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75歳になったスコーピオンズのクラウス・マイネ、バンドの若いファンたちや過去と未来を語る
2022年2月25日に7年ぶりの新作アルバム『Rock Believer』を発売し、現在はこのアルバムを引っさげたツアーが7月まで予定されているドイツを代表するバンド、スコーピオンズ(Scorpions)。
そんな彼らのヴォーカリストであり、2023年5月25日に75歳の誕生日を迎えたクラウス・マイネの現地インタビューを掲載します。
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クラウス・マイネは、ハノーファーの自宅で誕生日を祝っていないかもしれない。なぜなら、スコーピオンズは、ロックバンドにふさわしく、今もツアー中だからだ。ゴールド・ディスク、プラチナ・ディスク、世界的な名声、50年以上のキャリア、そして現在、最新アルバム『Rock Believer』を携えて23回目となるコンサートツアーを世界各地で行っている。もちろん彼らは母国ドイツでも演奏しており、すでに5回、ドイツの大きなホールを埋め尽くしている。
ベルリンとリヨンでの公演の間に訪れた誕生日、クラウス・マイネが口笛を吹くのは、ヒット曲「Wind Of Change」ではなく、75歳の誕生日にケーキのろうそくを吹き消すときかもしれない。ノスタルジー、若いファン、ドラマ『ストレンジャー・シングス』について、彼に話を聞いた。
若いファンたち
――あなたが音楽を作り始めた頃、30歳以上のロックファンやミュージシャンはほとんどいませんでした。しかし現在では、そうではありません。現代のロックは年上向けの音楽になってしまったのでしょうか?
クラウス:若い世代は常に成長し、自分自身でロックを発見していると思うよ。もちろん、ヒップホップなどは若い層に受けているけど、若いロックファンもいるんだよ。年齢が上のファンっていうのは、単に音楽と一緒に育ってきただけだね。ロックの名曲の中には、初恋や初めてのキスのような体験と結びついているものも少なくない。その思い出が、音楽を通じて蘇るんだ。若い人たちは、InstagramやYouTubeなどのソーシャルメディアを通じて、自分で曲を発見する。そこでライヴを見たり、曲単位で知ったりして、地元でライヴがあることを知り、友人と一緒にライヴに来て、他のスコーピオンズのファンたちと一緒にロックして楽しんでくれるんだ。僕達の歌が若い世代に届くのは、本当にうれしいことだよ。
――あなたにとって、75歳の誕生日はどのような意味を持つのでしょうか?
クラウス:プライベートでは、友人と一緒にお祝いしたり、素敵なディナーを開いたりするのがいいと思うから、意味はあると思うよ。でも、旅に出ているときは、それほど大きな意味は持たないね。もちろん、このような節目の誕生日を、気分よく、友人たちと一緒にステージに立ち、音楽を奏で、ハッピーに過ごせる環境で祝うのもいいことだと思うけどね。
――あなたはどうやってその若さを保っているんですか?
クラウス:ツアーをやることや見ることが、僕らを若く保ってくれるんだ。いつまでこんなことを続けるのかと聞かれることもあるし、年をとると負担が大きくなるような気がする。でも、実際はそんなことはないんだよ。確かにツアーは疲れるし、何度も時差が変わることにもなるから、いろいろと大変だ。でも、ツアーで発したエネルギーは何千倍にもなって返ってくるし、それが僕たちの心を若々しく保ち、さらに上を目指すモチベーションにもなっているんだ。
――ギタリストのルドルフ・シェンカーの次の目標は100歳まで生きることだと宣言していますが、あなたの方はどうでしょう?
クラウス:それはまだ僕は彼から聞いていないなかったね(笑)。でも、僕が「いつかは休めるよ」と言うと、彼は90歳を過ぎてもツアーに出たシャルル・アズナヴールや、僕たちより少し年上のザ・ローリング・ストーンズのことを言うんだよ。常に自分に目標を課すルドルフは、その目標も達成するのだろうと想像できる。僕はというと、彼の流れに乗るだけだね(笑)。
「Wind Of Change」と「Rock You Like A Hurricane」のカバー
――「Wind Of Change」がYouTubeの再生回数で10億回を突破しました。あなたにとって、このような栄誉はどのような意味を持つのでしょうか?
