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ロックの殿堂授賞式でのジョージ・ハリスンの紹介役、トム・ペティとジェフ・リンのスピーチ
ザ・ビートルズ(The Beatles)が、最後の新曲「Now And Then」、そして1973年に発売された2つのベストアルバム『The Beatles 1962-1966』(通称:赤盤)と『The Beatles 1967-1970』(通称:青盤)の2023年ヴァージョンが2023年11月10日に発表となった。
この発売を記念して、ザ・ビートルズやザ・ビートルズのメンバーが“ロックの殿堂入り”を果たした際の授賞式でのスピーチの翻訳を連続してご紹介。
本記事では、ジョージ・ハリスンがロックの殿堂入りを果たした2004年の授賞式における、トム・ペティとジェフ・リンによる紹介スピーチをお届けする。
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トム・ペティ
何年か前、僕はジョージからBillboard生涯功労賞の授賞式で紹介役を務めてほしいと頼まれました。彼は自分の受賞スピーチを次のような言葉で始めました。「ビートルズにいたことは、僕のソロ・キャリアにとって邪魔なことではなかったと思います」と……。
ジョージは、まずザ・ビートルズのメンバーとしてこの偉大な「ロックの殿堂」に入りました。そして今夜は、ソロ・アーティストとして2度目の殿堂入りを果たします。
ステージ上でも、ステージを離れても、ジョン・レノンとポール・マッカートニーのあいだに立っていたというのは、ソングライターの卵にとって本当に大変な立場です。それでもジョージは自分の技術を磨き、優れたソングライターへと成長していきました。
そして「Something」や「Here Comes The Sun」をはじめとする名曲の数々を生み出していきます。彼は創作意欲がとても旺盛になり、たくさんの未発表曲を書き溜めていきました。そしてそれが、ファースト・アルバム『All Things Must Pass』の土台となったのです。
このアルバムは、元ビートルズのメンバーが出したアルバムの中では最初のナンバーワン・アルバムとなりました。その後も数多くのヒット作が生まれています。ジョージは、ソロとしてキャリアを打ち立てるつもりはまったくないとしばしば語っていました。マネージャーもいませんでしたし、エージェントもいませんでした。
ただ友人たちと音楽を演奏するのが大好きで、ギターが大好きで、ロックンロールが大好きでした。カール・パーキンスが大好きで、リトル・リチャードが大好きで、ダーニとオリヴィアのことが大好きでした。
そして夜も、眠ることなく明け方までウクレレを奏でているのが大好きでした。子供たちが寝静まるまでウクレレを弾くのが大好きだったのです。彼は1980年代に、アルバム『Cloud Nine』で再びチャートの1位を獲得しています。
その後は、本人が言うところの「もうひとつのバンド」、トラベリング・ウィルベリーズを結成しました。そのバンドで一緒だったのはジェフ・リンと僕とその他の何人かでした。ジョージは、まさしく人生の1分1秒を大切に生きた人でした。彼がいる場所は、彼らしい雰囲気でいっぱいになりました。とても陽気な人で、とても鋭いユーモアのセンスの持ち主で、とても鋭い意識の持ち主だったんです。説教臭くなるなんてことはまったくありませんでした。
自らお手本を示して、ほかの人たちを導いたのです。「ライヴ・エイド」のはるか以前に、ジョージはロックンロールで世の中の人たちに恩返しをするというアイデアを生み出しました。
今、この会場を見渡してみると、ジョージの知り合いがたくさんいます。ジョージは僕の親友であると共に、あなたの親友でもあり、そして世界の人々の親友でもありました。彼はアーティストとして成功を収めましたが、それだけにとどまらず、たくさんのことを成し遂げました。本当に偉大な人でした。
だからこそ今回はジョージに殿堂入りしてもらうことになりました。これから彼を殿堂の中に押し込みたいと思います。でもその前に、みなさん、「ハレ・クリシュナ」と言ってください。[会場の声:「ハレ・クリシュナ」] これでもう彼は殿堂の中です。
ジェフ・リン
どうも。ジョージは僕の大親友です。僕たちはよく一緒に過ごしましたし、一緒にたくさんのレコードを作りました。ジョージのことはよく知っています。彼のことですから、おそらく今夜のこの様子を見て、「さっさとやりなよ」と言っていることでしょう。というわけで、簡単に済ませます。やったね、ジョージ。きみにふさわしい殿堂入りだよ。やっとこの時が来たんだ。
『ザ・ビートルズ 1962年~1966年』(赤盤) 2023エディション
2023年11月10日発売
購入はこちら
全曲ミックス音源。追加トラック12曲
『ザ・ビートルズ 1967年~1970年』(青盤) 2023エディション
2023年11月10日発売
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全曲ミックス音源。追加トラック「ナウ・アンド・ゼン」を含む9曲