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ポリス「Every Breath You Take / 見つめていたい」80年代のポップスを定義する1曲
1983年7月9日、80年代のポップスを定義する1枚のシングルが海を越えてアメリカに上陸した。この曲はバンドにとって唯一の全米シングル・チャートで1位を飾った曲だが、マイケル・ジャクソンの「Billy Jean」よりも、ユーリズミックス「Sweet Dreams (Are Made Of This)」よりも、カルチャー・クラブ「Do You Really Want To Hurt Me」よりも売れ、その年最大のヒット曲となった。その曲とは、ポリス(The Police)の「Every Breath You Take(見つめていたい)」である。
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母国UKでのヒットからUSへ
スティングは、ジェームズ・ボンドの作者イアン・フレミングのジャマイカの家として有名なゴールデンアイに滞在していた時に、この曲を書きあげた。この曲は、既にUKチャート1位を4週に渡って維持しており、勢いもそのままに大西洋を渡ってきた。カリブ海のモントセラトで6週間かけて収録されたアルバム『Synchronicity』もUKでは既に2週連続1位を飾り、このトリオはいよいよ本格的に全米制覇を仕掛けに来たのだ。
一般的にこの曲は軽快で親しみやすいポップ・ソングと思われがちだが、スティングの見解はそうではなかった。スティングが作曲した当時は冷戦に核兵器が投入されるという時代という、新たなレベルの緊張感の中で書かれた。スティングはこう語っている。
「この曲は結婚式の曲に選ばれていて、明るい曲だと思われている。でも僕はかなり意地悪な曲だと思っている。監視と独占欲、そして嫉妬について歌っているんだよ」
当時はバンド内の緊張もかなり高まっており、特にスティングとドラマーのスチュワート・コープランドとの間には大きな隔たりがあり、プロデューサーのヒュー・パジャムは、しばしば裁判員のような不快な役割を担っていた。
こういったものがスマッシュ・ヒットを生む要因でなければ、レコード・バイヤーやラジオ、テレビ番組の制作者は他の曲を選んだだろう。「Every Breath You Take」は、イレーナ・カラの「Flashdance…What A Feeling」から全米チャート1位を奪い、そのまま2ヶ月(8週連続)もの間守り続けた。
しかしそれも、アルバム『Synchronicity』の成功に比べれば小さいものだ。グラミー賞を獲得したこのアルバムは、シングルが頂点に立つ7日前に1位を獲得し、17週連続でトップを飾ったのであった。
ポリス『Synchronicity』
1983年6月17日発売
CD / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music
ドキュメンタリー作品
ポリス『Around The World』
2022年5月20日発売
Blu-ray+CD / DVD+CD
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