クラウス:「ビリオンズ・クラブ(=10億再生入り)」はとても特別なものだよ、特にドイツの曲で10億の大台を突破することはあまりないしね。これ自体が素晴らしいことだし、特にファンのコメントを読むと、ファンのみんながまだこの曲を重要視してくれて、この平和のメッセージが彼らに届いていることがわかる。この曲が1991年にクールな曲で、2023年にもクールな曲で、3034年にもクールな曲であり続けることを目撃するのは嬉しいことだよ。
――恐竜の着ぐるみを着て子供たちのためにメタルを演奏するバンドHeavysaurusが、スコーピオンズの曲「Rock You Like A Hurricane」を「Dinos woll’n euch tanzen seh’n(恐竜は君のダンスが見たい)」に書き直して発表しています。このような世代交代は嬉しいものですか?
クラウス: 間違いなく嬉しいね。若い世代も僕たちの曲に魅力を感じてくれて、身近に感じてもらえるような企画があることは本当に嬉しいことだよ。例えば、大ヒットドラマ『ストレンジャー・シングス』では、「Rock You Like A Hurricane」も流れていたんだ(編註:シーズン2の第1話)。もちろん、それもとてもクールなことで、若い世代に広く浸透しているってことだよね。
彼ら若い世代はスコーピオンズ自体を意識して聴いたことがなくても、ドラマで流れた曲は好きになってくれる。こういった点で、長い年月を経て3世代にわたってプレイできるようになったことは、僕たちにとって大きな特権でもあるし、すべての年齢層にアプローチできることも重要だよね。
過去と未来
――あなたは、バックミラーを見て思い出に浸るのが好きな人ですか? それとも未来だけも見るタイプですか?
クラウス:僕たちは、今でも自分たちのルーツであるハノーファーとその周辺に住んでいる。特に、長いツアーの後、自分たちがとても親しんでいる場所に戻るのはいいことなんだ。街を車で走っていると、10代の頃によく過ごした場所で、昔の話を思い出すことがある。
10代の頃、地元の出身でもある若いバンドのレコードがウィンドウに飾られているレコード屋があったんだ。先日、その店があった交差点のすぐそばで、車の横に立っていた時に思い出したことがある。若い時に、自転車でその店まで行ってウィンドウの前に立ち、ガラスに鼻を押し付けて、「うわっ! あいつら本当にアルバムを出したんだ! すごいな!」と思ってたんだよ。そして今日、車の中に座っている僕は、自分でたくさんの売れたアルバムを出している。でも、僕は信号が青になったら、また前を向いていくんだよ。
――現在のツアーでは、世界中の巨大なスタジアムを回っていますが、2015年には小さなステージでもプレイしましたね。またそういった小規模な会場で演奏することは想像できますか?
クラウス:そうだね、ちょうどメンバーともそのことについて話したところなんだ。っていうのも、あらゆる方面から、今回のツアーの評判が良いって聞いているからね。もちろん、必ずしも大きなアリーナやフェスティバルで演奏する必要はない。特に夏に、ああいった小さな規模の会場で行うのは特別な魅力がある。だから、このツアーの後、つまり2024年に、コーブルク、ウルム、ボン、フルダといった小さな都市で再び演奏することも十分に想像できるんだ。前回行ったときは、ファンにとっても楽しい素晴らしいショーだったしね。
――とても良いホテルのベッドで寝ることが多いと思いますが、自宅のベッドが恋しいものですか?
クラウス:長いツアーから帰ってきて、やっと自分のベッドで眠れるというのは、本当に特別なことなんだよ。それもそのはずで、ツアー中は長時間のフライトで揺られ、寝不足になっていることが多いからね。大切な人がいる家に帰り、プライベートの時間を確保し、充電することができるのは、とても良いことだね。
――シャワーを浴びながら、「Wind Of Change」を口ずさむことはありますか?
クラウス:実は一度もしたことがないんだ。シャワーを浴びながら歌うようなタイプでもないしね。でも、朝、シャワーを浴びているときにラジオを付けるのは好きだね。それで一日が始まるのは素敵だよね。でも、一日の始まりはゆっくり、ゆっくり起きて、少しずつ声帯を温めていかなくちゃいけない。ツアー中はそうしているよ。普段は、前の日のコンサートですべてを出し切っているから、朝はまったく声を出さずに、その疲れを癒す。お茶を飲んだら、声帯の調子がよくなってきて、それからが本番だね。
Written By Andrea Leim
最新アルバム
スコーピオンズ『Rock Believer』
2022年2月25日発売
CD / iTunes Store / Appel Music / Spotify / Amazon Music
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