして誕生したのだ。

だが60年代の黄金期 (及び80年代のリヴァイヴァル・ブーム) が過ぎたあとも、グループは断続的に活動を続けてきた。現在も、存命のミッキー・ドレンツとマイク・ネスミスが再び手を携え、モンキーズの音楽を演奏する特別なツアーを行っているのだ。

The Monkees – Daydream Believer (Official Music Video)

 

ヴァニラ・ファッジ(結成年: 1965年)

ヘヴィ・メタルを発明したグループとも言われ、史上屈指に奇妙なコンセプト・アルバム (『The Beat Goes On』) を制作したことでも知られるヴァニラ・ファッジは、何度かの解散を経ていまも存続している。1967年当時のラインナップで現在の活動に唯一参加していないのは、ベーシストのティム・ボガートのみである。

You Keep Me Hangin' On

 

カウシルズ(結成年: 1965年)

きょうだいに”解散”という概念はない (だが残念ながら、カウシルズのメンバーのうち三人はすでにこの世を去っている) 。カウシルズは現在もボブ、ポール、スーザンから成るグループとしてかつての美しいハーモニーを披露し (六男のジョンはビーチ・ボーイズのサポート・メンバーを務め、マイク・ラヴとブルース・ジョンストン率いるグループでヴォーカルとドラムを担当している) 、60年代リヴァイヴァルの界隈に爽やかな風を吹かせている。

The Rain The Park And Other Things

 

ムーディー・ブルース(結成年: 1964年)

70年代の一時期は活動を休止していたが、ムーディー・ブルースはロック・バンドとして史上屈指の活動期間を誇る。そんな彼らのもっとも有名なスタジオ・アルバムと言える作品は、「Nights In White Satin (サテンの夜)」も収録された『Days Of Future Passed』である。オリジナルメンバーは全て鬼籍に入ったが、ジョン・ロッジがその音楽を受けついでツアーを行っている。

The Moody Blues – Your Wildest Dreams

 

ザ・フー(結成年: 1964年)

1964年の結成以来、ザ・フーは活動の休止、メンバーのソロ活動、ドラマーのキース・ムーンの死という悲劇など様々なことを経験してきた。だがそれでも、シンガーのロジャー・ダルトリーとギタリストのピート・タウンゼントはいまも精力的に活動している。

さらに彼らは、最古参のグループの中でも特別なある記録を保持している。それは、正式な”解散ツアー” (1982年のことだった) を行ったあとでもっとも長く活動していることである。おそらく、この先数年もまだ「Baba O’Riley」の演奏を聴き続けられることだろう。

The Who, Isobel Griffiths Orchestra – Baba O’Riley (Live At Wembley, UK / 2019)

 

ディキシー・カップス(結成年: 1963年)

女性ヴォーカル・グループの全盛期におけるニューオーリンズという都市の功績は、名曲「Chapel Of Love (愛のチャペル)」を世に送り出したことである。三人のオリジナル・メンバーのうち二人 (バーバラとローザ・リーから成るホーキンス姉妹) はいまも現役で活動しており、三人目のメンバーにはアセルグラ・ネヴィル (彼女の兄弟も同地の有名グループとして活躍) が加わっている。

Chapel Of Love (Mono / Remastered 2022)

 

ビーチ・ボーイズ(結成年: 1962年)

ビーチ・ボーイズのいない世の中など悲しくて想像もしたくないが、1962年からいままで私たちはその心配をしなくて済んでいる。彼らの歴史は入り組んでいるが、常に何らかのラインナップでグループは存続してきたし、現在では二つの選択肢が存在している。

一つはマイク・ラヴが長年の相棒であるブルース・ジョンストンとともに率いる公式のビーチ・ボーイズ。もう一つはブライアン・ウィルソンのソロとしてのバンドだが、こちらにも彼とアル・ジャーディンという二人のオリジナル・メンバーが在籍している。

The Beach Boys – Sloop John B

 

ザ・ローリング・ストーンズ(結成年: 1962年)

ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、チャーリー・ワッツ、ロニー・ウッドから成る彼らは、いくつもの意味で不死身のロック・バンドといえる。彼らが波乱に満ちたキャリアを送ってきたことを考えれば、その活動期間の長さには驚かされるばかりだ。

このバンドには1962年の結成当時のメンバーが現在も2人在籍しているほか、新顔であるロニー・ウッドも加入してからすでに数十年が経過している。

The Rolling Stones – You Can't Always Get What You Want (Bridges To Buenos Aires)

 

ゾンビーズ(結成年: 1961年)

ゾンビーズは解散していた時期も長かったが、1968年発表の人気作『Odessey & Oracle』を制作したのと同じメンバー (いまは亡きギタリストのポール・アトキンソンは除く) が2019年もその収録曲を演奏していた。だが黄金の歌声を持つコリン・ブランストーンのおかげもあって、そのサウンドはかつてないほど素晴らしいものだった。

The Zombies – Time Of The Season

 

ジェイ&ジ・アメリカンズ(結成年: 1960年)

ビートルズより前から活躍していたグループがほとんど形を変えずに存続している例は、年を追うごとに少なくなっていく。だがこのヴォーカル・グループに在籍していたメンバーは60年の歴史の中で七人 (ジェイの名を持つ三人を含む) しかいない。60年代を代表する名曲「Come A Little Bit Closer」を録音したメンバーの3/4が、いまでも同じステージに立っているのだ。

Come A Little Bit Closer

 

オージェイズ(結成年: 1958年)

R&Bの伝統を守り続けるオージェイズが結成されたのは1958年のことだ (現在も二人のオリジナル・メンバーが残っている) 。それゆえ、70年代に「Back Stabbers (裏切り者のテーマ) 」や「Love Train」をヒットさせたとき、すでに彼らはベテランの域に達していた。

Love Train

 

フォー・トップス(結成年: 1953年)

モータウンから羽ばたいた四人組のフォー・トップスを自ら去ったメンバーはいない。彼らは1953年の結成以来、なんと44年ものあいだ同じメンバー構成を保っていたのだ。創設メンバーの3/4はこの世を去ったが、唯一のオリジナル・メンバーであるデューク・ファキールを中心にグループは存続している。

Bernadette

 

オーク・リッジ・ボーイズ(結成年: 1947年)

アメリカでもっとも息の長いグループを考えるときには、ビーチ・ボーイズやその同世代のバンドのことは忘れていい。だが、カントリー界の四人組であるオーク・リッジ・ボーイズは間違いなくその一つだ。

彼らは「Elvira (恋するエルヴァイラ)」を発表した80年代以降、複数のジャンルを融合させた作風で得難い成功を手にした。このグループが誕生したのは1940年代のことだが、いまなおレコーディングやツアー活動を行っている現行のラインナップは、1970年代からほとんど変わっていない。

Oh, What A Night

 

ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマ(結成年: 1939年)

名ゴスペル・グループであるブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマの創立メンバーは、そのほとんどがすでに亡くなっている。2023年にはバンドからは引退してしまったがオリジナル・メンバーであるジミー・カーター は、なんと1939年からこのグループに在籍していたと語っている。この記録を超えられるなら超えてみるがいい。

This May Be The Last Time: A Film about the Blind Boys of Alabama

Written By Brett Milano


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