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ゼッドが語る『ドラゴンボールDAIMA』の主題歌、そして日本との関係性

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2024年8月30日に3作目のスタジオ・アルバム『Telos』をリリース、さらに10月11日からフジテレビ系にて放送が開始された完全新作アニメシリーズ『ドラゴンボールDAIMA』のオープニング主題歌「ジャカ☆ジャ~ン」、そしてエンディングテーマ「NAKAMA」を手掛け、2025年2月24日にKアリーナ横浜、2月26日には神戸ワールド記念ホールでの来日公演も決定するなど大きな話題が続くゼッド(ZEDD)。

そんな彼がプロモーション来日中におこなったインタビューを掲載。今回の特大タイアップや彼自身が思う日本との関係性などについて話をきいた。

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『ドラゴンボール』シリーズ新作のタイアップ

―― 日本で初めてのタイアップが、ご自身が大好きな『ドラゴンボール』シリーズ新作であることについて、率直にどのようなお気持ちですか?

とても光栄に思うよ。『ドラゴンボール』と一緒に育ち、作中の音楽やアニメそのものからもインスピレーションを与えてくれた大好きなアニメの主題歌を書けるなんて夢にも思っていなかった。本当に夢のようだし、携わることができて本当に光栄だよ。

*2021年のゼッドの投稿「ドラゴンボールをまた見て、続けてドラゴンボールZを観ているよ…最高の決断だね」

―― 周りのご友人やご家族からの反響はありましたか?

『ドラゴンボール』が好きな友達が周りに多いから喜んでくれたよ。『ドラゴンボール』は常に友達との会話の中で出てくるし、『ドラゴンボール』のために作曲することが夢でもあり目標だったよ。まさか実現するとは思わなかったけど、「グラミー賞を受賞したよ」と友人に報告したときの「あ、そう」みたいな反応に対して、『ドランゴンボール』のために音楽をつくるんだと伝えた時の「マジ!? すごいね」という反応の差から、素直に喜んでくれたと実感したよ。

―― また、「日本の作品」のために収録・作曲することは今回が初めてですね。そちらについてはいかがでしたか?

そうだね、日本の文化と深いつながりみたいなのを感じたよ。キャリアの初期の頃から日本には最低でも1年に1回は来日をしているから、今回のプロジェクトを通して、より日本文化とのつながりを感じられて嬉しく思うよ。また、日本の文化と出会わなければ、僕のキャリアは成り立たなかったと思うんだ。好きな番組やビデオゲームは日本のものだし、そのビデオゲームに収録されている楽曲からインスピレーションを受けることがよくあることから、同じテイストやパッションを持っていると感じていて、日本とはとても深いつながりがあるように感じるんだ。本当に最高だよ。

 

アニメ主題歌の製作

―― アニメのための音楽プロデュースは、普段の楽曲制作とはどのように異なりましたか?

僕個人の意見だけど、日本の文化や音楽、ビデオゲームでの、作曲や音楽性のレベルが海外の多くの作曲よりも高いと思うよ。制作をする際には、手が込んでいるユニークなコード進行の音楽の作曲を好むことで日本の音楽とつながっているように感じるし、日本の音楽を聴いて育ち、インスパイアされているからこそ、日本ほど高い音楽教育を受けていない国や、他の文化圏ではそれほど標準的でない国のために書く音楽よりも、日本のアニメのために書く音楽の方が、音楽的なつながりを強く感じるよ。

―― なるほど、興味深いですね。では、高い音楽性というのは、メロディーの組み立て方やコード進行、コーラスなど、実際に使われているようなものですか?

基本的なレベルでは、それぞれの国や大陸、文化にはフォー・コード進行のようなものがあると思うんだ。また、僕の意見だけど、日本は、僕が人生の大半を過ごしているヨーロッパやアメリカよりも、ずっと音楽的だと思うよ。地域が違えば、本来持っている基準も違うと思うし、少しでも基準が高い国にいると、クレイジーだと感じないようなコード進行を書く余裕が生まれてくると思う。

半音以上の音がある文化も、半音の間に音がある文化もあるし、僕らにとっては奇妙に感じるかもしれないけど、それで育った文化にとっては普通に感じられる。だから、少し複雑なコード進行に慣れている国のために曲を書くことで、よりクリエイティブになれると思うんだ。ウソかもしれないけれど、僕はそう解釈しているし、このことについてよく考えるきっかけとなったよ。

