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ジョン・レノン VS アメリカ:ジョン・レノンと国外退去命令
ジョン・レノンが国境を超えて世界中に平和と調和を訴えていた人生の後半の1974年7月18日に米国政府がこの元ザ・ビートルズのメンバーに対して、国外退去を再度命じたのは驚きであった。
この日、米国出入国管理局がジョン・レノンに対し、9月10日までに米国を離れなければ強制送還の処置をとると伝えたと新聞は報じた。それは当時ニューヨークにあるレコード・プラント・スタジオで5枚目のソロ・アルバムでセルフ・プロデュースとなる『Walls and Bridges』を製作中だったジョン・レノンにとって、聞きたいニュースではなかった。
出入国管理局は、ジョン・レノンが提出した訴訟が終結するまで強制送還を先送りにしてほしいという嘆願書を退けたのであった。しかし、ジョン・レノンの弁護士であったレオン・ワイルズは訴えを提出し「訴訟が解決するには何年もかかる」と言っていた。ジョンの妻であるオノ・ヨーコは永久在留外国人として米国からの許可を受けていた。
ベトナム反戦運動に関わるデモ活動や平和キャンペーンなどで、ジョン・レノンは米国当局から長年悩みの種とされてきていたが、今ではこの国外退去命令は不条理である考えられており、当時の大統領であったリチャード・ニクソンもこの命令が自身の再選に悪影響を与える可能性があると信じていた。
ジョン・レノンは前年にも連邦出入国管理裁判官により、1968年に英国で下されたマリファナの不法所持を理由に国外退去を命じられたことに対しても疑問を呈していた。彼のアメリカ在留にまつわる様々な闘争は2006年に『PEACE BED アメリカVSジョン・レノン』として映画化されている。
出入国管理局は4対0の投票で国外退去の判決を下すことにしたが、メンバーのうちの1人は投票を棄権した。彼らは「我々は出入国管理法の元、たった1度のマリファナ違反で罰金を科せられた者に対し、また、同じような窮地に立たされた者に対し、同情しない訳ではない」「しかしながら、法律の改正に関する議論は、行政府ではなく立法府によって行わなければならない」と記載した。
さらに、レノンが訴えを提出した8月31日にはウォーターゲート疑惑によりニクソンは失脚、後継者のジェラルド・フォードはこの国外退去の執行に興味をほとんど示していなかった。アルバム『Walls and Bridges』は予定通りに9月の終わりにリリースされ、翌年にはニューヨーク州最高裁のアーヴィング・コーフマン裁判官により命令は取り下げられた。
アーヴィング・コーフマン裁判官は「裁判所は政治的秘密に基づいた特定の強制退去を容認しない」と裁定し。「我が国に残ろうとするレノン氏の4年間の戦いは、アメリカン・ドリームに対する志の証拠である」と付け加えた。1976年、ジョン・レノンは念願のグリーンカードを手に入れたのである。
Written by Paul Sexton
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