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ロジャー・ダルトリー、魂を宿した最新作『As Long As I Have You』

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 今年3月にシングル「As Long As I Have You」が発表されて以来、ファンが待ち望んでいたロジャー・ダルトリーの同名タイトルの最新フル・アルバムが2018年6月1日にリリースされた。ソロ名義のスタジオ・アルバムとしては1980年の『McVicar』から9作目にして、1992年の『Rocks In The Head』以来となる今作によって、ロジャー・ダルトリーが完全復活したことをメディアもファンも共に感じているはずだ。

このアルバムの制作は、2014年に発表された英ロック/R&Bギタリスト、ウィルコ・ジョンソンとのコラボレーション・アルバム『Going Back Home』で大成功を収めた後に、今作やマニック・ストリート・プリーチャーズの作品はじめ、ピート・タウンゼントが書いたザ・フー2014年発表のシングル「Be Lucky」のプロダクションでも高く評価されていたプロデューサーのデイブ・エリンガと共に、ザ・フーの最新ツアーの合間に継続的に行われていたという。

 

また、『As Long As I Have You』収録の11曲中、7曲でピート・タウンゼントの卓越したギターを楽しめるだけでなく、ポール・ウェラーとのスタイル・カウンシルで知られるミック・タルボットのキーボードもフィーチャーされている。

ロジャー・ダルトリーが髄膜炎を患ったことにより、一度は中断されかけていた今作の制作だったが、ピート・タウンゼントが協力を申し出、完成までを後押ししたという。

私たちはこうして無事アルバムが結実したことに感謝しつつ、「ロジャー・ダルトリーが一曲一曲に体当たりすることで、自分のものにした」というMojoや、インデペンデント紙の「彼の闘病とウィルコ・ジョンソンとのコラボ作品での成功がもたらした心を打つアルバム」といった、今作へのメディアからの評価にも共感できる。

アルバムの一曲目を飾る、R&Bスター、ガーネット・ミムズが1964年に発表した秀逸な楽曲のカヴァーこそが、この作品を象徴するものであり、ロジャー・ダルトリーが「自分にとって意味のある歌を見つけたかった。”ウー・ベイビー・ベイビー”みたいな曲をずっとやっていくことはできないからね。」とデイリー・テレグラフ紙に語っているように、彼がシンガーとしてこのプロジェクトをやり遂げるに至った原動力であったとも言える。

スティーヴィー・ワンダー「You Haven’t Done Nothin’」の力強いカヴァーをはじめ、このアルバムの数曲では、55年以上に及ぶ彼のキャリアにおいてずっと変わらない、パワフルでしなやかな声を堪能することができる。スティーヴン・スティルスの名盤『Manassas』からの「How Far」もそのミッドテンポでノリの良いアコースティックな曲調が彼の声にぴったりはまっている。

一方で、ニック・ケイヴ「Into Your Arms」の優しいピアノ・カヴァーや彼のソングライティングが光る「Certifed Rose」や最後のバラード楽曲「Always Heading Home」など、彼の繊細さと脆さが表現されている作品でもある。

所謂全てがソウルフルな曲ばかりではないが、ロジャー・ダルトリーが自分自身をさらけ出している作品ではあることは間違いなく、彼自身も「今ならソウルを歌うことができるよ。人生がソウルを宿してくれたからね」と語っている。

Written by Paul Sexton



ロジャー・ダルトリー『As Long As I Have You』

   

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