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ジョージ・ハリスン「Teardrops」:シングル・ヒットを逃したシンセサイザーを重用した佳曲
たとえ”元ビートルズ”であっても、シングルのヒットが確約されているわけではない。1981年の夏、ジョージ・ハリスンは逝去したジョン・レノンに捧げた「All Those Years Ago(過ぎ去りし日々)」を大ヒットさせた。また、同曲が収録されたアルバム『Somewhere In England(想いは果てなく〜母なるイングランド)』は英米両国をはじめオーストラリア、オーストリアでもトップ20入りを果たすヒットになった。
しかし、『Somewhere In England』からのシングルとして発表され、ジョージ自身が作曲とプロデュースを担当した「Teardrops」は英米両国でヒットを逃している。それでもアメリカでは、同じ『Somewhere In England』に収録された「Save the World」と併せてラジオでプレイされる機会もあり、米ビルボードのメインストリーム・ロック・トラック・チャートで51位までは上昇している。
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とはいうものの、この曲は肝心の全米シングルチャート入りは辛くも逃して102位に留まり、UKのチャートでも同様の結果に終わっている。この後ハリスンは、シングル「Got My Mind Set On You」で再び成功を手にするまで6年間に亘りシングルヒットから遠ざかることになった。
「Teardrops」は「All Those Years Ago」と同じく、『Somewhere In England』の作り直しを当時のレコード会社、ワーナー・ブラザーズから言い渡された後に追加された楽曲だった。アップビートなこのポップ・ナンバーは、失恋曲にありがちな一節「I’ve had my fill of crying buckets full of teardrops/僕のバケツは涙でいっぱいさ」を盛り込み、シンセサイザーを重用した時代の流れを反映した音作りになっている。
実際、このアルバムにはシンセサイザーだけで5人ものゲスト・ミュージシャン(ゲイリー・ブルッカー、アル・クーパー、マイク・モーラン、レイ・クーパー、ニール・ラーセン)が参加。また、ジョージ自身もシンセサイザーを弾いている。このようにシンセ・サウンドがこのシングルの中心となっているとはいえ、ジョージ独特のギターも劣らず特徴的だ。
Written By Paul Sexton
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