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ショーン・メンデス「Treat You Better」解説：カミラへの想いを歌い、成功へと導いたヒット曲

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8月 29, 2024

ItoMasaki

Cover: Courtesy of Island Records

2016年、カナダ出身のシンガーソングライター、ショーン・メンデス（Shawn Mendes）はすでにポップ界のスーパースターだった。

ソーシャルメディアアプリ“Vine”で人気を博した彼は、2014年にアイランド・レコードに引き抜かれ、1年後にリリースしたデビュー・アルバム『Handwritten』で全米チャートで初登場1位を獲得し、ジャスティン・ビーバーの『My World 2.0』以来6年ぶりにデビュー作が全米1位を飾った最年少アーティストの称号を得ていた。

Shawn Mendes – ショーン・メンデス – 「トリ―ト・ユー・ベター」（日本語字幕付）

「Treat You Better」の制作

それからわずか14ヵ月後、ショーン・メンデスは2作目のスタジオ・アルバム『Illuminate』の発売に向けて準備を始めていた。アルバムに先駆けてリリースしたリード・シングル「Treat You Better」は、控えめながら感染力の強い、シンコペーションの効いたポップ・ナンバーで、自分と別れ、すでに別の人と付き合い始めた相手への未練を歌った曲だった。

ショーン、テディ・ガイガー、スコット・ハリスが共作した同曲はリスナーの心を打ち、全米シングル・チャートで最高6位を記録し、その後RIAAから7度のプラチナ認定を受けている。

スコット・ハリスはSongwriter Universeのインタビューの中で、この曲の制作について次のように振り返っている。

「テディは以前ショーンと仕事をしたことがあり、ショーンは僕たち3人が共作できることをとても楽しみにしていた。僕たちの波長はすぐに合った。本当にすぐに仲良くなって、この曲が完成した。実はデモを録音する直前にギター・パートを入れ替えるまでは、完全なレゲエ・ソングだったんだ」

もともとあったレゲエの軽快さを取り除いても、この曲の核心は薄れなかった。ファンの間では、ショーン・メンデスがこのシングルを誰のために書いたのか何年も推測が飛び交っていたが、Netflixで独占配信されたドキュメンタリー『ショーン・メンデス: ありのままの魅力』の中で、ついに彼のミューズがカミラ・カベロだったことが明かされた。

『ショーン・メンデス: ありのままの魅力』予告編 – Netflix

「この4年間はただの友達で、頻繁に会うこともなかったんだけど、ようやく一緒になれたんだ。彼女はいつだって僕のことを1人の人間として気にかけてくれるんだ。いつも僕をサポートしてくれる、それこそがパートナーだと思う」

「Treat You Better」は、ショーンがカミラに対する自身の感情に切り込んだものだが、ミュージック・ビデオはまた別のテーマで制作された。映像作品にストーリー性を求めていたショーンは、ライアン・パロッタが監督したこのビデオで虐待的な関係性を描いた。同ビデオの公開後、ショーンはPeople誌の取材にこう語っていた。

「ファンがビデオの最後に出てくるドメスティック・バイオレンスのホットライン（相談窓口の電話番号）に反応してくれたことがとても嬉しかった。そのメッセージを広めるという僕らの目的は本当にうまくいったと思う」

ドメスティック・バイオレンスという重要な問題に対する意識を高めるだけでなく、ショーンはこのビデオが視聴者に「お互いに正しく接する」ことについて考えさせることを望んでいたという。

「個人的には、感情的にも肉体的にも、様々な形で間違ったことが起こるのを目の当たりにしてきた。僕はただ、そうあってはならないというメッセージを広めたかったんだ」

2018年までにYouTubeの再生回数が10億回を突破した「Treat You Better」のミュージック・ビデオについて、「どのビデオの中でも、あれがヒットするとは思っていなかったから、クレイジーだよ」と当時彼はMTV Newsに語っていた。以来、このパワフルなビデオは注目を集め続け、2020年12月には20億回再生を達成。一方、「Treat You Better」は、アルバム『Illuminate』を見事に後押しし、ショーンの成功をさらに加速させた。

Written By Rhian Daly

ショーン・メンデス『Illuminate』
2016年9月3日発売
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