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ザ・ビートルズ、アメリカでの3枚目のアルバム『The Beatles’ Second Album』
1964年のアメリカでは、新しくザ・ビートルズ・ファンになった人が無数にいた。この当時、アメリカでザ・ビートルズ・ファンでいるということは、とてつもなくエキサイティングなことであった。しかしアメリカで発売されていたザ・ビートルズの米国編集盤レコードは、やや混乱したかたちで発売されていた。特にイギリスの情報を熱心に追いかけていたファンは、英国盤とは違う内容の国内盤を手にして戸惑っていた。
1964年4月10日、キャピトルは『The Beatles’ Second Album』というあまり詩心のない題名のレコードを発売。これは『Meet The Beatles!』の発売から3カ月も経たないうちに発売されている。しかし、この『The Beatles’ Second Album』は「セカンド・アルバム」とタイトルで謳っているが、実のところザ・ビートルズの米国盤アルバムとしては3枚目にあたるものだった。アメリカでの人気が爆発したこの年の初め、そこに便乗したアルバム『Introducing…The Beatles』がヴィージェイ・レーベルから出ていたのである(これは曲目が異なる2種類のヴァージョンが存在する)。
しかも、イギリスで先行していたザ・ビートルズ・ブームに追いつくため、『The Beatles’ Second Album』もまた『Meet The Beatles!』と同じく寄せ集めの内容になっていた。『The Beatles’ Second Album』が全米チャートに初登場したとき、『Meet The Beatles!』はまだ悠々と首位に留まっていた(最終的な記録は11週連続首位)。
『The Beatles’ Second Album』が出るまでは、『With The Beatles』(イギリスで出た2枚目のアルバム)の収録曲のうち5曲は米国盤未収録だった。その5曲が、この『The Beatles’ Second Album』でついに入手可能になったのである。『The Beatles’ Second Album』の他の収録曲は、「Thank You Girl」や「You Can’t Do That」といった英国盤シングルのB面曲、さらにはヒット曲「She Loves You」、そのB面の「I’ll Get You」といった選曲になっていた。
さらに目を引いたのが、「Long Tall Sally」と「I Call Your Name」である。この2曲はまもなく英国盤EP『Long Tall Sally』に収録されたが、この時点ではイギリスでもまだ未発表だった。「Long Tall Sally」はリトル・リチャードの作品。また「I Call Your Name」はのちにママス・アンド・パパスがカヴァーしている。ちなみにこの『The Beatles’ Second Album』では、キャピトルが全曲をリミックスし、アメリカ・マーケット向けにエコーとリヴァーブを加えていた。この点は発売当時からかなり話題になっていた。
賛否両論ある内容ではあったが、この『The Beatles’ Second Album』はたちまちヒット作となった。5月上旬にはBillboard誌のアルバム・チャートで『Meet The Beatles』と入れ替わって1位を獲得。以後5週間に渡って首位に留まり、最終的にはチャートに55週間もランク入りしていた。『The Beatles’ Second Album』のさらに3カ月後、今度は映画『ハード・デイズ・ナイト』のサウンドトラック盤が発売。アメリカでのザ・ビートルズ旋風はさらに続いていった。
Written by Paul Sexton
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