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ロキシー・ミュージック、ジョン・レノンの「Jealous Guy」カバーで唯一の全英1位を獲得
ジョン・レノンの死後、リリースされた彼のシングルが2枚連続で全英1位を記録してからわずか3週間後、ジョン・レノンは他のアーティストに楽曲とヒントを授ける存在になっていた。1981年3月14日、ロキシー・ミュージックがカヴァーした「Jealous Guy」は全英チャートの首位に立ったのだ。
ロキシー・ミュージックにとって唯一の全英1位シングルとなったこのカヴァー・ヴァージョンは、彼らがジョン・レノン暗殺の翌日にドイツのテレビ番組に出演予定だったことから生まれた。追悼のためにジョン・レノンの楽曲を披露することにした彼らは、ブライアン・フェリーのお気に入りのこの1曲を選んだ。ジョン・レノンはザ・ビートルズが『The Beatles』のレコーディングを進めていたころ、「Child Of Nature」のタイトルでのちに「Jealous Guy」に改題されるオリジナル・ナンバーを制作していた。しかしポール・マッカートニーが「Mother Nature’s Sun」と曲名が似ている楽曲を書いていたこともあり、ジョン・レノンの「Child Of Nature」はアルバム『Imagine』で新しいタイトルを与えられるまで発表はお蔵入りになった。
ロキシー・ミュージックがテレビで披露した「Jealous Guy」は大好評を博し、すぐにレコーディングすることが決まり、このカヴァー・ヴァージョンはポリドールから1981年の新年に発表された。
1981年の1月はジョン・レノンの死を悼む大衆の支持を受け、その月の大半は「Imagine」が英チャート首位のポジションを独占した。そして2月になると、ジョン・レノン&オノ・ヨーコの最新シングル「Woman」がその座にとって代わり、首位を2週間維持。その後、ジョー・ドルチェ・ミュージック・シアターの一風変わったシングル「Shaddup You Face」の1位を経て、いよいよロキシー・ミュージックの「Jealous Guy」がジョン・レノンのファンたちの待ち望んだ成功を手にすることになった。ブライアン・フェリーはこの4年後にライヴ・エイドで同曲を披露している。ピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモアのギター・ソロを伴ったそのステージで、世界中のファンは改めてジョン・レノンを追悼したのだった。
Written by Paul Sexton