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ロバート・パーマー『Sneakin’ Sally Through The Alley』
初期の頃の作品からロバート・パーマーがまれな音楽的才能の持ち主であることははっきりとしていた。しかし、ジャズ・ロック・フュージョンのダダやヴィネガー・ジョーを経由して活躍していたアラン・バウン・セットの頃から考えると、アイランド・レコードから発売された1974年のソロ・デビュー作品のその洗練されたソウル溢れるサウンドは誰も予期していなかったはず。『Sneakin’ Sally Through The Alley』を再発見するには十分以上の理由だろう。
2003年に54歳で亡くなるまでにロバート・パーマーが制作した14枚のスタジオ・アルバムはどれも新たに評価するに値する作品である。しかし『Sneakin’ Sally Through The Alley』を今でも推すのは、彼のR&B、レゲエ、そしてロックの影響を魅力的に融合して作り出されたサウンド、そして繊細さを表現するまれなスキルを初めて披露した作品であるからだ。
ニューオーリンズ、特にアラン・トゥーサン、から発せられた特有のソウルに対するロバート・パーマーの愛情がこの作品ではむき出しになっている。タイトル・トラックと記憶に残る「From A Whisper To A Scream」の2曲はカヴァー曲だった。アルバムのその素晴らしいサウンドには、数年前にニューオーリンズから出現したミーターズも貢献している。イギリス人のジム・ミューレンとサイモン・フィリップスも参加している。
ロバート・パーマーは、当時流行っていたロサンゼルスのリトル・フィートとフロントマンのローウェル・ジョージが作り出すセクシーなソウル・ロックにも興味を持っていた。1972年のセカンド・アルバムに収録されていたタイトル・トラック「Sailing Shoes」はロバート・パーマーのデビュー作品のファースト・トラックとして収録された。さらに、ローウェル・ジョージ自身がカヴァーでギターを弾き、その他にもアルバムに収録されている4曲でギターを演奏している。
しかし『Sneakin’ Sally Through The Alley』は、ロバート・パーマーが才能ある作曲者であることを示し、新曲を4曲と、ローウェル・ジョージと共作した「Blackmail」も収録されている。最終トラック「Through It All There’s You」は催眠作用のあるリスナーを楽しませる12分トラックで、同じアイランド・レーベルのスティーヴ・ウィンウッドがエレクトリック・ピアノを弾いている。3作目の『Some People Can Do What They Like』の頃になってイギリス人リスナーも増え始めたが、『Sneakin’ Sally Through The Alley』はアメリカのチャートで最高107位に、そして15週間ランクインした。
ロバート・パーマー『Sneakin’ Sally Through The Alley』
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