―― 「ジャカ☆ジャ~ン」(『ドラゴンボールDAIMA』オープニング主題歌)と「Out of Time」(最新アルバム『テロス』収録)の関係性についてぜひ教えてください。

以前から部分的に思い描いていたメロディーがあって、それは、当時僕が作っていた音楽よりも少し音楽的で、演劇的で、シネマティックな感じがしていたんだ。でも、この曲が大好きだからこそ、いつかこれを曲にする完璧な機会が来るだろうなと思っていた。だけど当時はどうすれば良いのかわからないなと思っていたときに、『ドラゴンボールDAIMA』の主題歌を作ってほしいという依頼を頂いた。

これに対する僕の答えとしては、『ドラゴンボール』そのものを表す曲はこれしかなく、これ以上のものは書けないと思ったんだ。結果として「Out of Time」という2つめのヴァージョンの制作に取りかかることもできた。「ジャカ☆ジャ~ン」と「Out of Time」は後半部分のコード進行が異なる楽曲に仕上げたんだけど、両曲、同じDNAを受け継いではいるけど全く別の道を歩んでいる、そういう関係性だよ。

Zedd – Jaka Jaan feat. C&K (Dragon Ball DAIMA Opening Theme – Anime Ver.) [Japanese Lyric Video]

 

好きなキャラや好きなシーン

―― 『ドラゴンボール』のお気に入りのキャラクターは誰ですか?

何人かいるんだけど、亀仙人が特に大好きだよ。その理由は、『ドラゴンボール』の最初のリーダー的存在で、先生的存在で、そして重要なキャラクターでありながら、自分自身をギャグにもできるような人物のダイナミックさがあるからなんだ。それに、魔人ブウもいつも最高だよね。総じて『ドラゴンボール』というのは最高のアニメのひとつだと思う。個々のキャラクターがとても個性的で、それぞれが独自の世界を持っているからね。だから好きなキャラクターを一人選ぶのは難しいけど、日によって、亀仙人と魔人ブウのどちらかかな。

―― ドラゴンボールで印象に残っているシーンはありますか?

(幼少期に暮らしていた)ドイツでは1日に1話ずつ放送されていたんだけど、ある時からまた再放送されて、その再放送が何度も繰り返されていたから、『ドラゴンボール』は全話少なくとも3回ずつは繰り返して観たと思うよ。お気に入りのシーンを選ぶのはとても難しいけど、初めて超サイヤ人になった瞬間は、ドラゴンボールファンにとって忘れられないシーンだったよ。特別な瞬間がたくさんありすぎて、お気に入りを1つだけ選ぶのは難しいよ。

―― ドイツ語や英語版の『ドラゴンボール』では主題歌も流れていましたか?

国によって違うかもしれないけど、特に『ドラゴンボールZ』は、最初にドイツ語版で観て、それから英語版を観たんだけど、ドイツ語版と英語版は主題歌が違っていた記憶があるんだ。だから、僕の好きな主題歌で、「ジャカ☆ジャ~ン」と同じ魂を持っていると思うのは、日本のスタッフにも前「これが好きだ」と話した…

―― 「CHA-LA HEAD-CHA-LA」ですね!

そう! 特に「CHA-LA HEAD-CHA-LA」は、作曲的にも、エネルギー的にも、同じキーで、幸福感や希望、総じてエネルギーを感じさせる曲になっていると思うよ。そもそも『ドラゴンボール』にインスパイアされていなかったら、「ジャカ☆ジャ~ン」は書けなかったかもしれない。だから、作中の音楽からインスピレーションを受けて何かを書こうと思い、それが主題歌になり、1周回って原点に戻ってきたという意味合いでも、「CHA-LA HEAD-CHA-LA」が『ドラゴンボール』の主題歌の中で一番好きな曲だよ。

 

主題歌製作で学んだこと

―― 初音ミクさんとのリミックス・プロジェクト以来の日本のアーティストとのコラボ、そして新曲の制作という意味では今回が初となる日本のアーティストとのコラボ曲「ジャカ☆ジャ~ン」と「NAKAMA」ですが、C&KさんやAIさんとの制作はいかがでしたか?

