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ボブ・マーリーのベスト・ラヴ・ソング20曲:あなたの魂を満たすレゲエの名曲
ボブ・マーリーはこの上なくロマンティックなソングライターのひとりである。無論、彼の頭の中にはもっと大きな問題に対する思いがあったわけだが。彼自身が共に育った貧しいジャマイカの人々の苛立ちを表現すること、より哲学的かつスピリチュアルな意味での懸念について意思表明することから折にふれ目を逸らす時、ボブ・マーリーは史上最も思いやりに溢れる親密なラヴ・ソングを幾つも生み出していた。情熱的かつパーソナルな、選りすぐりのボブ・マーリーのラヴ・ソング20曲は、時を経ても色褪せることのない想いをいつまでも伝え続けている。
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20位「Is This Love」
ご存知の通り、このロック・ステディ調のチューンは1978年のヒット曲で、後にボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのアルバム『Kaya』にも収録された。ボブ・マーリーはときめきを感じ、自分が好意を抱いた相手を大切にしたいという思いから、彼女に対しては敬意を持って向き合っている。親密な関係へと発展しつつあるなら、暖を取るのに分厚い上掛けは必要ない。彼はシングルベッドしか持っていないのだ。
19位「Satisfy My Soul」
ボブ・マーリーがその生涯の中で幾度となく回帰した曲「Satisfy My Soul」がようやくそれに相応しい規模のオーディエンスを見つけたのは、アルバム『Kaya』に収録され、1978年夏にシングル・チャートにランクインしてからのことだった。
18位「Turn Your Lights Down Low」
ボブ・マーリーの曲の中でも「No Woman, No Cry」同様、ソウル、ポップ、カントリーなど多彩な要素が含まれている曲だが、明確なレゲエのリズムこそないものの、やはりジャマイカ特有のサウンドだ。1977年のアルバム『Exodus』に収録された当時は、ボブ・マーリーのソングブックの中では知る人ぞ知るナンバーだったが、1999年にローリン・ヒルを起用したスタジオワークの離れ業によって完成した情感豊かで心揺さぶるリミックス・ヴァージョンのおかげで、一気に評価が高まった。
17位「Nice Time」
ボブ・マーリーと元祖ザ・ウェイラーズは、かの有名な“スタジオ・ワン”でこの業界での仕事の仕方を学んだ後、1966年後半に独立した。ピーター・トッシュとバニー・ウェイラーは初のレコード会社“Wail ’N Soul ’M”を創設し、数々の優れたレコードをリリースしたが、ヒットを記録した作品は極僅かだった。
そんな中でも一番のヒット作は「Nice Time」で、レコード盤は売り切れる度にプレスされる人気を誇り、現在もほぼ店頭在庫が切れたことがない。ボブ・マーリーとその仲間たちの心情溢れる歌が、恋人たちの心を揺さぶり、愛を与えることによって、再び彼らに良好な関係を取り戻させるのだ。
16位「Love And Affection」
ボブ・マーリーはかつて「Love And Affection」について、自身のキャリア初期に手掛けた曲のひとつで、その構成と聴き手がどんな風にこの曲を受け止めるかというところまで真剣に考えながら書いた作品であることを明かしていた。1965年当時、ザ・ウェイラーズはジャマイカ国内で数々のヒットを飛ばしていたが、このアップビートなスカ・チューンは、それらのタイトルの幾つかを引用しながら、自分はいつも愛の犠牲者であり、その恩恵を授かったことがないという男の嘆きを表現している。そう、ボブ・マーリーはまだキャリアが始まって間もない頃から、その才能の片鱗をのぞかせていたのだ。
15位「Baby We’ve Got A Date (Rock It Baby)」
ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズが70年代にアイランド・レコードと交わした極めて重要な契約の始まりに、やるべきことはきちんとやるから、と言わんばかりに、彼らはロマンティックな歌詞をしたためたスロウなスキャンク(レゲエ)調のこの曲を発表した。そう、ボブ・マーリーは約束を守る男なのだ。
