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reDiscover:ニール・ダイアモンド『Stones』
ニール・ダイアモンドは、1970年代初期に手に入れたアメリカ人ソングライター/パフォーマーとしての揺るぎない地位を満喫するまでには厳しい道のりと苦労を経験してきた。ブルックリン出身のスターとなったダイアモンドの新作発売は一種のイベントとして扱われ、LP『Stones』も例外ではなかった。すでに全米チャートでランクインしていた作品は後に50万枚の売上でゴールド・ディスクを獲得することになり、1971年12月11日にはUKベストセラーの大ヒットとなった。
『Stones』はダイアモンドにとってUKチャート入りを果たした3枚目のLPとなったが、パワフルなヒット・シングル「I Am…I Said」が火付け役となりLPは欧米でヒットとなり、今でもダイアモンドを代表する作品となっている。ニューヨークとロサンゼルスという2つの世界の間で途方に暮れるアーティストの気持ちを歌っている。
“自分の夢、願望、そして自分というものを表現しようと意識的に試みた”とダイアモンドは「I Am…I Said」についてMojo誌のインタビューで語っている。“疑いなくこの曲は分析者としての自分と一緒にセッションで作られたもの”
『Stones』のオープニング・トラックとして収められている「I Am…I Said」は、USとUKの両方で4位にランクインした。しかし1970年発売の前作『Tap Root Manuscript』では1曲以外すべての作曲を手掛けていたが、『Stones』では10曲の内3曲だけを作曲している。作曲を手掛けたタイトル・トラックも同時に全米シングル・チャートを上昇し14位にランクインされ、3枚目のオリジナル・トラック「Crunchy Granola Suite」はダブルA面として発売された。アルバムの最後に再び「I Am…I Said」が収録されている。
オリジナル曲以外のトラックは、当時の他のミュージシャンやダイアモンドが好きな曲のカヴァーとして独自の解釈で表現している。ロジャー・ミラーの1966年のヒット曲「Husbands and Wives」はテンポを変えて歌い、ジョニ・ミッチェル(「Chelsea Morning(邦題:チェルシーの朝)」)、レナード・コーエン(「Suzanne」)、そしてランディ・ニューマン(「I Think It’s Going To Rain Today」)などの名曲をカバーしている。その他にもアルバムには多くのミュージシャンにカヴァーされているジャック・ブレルとロッド・マッケンの悲しげな「If You Go Away(邦題:行かないで)」と、フォーク界の導き手であるトム・パクストンの「The Last Thing On My Mind」も収録されている。
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