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reDiscover:カーペンターズ『Carpenters』

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カレンとリチャード・カーペンター兄妹が1970年発売のアルバム『Close to You (邦題:遙かなる影)』で驚異的な成功を収めた時(USチャートで2位、カナダで1位、そしてUKチャートでトップ30にランクイン)、中にはそれをまぐれだと思っていた人たちもいた。しかし9ヶ月後の1971年6月に発売された次作のセルフ・タイトル・アルバム『Carpenters』は、再びUSアルバム・チャートにランクインし、その直後には全米ベストセラー・チャートで2位に、そしてUKでは12位にランクインを果たした。

それは素晴らしいアルバムで、厳選されたカヴァー曲、リチャードとジョン・ベティスによるオリジナル曲、そしてオープニング・トラックとしてロジャー・ニコルスとポール・ウィリアムス作の人気高い「Rainy Days and Mondays(邦題:雨の日と月曜日は)」が含まれている。

ニコルス&ウィリアムス作の「Let Me Be The One(邦題:あなたの影になりたい)」はシングルとしてリリースされなかったにも関わらず今でも多くのファンに愛されている。その他の傑出したトラックとして映画『ふたりの誓い(原題:Lovers and Other Strangers)』のために書かれた「For All We Know(邦題:ふたりの誓い)」も収録されている。この曲はブレッドのメンバーであるロブ・ロイヤーとジェイムス・グリフィンが作詞を手掛けたが、偽名が使用されている。

B面オープニング・トラックの「Superstar」は1969年にボニー・ブラムレットとレオン・ラッセルが作曲し、リチャードとカレン・カーペンターが1971年初期にレコーディングを行う以前から歴史ある楽曲だった。デラニー&ボニーは最初のヴァージョンを1969年後半にレコーディングし、エリック・クラプトンがギターで参加している。USでは84位だったが、UKでは16位にランクインしたシングル「Comin’ Home」のB面としてリリースされ、「デラニー&ボニー&フレンズ featuringエリック・クラプトン」とクレジットされていた。当時は「Groupie (Superstar)」のトラック名でリリースされた。

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1970年にジョー・コッカーが有名なアルバム『Mad Dogs & Englishmen』のツアーを行った時、バンド・リーダーのレオン・ラッセルとリタ・クーリッジが同トラックをカヴァーし、その頃には「Superstar」と呼ばれるようになった。そしてカーペンターズは、悲しげなオーボエを演奏するアール・ダムラー、ベースにジョー・オズボーン、そして多作なセッション・ドラマーのハル・ブレインの協力を得てカヴァーを手掛けた。リチャード・カーペンターはデラニー&ボニーや『Mad Dogs…』のヴァージョンを知らなかったが、アメリカのテレビ番組「Tonight Show」でチャート入りする前にベット・ミドラーがこのトラックを歌う姿を見て興味を抱いた。ベットはデビュー・アルバム『The Divine Miss M』にこの曲を収録。同トラックはカーペンターズの傑出した代表作となった。

リチャードは作曲家バート・バカラックとハル・デヴィッドの作品の大ファンで、彼らの多くの名曲に新たな命を吹き込んだ。アルバムの最後にはフェリス・マンシーニとヘンリー・マンシーニによる壮麗な「Sometimes」が収録されているが、カーペンターズの数多くある名作の中ではあまり知られていない曲である。

カーペンターズをイージーリスニングと考える者は肝心な部分を理解していない。編曲の素晴らしさ、カレンの声の美しさ、そしてそれらすべてを一つにまとめるリチャードの技能は、その枠を遥かに超えている。


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