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ナタリー・コールを成功に導いたジャズ・ソウルなデビュー曲「This Will Be」
20世紀最高のヴォーカリストの一人の娘として、ナタリー・コールはいつもスポットライトを浴びていた。確かに彼女がナット・キング・コールのクリスマス・アルバムで歌ったとき、彼女はたった6歳だった。しかし1975年8月、彼女は彼女自身の能力で、胸躍る新しいジャズ・ソウルの才能を持つ新人としてデビューし、のちにグラミー賞最優秀R&B女性ボーカル・パフォーマンス賞と最優秀新人賞に輝く源の「This Will Be」で全米シングル・チャート入りを果たした。
チャック・ジャクソンとマービン・ヤンシーによって作曲され、プロデュースされた独特なその曲は、25歳になったナタリー・コールがこれまでに開けたことがなかったドアを開けることになった。ナタリー・コールのために作られた2人組によるいくつかのデモ曲を聴いたキャピトル・レコードが彼女と契約。キャピトルは「This Will Be」こそが彼女のデビュー・シングルに相応しいと確信し、その年の6月にその曲でデビューさせることにした。
ヒット曲となった「This Will Be」はアイザック・ヘイズとディオンヌ・ワーウィックのダイナミックでソウルフルな組み合わせによって1977年に発売されたライヴ・アルバム『A Man and a Woman』のメドレーに収録された。その後1979年には、ダスティ・スプリングフィールドによるライヴ・バージョンでも有名となった。このヴァージョンはダスティの死後、2005年にリリースされた『Live at the Royal Albert Hall』で聴くことができる。
1976年の初め、「This Will Be」がグラミーの最優秀R&B女性ボーカル・パフォーマンス賞を受賞したとき、ナタリー・コールの成功へのパズルのピースは全て揃っていた。意外なことに1976年は、グラミー賞が1968年に始まって以来、初めてアレサ・フランクリンが受賞できなかった年だった。その1年後、ナタリー・コールはデビュー・アルバムのタイトル・トラック「Inseparable」に次ぐ3枚目のシングル「Sophisticated Lady (She’s A Different Lady)」でもR&Bチャート1位を獲得し、再度グラミー最優秀R&B女性ボーカル・パフォーマンスも受賞。完全に自分の実力であることを証明してみせた。2015年12月、享年65歳で鬱血性心不全によって彼女が亡くなるまで、ナタリー・コールは個人的な苦しみと健康問題を乗り越えながらも、その目覚ましいキャリアは続いていった。