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スマッシング・パンプキンズの『Siamese Dream』:ロックに警鐘を鳴らした歴史的名盤

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スマッシング・パンプキンズ(Smashing Pumpkins)の濃密でサイケデリア渦巻くデビュー・アルバム『Gish』は、どこからともなく突如として届けられ、約50万枚を売り上げた。

このアルバムの予想外の成功により、スマッシング・パンプキンズは、当時のグランジ・シーンのダークホースとして、第一線で活躍していたニルヴァーナやパール・ジャムと肩を並べる存在となったのだが、同時にそれは、彼らの『Gish』に続く2作目のアルバム『Siamese Dream』へ寄せられる世間の期待を背負うことを意味していた。

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The Smashing Pumpkins – Rocket (Official Music Video)

スマッシング・パンプキンズのフロントマン、ビリー・コーガンは、2014年のUncut誌のインタビューでこう明かしている。

「“Siamese Dream”に影響を与えたのは、アルバムをたくさん売らなければならないっていう漠然とした感覚だった。インディーズ ・バンドが1,000万枚を売り上げる時代だったから、その数字に近づけなければ、人々に忘れ去られてしまう。あんなプレッシャーを感じたのは初めてだった」

 

難航したレコーディング

こうして1993年7月27日にリリースされた2作目『Siamese Dream』は、オルタナティブ・ロックの時代精神を捉え、世界中で600万枚以上を売り上げるなど、現在でも90年代を代表するアルバムとして頻繁に引用される名盤として知られている。

しかし、事実このアルバムのレコーディング現場では、完成が危ぶまれるような問題が勃発していたのだ。このアルバムのプロデューサーであるブッチ・ヴィグはPSN Europeの取材に次のように語っている。

「“Siamese Dream”の制作は非常に難航しました。LAやNYのメディアから距離を置くために、アトランタで録音したんです。ビリー(・コーガン)と私はハードルをとても高く設定しました。とにかく野心的なサウンドを作りたかったんです。全てアナログ・テープで録音したので、時間もかかりました。最初の3ヶ月くらいは週6日、1日12時間、最後の2ヶ月は週7日、1日14時間か15時間働いていました。スケジュールに遅れをとっていましたから」

ビリー・コーガンとプロデューサーのブッチ・ヴィグとの完璧主義な姿勢に加え、『Siamese Dream』の制作中は、見えないところでバンドメンバー間の緊張も張り詰めていたという。しかし、ブッチ・ヴィグが語る通り、バンドは「最終的に団結し、耐え抜き、壮大なサウンドのレコードを作り上げた」

1時間強のアルバムである『Siamese Dream』は、その長さをものともせず、非常に満足度の高い、多角的な作品であることに変わりはない。ローリング・ストーン誌の洞察に満ちたレビューでは「パンクやグランジよりもプログレッシブ・ロックに近い」と評されていた。

全13曲から成るこの野心的なアルバムには、ザ・ヴァーヴっぽい実存主義が投影された7分間の「Hummer」から、何層ものサウンドが重なり合うジャズとグランジのハイブリッド「Soma」、ストリングスを前面に押し出した壮大なバラード曲「Spaceboy」まで、多様性に満ちた楽曲が収録されている。

Spaceboy (2011 Remaster)

 

4つのシングル

そして、おそらくより重要なのは、『Siamese Dream』に宿る本質的な大胆不敵さが、その後のバンドのキャリアにとって欠くことのできない4曲のスピンオフ・シングルを生んだことだ。

ビリー・コーガンがアメリカの音楽業界の現状を薄っぺらく攻撃した「Cherub Rock」(「金の匂いがする時だけ甘い蜜を吸いに来るのは誰だ?」と歌う)では、筋金入りのモータリック・ビートから本格的なヘヴィ・ロックへ劇的な移行を遂げた。

The Smashing Pumpkins – Cherub Rock

「Rocket」では、R.E.M.風のジャングルからシューゲイザー風の至福へと急展開し、ビリー・コーガンが自身の自殺願望について感情的に歌う「Today」は、ニルヴァーナの静と動の原動力を乗っ取り破滅的な効果を生み出している。

The Smashing Pumpkins – Today

しかし、このアルバムにおける最も素晴らしい瞬間は、間違いなく「Disarm」だろう。アコースティック・ギター、ティンパニ、ベルで構成され、内なる悲痛な思いを歌ったこの壮麗なバラード曲は、ビリー・コーガンとバンドメンバーの野心の深さが反映されているだけでなく、BBCをはじめとする一部のラジオ局がその過激な歌詞の内容により、オンエアを禁止した。

それにもかかわらず、1994年4月に全英TOP40で最高11位を記録し、彼らが世界的なブレイクを果たすきっかけを作ったのだ。

The Smashing Pumpkins – Disarm

 

大絶賛と大成功

アルバム『Siamese Dream』は発売されるやいなや、世界中のロック・メディアから高い評価を得た。UKでは、Select誌がこのアルバムを、「今年聴くことができる最も壮大で情熱的な音楽の爆発である」と宣言し、NME誌は「始まりから、深く満足させてくれる作品」と評している。

全米アルバム・チャートでTOP10入りを果たし、アメリカ国内だけで400万枚のセールスを記録した『Siamese Dream』は、次なる2枚組アルバム『Mellon Collie And The Infinite Sadness』で彼らをさらなる高みへと駆り立てたのだ。

Written By Tim Peacock



スマッシング・パンプキンズ『Siamese Dream』
1993年7月27日発売
CD / iTunes Stores / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music




 

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