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ザ・ローリング・ストーンズのベスト・コラボレーション・トップ10
優れたバンドには必ず、かけがえのない仲間や重要なコラボレーターがいるものである。ザ・ローリング・ストーンズの面々は60年に亘りロック界の最前線で活躍し続け、唯一無二のキャリアを築き上げてきた。だが彼らがそうしてこられたのも、同業の仲間たちからの助力あってこそだ。ストーンズはこれまでに一流のミュージシャンたちと、素晴らしいコラボレーションを果たしてきたのだ。
グループの仲間内だけを見ても、ボビー・キーズ、ビリー・プレストン、ニッキー・ホプキンスといったお馴染みの顔ぶれや、非凡なプロデューサーたちが長きに亘り際立った貢献をしてきた。また、チャック・リーヴェル、ブロンディ・チャップリン、バーナード・ファウラー、リサ・フィッシャーら、長年のツアー・メンバーたちの活躍も見過ごすことはできない。
しかしこの記事では、ライヴとスタジオのいずれかでストーンズの歴史に名を刻んできた10名のゲスト・ミュージシャンを取り上げたい。
また、2023年に発売された最新アルバム『Hackney Diamonds』にはレディー・ガガや、エルトン・ジョン、スティーヴィー・ワンダーなども参加しているが、本稿では最新アルバム以前までのものをまとめている。
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10位「Wild Horses」with フローレンス・ウェルチ (ロンドン・スタジアム/2018年5月22日)
これは非常に高い評価を受けた2018年の母国凱旋ツアーの一幕で映像に残されたほか、『Honk』のデラックス・エディションにも収録された演奏だ。同公演でミック・ジャガーは、フローレンス・アンド・ザ・マシーンのシンガーとともに『Sticky Fingers』収録の名曲を歌い上げた。
9位「Little Red Rooster」with トム・ウェイツ (オラクル・アリーナ、オークランド/2013年5月5日)
1960年代後半から現在に至るまで、ストーンズはステージにゲストを迎え続けてきた。それはオープニング・アクトを務めたアーティストであることもあれば、一度きりの驚くようなコラボ相手であることもあったが、”リックス・ツアー”のこの一夜で彼らはトム・ウェイツと共演した。
トム・ウェイツはまるでハウリン・ウルフ本人が乗り移ったかのように、ブルースのスタンダード・ナンバー「Little Red Rooster」を特徴的な唸り声で歌い上げた。
なお、ストーンズの面々は1964年に同曲を英チャートのトップに送り込んでいる。
8位「One Hit (To The Body)」with ジミー・ペイジ (『Dirty Work』収録/1986年)
そのウェイツが1986年のアルバム『Dirty Work』にバック・ヴォーカルで参加していることは忘れられがちだ。それは、同作からの2ndシングル「One Hit (To The Body)」でジミー・ペイジがソロを弾いているという事実もまた同じである。彼はスタジオに滞在した短い時間で、このソロをテープに吹き込んだのだという。
気ままな遊び心を大切にすれば素晴らしいことが起こる、とストーンズはこれまでに何度も証明しているが、この演奏もその一例である。
7位「As Tears Go By」with テイラー・スウィフト(ユナイテッド・センター、シカゴ/2013年3月13日)
記憶に残るこのゲスト出演が実現したとき、テイラー・スウィフトは21世紀を代表するスターとしての地位を確かなものにしていた。だが、魅力溢れるライヴ映像からわかるように、現代のアイドルもストーンズを前にすると恐縮してしまうものなのだ。
テイラーは、ミックとキース・リチャーズ、そしてアンドリュー・ルーグ・オールダムの3人が1964年にマリアンヌ・フェイスフルへ贈った1曲をジャガー本人とともに歌い上げた。
6位「Harlem Shuffle」with ボビー・ウォーマック (『Dirty Work』収録/1986年)
こちらも『Dirty Work』の収録曲で、ストーンズが長年の友人に恩返しをした1曲だ。ボビー・ウォーマックはいまから40年以上前に、彼らにとって初の全英ナンバー・ワン・シングルとなった「It’s All Over Now」を共作した張本人だったのである。
