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ザ・フーにとっての『White Album』、1971年の傑作アルバム『Who’s Next』
1971年8月14日にリリースされた『Who’s Next』に対し、ロック・ライターのデイヴ・マーシュはクリーム(Creem)誌にて「このアルバムはザ・フーにとって、ザ・ビートルズの『White Album』にあたる作品だ」と評した。これはつまり、ザ・ビートルズは『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』があり、ザ・フーは『Tommy』という、両バンドとも素晴らしいコンセプト・アルバムがあり、今作はその次作にあたるスタジオ作品であるということであった。
デイヴ・マーシュは、「ザ・フーはザ・ビートルズと等しく成功した」とレヴューを締めくくった。彼は『Live At Leeds』について「ダンスをすることも、考えて聴き込むことも出来るとても素晴らしい作品であり、この作品でザ・フーは歴史に名を残した。『White Album』がとてつもないアルバムだった様に、これはとてつもないことだ」とも書いている。
『Who’s Next』の共同プロデュサーを担当したグリン・ジョンズは、1969年に『Abbey Road』のエンジニアを務めたこともあり、このふたつの英国音楽界の大物バンドを繋ぎ合わせる役割となった。グリン・ジョンズは後に、このザ・フーのアルバムが当初思っていたよりもどうやって重要な作品になったのかを語った。
「カッティングの作業をしている時、自分がとても興奮していることに気がついたんだ」と彼は語った。「ただこれ程までに重要な作品になるとは想像もしなかった。なぜなら、作っている最中は少し不安でもあり、人々がどう受け入れるかわからないものだからね」。
アルバムはとても好評だった。UKチャート2位に駆け上がると、翌週にはサイモン&ガーファンクルの『Bridge Over Troubled Water(邦題:明日に架ける橋)』を抜いて首位に立った。USチャートでは、1969年の『Tommy』に並ぶ4位にまで登り、チャートに入った期間こそだいぶ短かったものの、セールスでは前作を超えた。アメリカでは発売から1ヶ月でゴールド・ディスクを獲得し、それからプラチナム、ダブル・プラチナムと獲得を続け、1993年の同日にRIAAからトリプル・プラチナムを授与された。
『Who’s Next』は瞬く間に多くのファン達から‘最高傑作’と呼ばれるアルバムになったが、特筆すべきはこの作品が、不運なライフハウス・プロジェクトから蘇った作品であるということだ(*ピートによるコンセプトアルバムだったが未完に終わった)。そして『Who’s Next』には誰もが知っているアンセムであり、トップ10ヒットソングとなった「Won’t Get Fooled Again(邦題:無法の世界)」や「Baba O’ Riley」、「Behind Blue Eyes」という強力な曲が並び、これらと等しく煌めくピート・タウンゼントによる「Bargain」や「The Song Is Over」、ジョン・エントウィッセルが貢献する「My Wife」など、メンバー4人全員が最高のパフォーマンスをしつつ、新たな境地を開拓したのだ。
ザ・フーの研究家として知られるクリス・チャールズワース氏は「Baba O’Riley」について「ピートはシンセサイザーが不思議な水の中にいる様な音が出ることを理由に使わなかった」と説明する。「代わりに、彼は繰り返すループ音を作った。それはメロディを支えつつリズム・トラックを引き立てる効果を生み出したのだ」
ピート・タウンゼントは後に自身の自叙伝『ピート・タウンゼンド自伝 フー・アイ・アム』(河出書房新社刊)で、「Baba O’Riley」について「ゆっくりではあったが、徐々に浸透し認知された」としつつ「酷いタイトルがつけられたけどね」と書いている。とはいえ彼はプロデュサーのグリン・ジョンズに対し「初めてまともにレコーディングされたザ・フー作品」と賛辞を述べた。そして2007年、歴史的ベスト・アルバム・リストに他の多くの作品と共にランクインしたこともあり、『Who’s Next』はグラミーの殿堂入りを果たした。
Written by Paul Sexton
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ザ・フー『Who’s Next』
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