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世界のベスト・インディペンデント・レコード店17選
アナログが再び脚光を浴びているのを受け、インディペンデント・レコード店が集客力を一気に上げている。奇妙な臭いを放つオヤジたちが、自らの趣味の良さをひけらかしたくて、埃っぽい店内でプラスティック・ケースをあさった時代は終わった。今やアナログを求める若者たちが、大挙してインディー店の扉を叩くのだ。怪しげでアングラだった世界は、音楽を愛する人々のための明るい遊び場へと生まれ変わり、来店者をイベントで楽しませながら、垂涎ものの黒い(そして色付きの)盤をたっぷりと提供している。
世界の人気店を以下に紹介しよう。ほかにも必見のショップが地元にあるという読者はご一報いただきたい。我々は棚をさぐりに駆けつける気満々だ。
1: Amoeba Music, 6400 Sunset Boulevard, Los Angeles, California, USA
名実ともに世界最大のインディペンデント・レコード店。初めて訪れる者は誰もが度肝を抜かれる。新旧の音楽作品のほか、DVD、ビデオ、グッズと、何から何まで揃っている。ないものがあるとしても、すぐに飲み込んでしまいそうな勢いだ。
2: Spillers Records, 27 Morgan Arcade, Cardiff, Wales
世界最古のレコード店を豪語する。1894年の営業開始以来、愛され続けたこのショップが地代の急な値上げで存続が危ぶまれた際には、ウェールズ議会やマニック・ストリート・プリーチャーズが救済キャンペーンを立ち上げたほどだ。モーガン・アーケイド沿いに落ち着いた今は、多様性と活気のある和気あいあいとした雰囲気の中でライヴを開催することも。その模様がたまにYouTubeにアップされている。
3: Diskunion Club, Yamada Building, BF, 3-31-4, Shinjuku, Tokyo, Japan
日本全国各地に支店を持つ独立系企業のDiskunion。メイン・エリアは新宿だ。8つの店舗がこの地域に広がっている。日本のインディー、ロック、プログレ、ラテンにパンク。新作も中古も、ここを足がかりにすればきっと見つかる。メタル、ヒップホップ、ジャズなどのコレクターは、渋谷エリアも目指すべし。
4: The Record Store Berlin, Invalidenstrasse 148, Berlin, Germany
ドイツの首都でレア盤を発掘したいなら、“ザ・レコード・ストア・ベルリン”に行くのがベルリンっ子の習わしだ。売っているのはすべて中古(ただし、オーナー選り抜きの新作もわずかながらある)。あらゆるジャンルの懐かしい名盤を専門的に扱う。運がよければ、レコード・コレクターであるオーナーの武勇伝にもありつけるかも。
5: Rough Trade East, Old Truman Brewery, 91 Brick Lane, London, England
1号店がオープンしたのが1976年。それがあのインディー・レーベルへと発展して、ザ・スミスやアーケイド・ファイアなど、幾多のバンドを世に送り出した。現在はロンドン市内の東部と西部、ノッティンガム、ニューヨークのブルックリンにそれぞれ店舗を持ちながら1つのグループとして運営を続けているラフ・トレード。その旗艦店であるラフ・トレード・イーストには、各種アナログ盤(一切のレコード契約をしていない真のインディー・バンドのものも含む)のみならず、喫茶コーナーやラウンジやステージまであり、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ級のバンドが店内を賑わせてきた。
6: Soundscapes, 572 College St, Toronto, Ontario, Canada
向かいのブリトー・ボーイズでお腹いっぱいになったら、Soundscapesで頭を音楽でいっぱいにしてやろう。リトル・スティーヴンがここで高額購入者の記録を破ったのは数年前。ショーウィンドウのディスプレーは常に美術品のように細やかだ。レコード店ならどこだって、このくらいの愛情をかけてもらってもいいはずなのだが。
7: Concerto, Utrechtsestraat 60, Amsterdam, Netherlands
ザ・ビートルズの映画『HELP!』を彷彿とさせる長屋風のテラスハウスの棟々に分散されて連なるConcertoの在庫は、新旧のポップ、ジャズ、ソウル、クラシック、サントラなど何でもアリだ。その上、ターンテーブルもさまざまに取り揃えているばかりか、おもてなしも温かい。コーヒーや、さっくりホカホカのサンドイッチを味わえるし、独自のラジオ局はPodcastを通じて聴くことも可能だ。