アイランド傘下のブルー・マウンテンから1973年にシングルとしてリリースされた当時は鳴かず飛ばずのまま終わり、その後も母国ジャマイカのボブ・マーリーの自主レーベル、タフ・ゴングから「Rock It Babe」のタイトルで再リリースされたこの曲がようやく注目を集めたのは、彼らがアイランドから発表した最初のアルバム『Catch A Fire.』に収録されてからのことだった。
14位「She’s Gone」
恋は時として敗者とのゲームである。とは言えアルバム『Kaya』の中で、妻のリタがジ・アイスリーズの一員として、彼のすぐ傍らでバッキング・ヴォーカルを務めているというのに、ボブ・マーリーが「My woman is gone」(俺の女は去っていった)と歌うのはいささか皮肉めいている。この「出口から去っていった」ひとりの女性の優しい物語は聴き手に、歌い手が間違いなく傷ついていることを確信させ、彼らの子供たちに涙を見せることになるかも知れないと警告しているのだ。
13位「It Hurts To Be Alone」
恋に破れるというテーマについてさらに語るなら、このザ・ウェイラーズによる1965年の美しいバラードは、拒絶されるとはどういうことかを描いた入門編だ。この曲のリード・シンガーはジュニア・ブレイスウェイトだが、メロディは紛れもなくバッキング・シンガーを務めるボブ・マーリーのものだ。堂々たるギターを演奏しているのは、後にアイランド・レコードから数十年にも渡って優れたソロ・アルバムを次々にリリースすることになるアーネスト・ラングリンである。この曲のリリース当時、たとえボブ・マーリーが偉大なソングライターであることに確信を抱いていた者がいなかったとしても、この愛すべき曲を一聴すれば、そんな疑念は一瞬で吹き飛んだだろう。
12位「I’m Still Waiting」
こちらもボブ・マーリーの初期のバラードで、初めてレコーディングされたのは1965年、ビリー・ステュワートによる当時のソウル・ヒット「Sitting In The Park」のコード進行とアティテュードをそれとなく手本にし、昔も今も幾度となく使われているタイトルを冠した曲である。デルロイ・ウィルソンとコーネル・キャンベル、どちらのカヴァー・ヴァージョンも70年代のレゲエ界でヒットしたが、この吐息混じりの親密な、誘うような雰囲気はやはりオリジナルならではの魅力である。
11位「Waiting In Vain」
世の中にはずっと変わらないものがある。ボブ・マーリーは1977年のアルバム『Exodus』でも、誰かを愛したためにバカを見ることへの恐れを歌ったこのスマッシュ・ヒットで、ひとつ前の曲(「I’m Still Waiting」)の同様のテーマを再訪している。
10位「Satisfy My Soul Babe」
ボブ・マーリーが“Satisfy My Soul(魂を満たしてくれ)”と歌う作品のひとつだが、同名のヒット曲「Satisfy My Soul」とは無関係であり、同じバッキング・トラックとメロディを使用したザ・ウェイラーズの崇高な「Satisfy My Soul Jah Jah」の、より世俗的なものとして1972年に録音された。バニー・ウェイラーとピーター・トッシュによる聴き応えのあるハーモニーは、この曲が深く、スロウでソウルフルな愛を表現した歌であることを請け合ってくれる。
9位「Cry To Me」
1976年のアルバム『Rastaman Vibration』に収録されて名を挙げた1曲だが、ザ・ウェイラーズがドゥー・ワップ・スタイルで初めてレコーディングしたのは実にその10年前のことである。曲の原型は、歌詞を反復するジ・アイスリーズのバッキング・ヴォーカルの中に聴くことが出来る。落ち込むパートナーに肩を貸すという、ひとつの愛のかたちを歌ったシンプルな曲だ。
8位「Night Shift」
ボブ・マーリーは『Rastaman Vibration』に収録されたこの曲を、あえてどんな解釈も可能なままにしていた。歌詞の最初の数行は旧約聖書からそのまま拝借してきた文句で、時に人は目的を達成するために、自分の気に進まないこともやらなければならないということを説明するものだ。
