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『Venus and Mars』からの2ndシングル、ウィングスの「Letting Go / ワインカラーの少女」
アルバム『Venus and Mars』からのセカンド・シングル「Letting Go」(邦題:ワインカラーの少女)が全米シングル・チャートにランク・インした1975年10月4日、ポール・マッカートニー&ウィングスはこれ以上ないほどの絶頂期にあった。
アルバム『Venus and Mars』とファースト・シングルの陽気さ溢れる「Listen To What The Man Said」はともにアメリカで1位を記録し、アルバムはイギリスをはじめとするヨーロッパ各国でも1位になっている。当時彼らが14ヶ月の期間にわたって繰り広げていた世界を股にかけてのツアー‘Wings Over The World’からは、3枚組のアルバム『Wings Over America』や、テレビ及び映画の映像作品が生まれた。
「Letting Go」は、『Venus and Mars』収録曲中で最初にレコーディングされたうちの1曲で、アビイ・ロード・スタジオで収録された。ドラムは一時的にバンドに在籍したジェフ・ブリトンが担当しており、作曲はアルバムに収録された他の全ての曲と同様にポール・マッカートニーと妻のリンダによるものだ。アルバムに収録されていたこの曲は、アルバム・ヴァージョンとアルバム発売から3か月後にシングルとしてリリースされたものでは大きく異なっていた。Billboard誌のレヴューはこの曲の「かすかな緊張感を感じさせるマイナー・コード進行」を記事に採り上げていた。
キャピトルからリリースされたこのシングルは、1975年10月4日の全米チャート初登場曲としては最も高い順位の74位でエントリーしたものの、その後は振るわずに3週間後の39位が最高位だった。因みにイギリスでの最高位は41位。同年11月にアルバムからのサード・シングルとしてリリースされた「Venus and Mars / Rock Show」は、それよりもやや売れて12位という結果をアメリカで残している。
「Letting Go」は現在でもポール・マッカートニーのライヴで演奏されている。2014年のOne On Oneツアーでは、8月中旬にオハイオ州クリーヴランドで行われた最初の2回のステージで「Can’t Buy Me Love」の直後に演奏されていた。トリビュート・アルバム『The Art Of McCartney』ではハートがこの曲をカヴァーしている。
Written by Paul Sexton
- ポール・マッカートニー アーティスト・ページ
- 名曲が散りばめられたウィングスの『London Town(邦題:たそがれのロンドン・タウン)』
- ナイジェリアで録音されたウィングスの最高傑作『Band On The Run』
- スターが数多く参加したポール・マッカートニーの82年の作品『Tug Of War』
ポール・マッカートニー&ウイングス『Venus and Mars』
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