8: Academy Record Annex, 85 Oak Street, Brooklyn, New York
Academy Recordsの旗艦店はマンハッタンにあるのだが、このブルックリン店は、より開放的だ。ジャンルの面でも同様だと思われる。新旧の作品を眺めていると、この支店が実際よりもかなり昔からあるような気がしてしまう。
9: La Cuve À Son, 56 Rue Traversière, Paris, France
常に洗練を極めるフランス人だが、ついに無敵の組み合わせを実現した。レコード店の存在意義を地域に取り戻すべく、La Cuve À Sonでは幅広いジャンルを提供しているのはもちろんのこと、手作りのアートが店内の壁を飾って、地元感を醸し出している。しかも棚にあるのはレコードだけではない。ここでは上質なワインを買って、音楽体験をさらに上質にできるのだ。
10: Red Eye Records, 143 York Street, Sydney, Australia
早くも創業40周年を迎えようとしているRed Eye Recordsは、オーストラリア最大のレコード店だ。国土の広さを思うと、そう簡単に達成できたわけではないだろう。新旧のアナログ盤を得意としながらも、書籍やポスターやDVDも販売しているこの店は、音楽オタクにとっての天国だ。特にレアなオーストラリア盤や記念品を探すなら必見。
11: Vinyl Villains, 15 Elm Row, Edinburgh
“耳の肥えた音楽ファン”を扇動するVinyl Villainsは、ジェームス・ブラウンとキャプテン・ビーフハートを平然と並べて陳列している。なんと言っても、ここは“エジンバラで最も優れた反骨のレコード・ストア”を豪語する店だ。行けば深く掘り下げる羽目になるかもしれないが、這い上がってく
12: Disco 100, 33 Calle Escorial, Barcelona, Spain
1978年の創業以来、家族経営で続けてきたDisco 100は最近移転した。無理もない。そうでもしないと収まりきらない、あらゆるジャンルにまたがる商品の数は10万点を超える。ほぼ間違いなく、スペインで最も幅広い品揃えを誇るレコード店だ。少なくとも清潔さは最上級だといえよう。モダンなラック類も魅力を倍増させる。
13: Miles Discos, Honduras 4969, Buenos Aires, Argentina
店名は、あまりにも長く連なる陳列棚に因んでいるに違いない(あるいは伝説のジャズ・ミュージシャンから来ているのかも?)。とにかくアルゼンチンのMiles Discosには、想像し得る限りのものが詰まっている。さらには、想像を絶するものまで満載だ。
14: Vinylicious Records, 3 Coleman Street, #03-01 Peninsula Shopping Centre, Singapore
品揃えが幅広いのもさることながら、デッキやカセットも豊富な店だ。それらがこじんまりとしたスペースに収まっている。その狭さを侮るな。ここで本格的なレアものにありつけた者は少なくない。
15: Freebird Records, 15A Wicklow Street, Dublin
約40年の経験と実績で、アイルランドにおけるインディー・レコード販売業の達人となったFreebird。来店客の中には、ライアン・アダムス、ロバート・プラント、アンドレ・3000といった有名人もいるのだから、これはもうお墨付きを得たも同然だ。路地の奥にひっそりとたたずむThe Secret Book And Record Store(“本とレコードの秘密の店”という意味)に足を踏み入れるとあるこの店。いかにも、誰にも存在を知られていない世界だ。
16: Hocus Pocus, Via Marruvio 18, Zona San Giovanni, Rome, Italy
クラシック・ロック、ソウル、ヒップホップ、さらにはイタリア語のイカしたレコードを買うならここへ行け。運がよければ、思いっきりカルトなジャッロ・サントラだってゲットできそうな店だ。
17: Vinyl Hero, 239 Cheung Sha Wan Road, Lo Wai, Hong Kong
香港の街そのものに負けず劣らず、初めて訪れるものを圧倒するVinyl Heroに、秩序という概念はないらしい。レコードが詰まった段ボール箱がいくつも積み上げられた店内はゴミ屋敷さながらだ。しかしメタリカらからアバまで隠れた名盤が揃ううえに、地元スターの作品にもありつけるとあっては、レア盤大好き人間たちにとっての極楽だとしか言いようがない。