この「Harlem Shuffle」はボブ&アールのヒット曲を巧みにカヴァーしたものだが、ウォーマックはソウルフルな彼らしい歌声でそこに華を添えている。
5位「Honky Tonk Women」with シェリル・クロウ (マディソン・スクエア・ガーデン、ニューヨーク/2003年1月)
117公演に及ぶ”リックス・ツアー”は、ストーンズの40周年を記念しての一大行事の一環として行われた。そのステージには観客を沸かせる豪華ゲストも出演したが、同ツアーの北米日程の多くで前座を務めていたシェリル・クロウもその一人だ。
彼女は「Honky Tonk Women」のエネルギッシュなライヴ・ヴァージョンで、ジャガーを完璧に引き立ててみせた。その音源は現在、複数フォーマットでリリースされたアルバム『Licked Live In NYC』で聴くことができる。
4位「Everybody Knows About My Good Thing」with エリック・クラプトン (『Blue & Lonesome』収録/2016年)
これも、偶然と気ままな遊び心によって実現した奇跡の名演である。マーク・ノップラーの所有するロンドン西部のブリティッシュ・グローヴ・スタジオでストーンズの面々が『Blue & Lonesome』を制作していた際、ちょうどスタジオの隣の部屋でアルバム『I Still Do』を録音していたのが、ほかならぬ彼らの旧友、エリック・クラプトンだったのだ。
結果としてクラプトンは、『Blue & Lonesome』の2曲にゲスト参加。この久々の再会はキース曰く「かつてのリッチモンドでの日々のようだった」という。
3位「Everybody Needs Somebody To Love」with ソロモン・バーク (ウィルターン・シアター、ロサンゼルス/2002年11月4日)
ストーンズの面々はいつだって、自らに影響を与えたアーティストたちへ感謝を伝えることを忘れなかった。その影響源とはつまり、米国のブルース/ソウル界を切り拓いてきた先駆者たちである。というのも、ストーンズはそうしたミュージシャンたちの音楽を自分たちなりにアレンジし、米国をはじめとする世界各国へ発信して成功を手にしたのだ。
1965年作『The Rolling Stones No.2』のオープニング・ナンバーの共作者であるソロモン・バークもその一人で、このライヴでは御大自らが同曲でストーンズとの共演を果たしている。
2位「Gimme Shelter」with メリー・クレイトン (『Let It Bleed』収録/1969年)
数々のシンガーがゲストとしてザ・ローリング・ストーンズの楽曲を彩ってきたが、その中でも特に長く愛され続けている名演を残したのは、当時ほとんど無名だったアーティストである。そして、そのソウルフルな歌声はスーパースターとしての人気を得るに相応しいものだったが、残念ながら彼女はそうはならなかった。
『Let It Bleed』の収録曲である「Gimme Shelter」が時代を代表する重要曲となったのは、楽曲に緊張感をもたらしたメリー・クレイトンの見事な歌声のおかげなのである。
1位「Hoochie Coochie Man」with マディ・ウォーターズ (チェッカーボード・ラウンジ、シカゴ/1981年11月22日)
ストーンズの面々は自らの影響源にオマージュを捧げることもあれば、原点にそのまま立ち返ることもある。ミック、キース、ロニー・ウッドの3人は、1981年にシカゴのクラブで生涯の思い出になる一夜を過ごした。その特別なステージで彼らが再会したのは、”ザ・ローリング・ストーンズ”という名前の由来となったシングルを1950年にチェス・レコードから発表した人物だったのである。
映像にも残された同ライヴで当のマディ・ウォーターズは、誇らしげな父親のような表情で椅子に座ったままパフォーマンスをしてみせた。
Written By Paul Sexton
ザ・ローリング・ストーンズ『Hackney Diamonds』
2023年12月15日発売
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