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ポール・ウェラー『Paul Weller』:ソロとしてのキャリアを大成功へと導いた作品
1990年代初期のポール・ウェラーは変化し続ける男だった。多くの作品を生んだイギリス人シンガーソングライター/フロントマンのウェラーは、ザ・ジャムに続いてザ・スタイル・カウンシルを1980年代終わりに脱退した頃には、12年以上もの間、成功を維持し続けていた。1992年リリースの『Paul Weller』は、ソロとしてのキャリアを大成功へと導き、今でも成功の要因であり続ける。
90年代が始まり、ウェラーは初めてリードしなければならないバンドなしでソロとして一人で立っていた。ソロとしてのキャリアを歩もうとしていたが、バンドのような名前を好んだために、過小評価されたシングル「Into Tomorrow」をポール・ウェラー・ムーヴメント名義で1990年に彼のレーベル、フリーダム・ハイ・レコードからリリース。
UKでは大ヒットではなく36位にランクインしたが、ウェラーが過去の男だけではないことをゴー!ディスクス・レーベルに証明するには十分だった。同レーベルと新しい契約を結び、ウェラーは自分の名前の付いたアルバムをソロ・デビュー・アルバムとしてリリースした。先に日本で1992年の春に、そして母国では同年の9月に発売された。
『Paul Weller』はUKで8位にランクインし、ゴールド・ディスクを獲得した。後にリリースされる作品ほどは知られていないが、今作には初のソロ・ナンバーワンとなった「Wild Wood」や「Stanley Road」が収録されており、“モッドファーザー”と呼ばれ敬愛されるまでの地位を築き上げる土台となり、知名度は低いものの素晴らしい曲が多く含まれている。
ポール・ウェラーが1960年代のR&Bを崇拝しているのが「Uh Huh Oh Yeh!」、「Into Tomorrow」、「I Didn’t Mean To Hurt You」などから伝わってくるが、「Bull-Rush」ではウェラーがジャズとサイケデリアの両方の良さを取り入れる優れた才能があることを思い出させてくれる。「Remember How We Started」は夏向きの最高のジャズ・ポップで、シングル「Above The Clouds」はクールなスタイル・カウンシルを彷彿とさせる。「The Strange Museum」ではトラフィックから受けた影響を少しだけほのめかしているが、「Wild Wood」ではそれがより明らかになっている。
いつまでも彼について書き続けられるが、まずはここでアルバムの2009年発売のデラックス・リイシュー盤を聴いてもらいたい。『Paul Weller』は、9月にリリースされた『Classic Album Selection: Volume 1』のCDリイシュー・ボックスセットに含まれている。
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