一緒に仕事ができて本当に嬉しかったよ。日本人のアーティストと一緒に仕事をするのは初めてだったんだけど、歌が日本語ということで言語の壁があるのが難点だったね。でも、C&KとAIが大好きで、彼らの意見を尊重しているからこそ、本当に意見を交換し合うことができたし、特に「ジャカ☆ジャ~ン」は今ある形に仕上がったと思うんだ。C&KとAI、2組ともとても最高な人たちで、今回コラボしたことによって、僕1人ではたどり着けないところへ連れて行ってくれたよ。

Zedd – NAKAMA feat. AI (Dragon Ball DAIMA Ending Theme – Anime Ver.) [Japanese Lyric Video]

―― この2曲についてもう少しお聞かせください。「ジャカ☆ジャ~ン」については、どのようなことを意識しましたか? 

僕たちは、サビで感情を爆発させることを望んでいたんだ。この曲はとてもユニークな構成で出来上がっているし、ヴァースからサビという感じではなく、サビに入る前にブリッジに入る展開になっているよ。そして、サビで感情が爆発するような、ご褒美的なものにしたくて、C&Kがコードを変えてくれたし、メロディーもすごく良いから、結果的にサビでみんなの感情を揺さぶるようになる仕上がりになって、本当に特別なものになったよ。

―― 「NAKAMA」についてはいかがですか?

「NAKAMA」の制作もとても楽しかったよ。この曲のヴォーカルを書いたときと同じように、ピアノのメロディーから始めたんだ。構成がはっきりわかっていなかったというわけではないけど、AIのヴォーカルと編成、そしてヴォーカル・メロディーを中心に構成された楽曲だよ。

僕は日本話者ではないから歌詞が何を意味するのか日本語ネイティブの人のように100%完全には理解できなかったかもしれない。(今までの英語の曲とは違って)その中でヴォーカル作成、そして、そのヴォーカルを中心にエモーショナルさを作り上げようとする経験は、初めてのことだったよ。日本語がわからない中ヴォーカルの編成をしていたときにAIが、ヴォーカルのカットの仕方によって、その言葉が意味を成さなくなったと教えてくれたのを鮮明に覚えているよ。自分が話すことのできない言語を使って作業する方法を学んだのは、キャリア全体で見ても初めての経験だったよ。

 

2月の来日公演、そして日本との関係

―― 2025年2月には最新作『Telos』を引っ提げたファン待望の来日単独ツアー『Telos』ツアーも控えていますね! 意気込みをお聞かせください。

日本での公演をとても楽しみにしているよ。ファンの皆さんもご存知のように、日本は地球上で最も重要な場所のひとつだし、僕の大好きな場所のひとつだ。このツアーは僕がこれまでやってきた中で最高のショーのひとつだと思うから、それを日本のファンのみんなに披露できるのは本当に大切なことだと思っているよ。だから、また戻ってこられることを今からとても楽しみにしているし、きっとみんなもショーを楽しんでくれると思っているよ。

Zedd – Lucky (feat. Remi Wolf) [Live From Zedd In The Park 2024]

 

―― これまで何度も日本を訪れていますが、何か実現、挑戦したいことはありますか?

今日、ちょうどこの話をしていたんだ。キャリアをスタートさせてから、少なくとも年に1回は日本に来ているから今日までで何度も来ているけど、まだ何も見られていないような気もするんだ。それでもまだ来るたびにワクワクするし、まだお寺をいくつか見ただけだから、もっと見てみたいよ。街もとても広いから、やることがたくさんある気がする。

東京以外の場所をまだあまり見たことがないような気がするから、東京以外の場所も探検してみたいな。大阪にも行ったし、京都にも行ったけど、山のほうをもっと探検してみたいし、日本でまだ探検したことのない自然をもう少し見てみたい。

―― 最後に、日本のファンへメッセージをお願いします!

日本のファンのことを本当に愛しているよ。また戻ってくるのが待ちきれないし、『Telos』ツアーで会えるのが待ち切れないです。それまで楽しみにしていてね!またね!

Written By uDiscover Team


ゼッド feat. C&K「ジャカ☆ジャ〜ン (Anime ver.)」
2024年12月4日配信
作詞:森雪之丞 / 作曲:Anton Zaslavski (Zedd)、KEEN (C&K) / 歌:C&K / プロデュース:ゼッド
iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music

ゼッド feat. AI「NAKAMA (Anime ver.)」
2024年12月10日配信
作詞:AI / 作曲:Anton Zaslavski (Zedd)、AI / 歌:AI / プロデュース:ゼッド
iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music


ゼッド『Telos』

2024年8月30日発売
CD&LP / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music



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