この曲は60年代半ば、デラウェア州ウィルミントンの工場で夜勤の仕事をしていたボブ・マーリー自身の経験に基づいている。歌詞の中に彼の母親のセディラも実名で登場するように、当時は彼女と一緒に暮らしていたのだ。一方で、この曲の節々に垣間見えるのは夜間に花開く恋である。ボブ・マーリーはジェームズ・ブラウンのファンだったが、彼はよくステージで「夜通しならそれも結構 “If it’s all night, it’s all right”」と口にし、ファンのためなら、そして恋人のためなら、時間外労働もやぶさかでないことを明言していた。
7位「Stand Alone」
70年代初頭にザ・ウェイラーズがプロデューサーのリー・ペリーと仕事をしていた時期は、滅多にラヴ・ソングを録音しなかったボブ・マーリーだったが、不調に陥った恋愛関係を断ち切ることが出来ない男を歌った「Stand Alone」は、彼が再度顧みるべき珠玉の一曲だった。
6位「I’m Hurting Inside」
アイランド・レコードがベスト・アルバム『Songs Of Freedom』に収録するまでは大衆の耳に届くことはなかった「I’m Hurting Inside」だが、この愛ゆえの苦痛の物語は、マイナー・キーの哀歌の中にジャマイカの人々が味わってきた、より広い意味での苦しみのようなものを感じ取っていたハードコアなマーリー・ファンの間では長年お気に入りの一曲だった。最初にレコーディングされたのは1968年頃だが、今もこの歌は聴く者の琴線に触れる。
5位「Mellow Mood」
ボブは愛を手に入れた、素敵な愛だ。そして彼は自分に押し寄せるメロウな気持ちを、あのヒット曲「Trenchtown Rock」と同様に、音楽を通して聴き手にも共有して欲しいと思っているのだ。鉄は熱いうちに打つという約束は、肉体的な愛の求めること以外の何ものでもないだろう、それも性急に。
4位「Kinky Reggae」
欲望というテーマを論じるなら、1973年の「Kinky Reggae」はボブ・マーリーが“街のいかがわしい場所”で味わえる、怪しげな愛の歓びなるものに誘惑されながらも、結局考え直すという内容だ。1973年の『Catch A Fire』で披露されたこの曲には、1975年7月にロンドンのライシアムで録音された素晴らしいライヴ・ヴァージョンが存在し、ボブ・マーリーにとって出世作となったアルバム『Live!』のオリジナル盤の選曲からは漏れたものの、シングル「No Woman, No Cry」のB面曲としてファンの耳に届いた。
3位「Stir It Up」
“俺は薪を押し込んでお前の炎を燃え立たせる”というボブ・マーリーの思わせぶりなメタファー満載のロマンティックなバラードが人々の想像力を掻き立て始めたのは、彼が自身のレーベルからこの曲をリリースした1967年のことだ。
1972年にジョニー・ナッシュによってカヴァーされると、より幅広い層から注目が集まったが、その後ボブ・マーリーは『Catch A Fire』とライヴ・アルバム『Babylon By Bus』で再び自らの手元に取り返した。結局のところ彼は、他の誰よりこの曲を上手に扱うことが出来たというわけだ。
2位「Sun Is Shining」
「To The Rescue」というもうひとつのタイトルでも知られるこの曲で、ボブ・マーリーが果たして何を伝えようとしていたのかは実のところはっきりとはわかってはいないが、そのスロウでディープなヴァイブと、必要とされればいつでも会いにいく、という彼の強い主張によって、「Sun Is Shining」は人々を最も共鳴させるボブ・マーリー楽曲のひとつとなっている。
1位「Could You Be Loved」
今回のボブ・マーリーにまつわるロマンティックなレゲエの歴史物語を締め括るのは、1980年のアルバム『Uprising』に収録されている、最も“アップタウン”でダンスフロア向きな楽曲である。セクシーな要素も多少は含まれているものの、ここにはボブ・マーリーが絶えず主張し続けてきた、人生の中でどれだけ多くの分かれ道や災難に直面しようとも、愛と善良さを追求することは決して諦めてはいけないという、ひとつの明確なメッセージが提示されているのだ。
Written By Ian McCann
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ボブ・マーリー『Keep On Moving』
2020年3月20日
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