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幅広い称賛を受けることになるニーナ・シモンの『Wild Is The Wind』
無類のヴォーカル・スタイルを持ったニーナ・シモンは、1958年のデビュー・アルバム『Little Girl Blue』から、初の全米チャートに登場するまでに3年かかった。1964年のライヴ・アルバム『Nina Simone In Concert』が再びチャートにランク・インし、1965年6月には『I Put A Spell On You』で、そしてそこから4ヶ月経たない間に『Pastel Blues』でポップ・アルバム・チャートに2度彼女の名前が登場した。
同年の頭にBillboard誌で紹介された『I Put A Spell On You』はR&Bチャートにランク・インされることはなかったが、2枚目の『Pastel Blues』はトップ10入りを果たし、最高8位にランク・インされた。ポップ・チャートでは139位にランク・インしているので、当時のニーナ・シモンの観客は主にR&B市場であったことがわかる。後から考えて何よりもショックなことは、ニーナ・シモンがそれ以来ソウル・アルバム・チャートのトップ10入りを果たすことがなかったことだ。
そうは言うものの、1966年9月10日から14ヶ月間の間に4トラックがチャートの仲間入りを果たし、「Wild Is The Wind」が23位にランク・インした。ポップ・チャートに登場する2ヶ月近く前には、フィリップス・レーベルからの6作目のアルバムがソウル・チャートへのデビューを果たし、ボビー・ヘブの『Sunny』とジェームス・ブラウンの『Soul Brother No.1』のすぐ後にランクされている。
ニーナ・シモンの11曲が収録されたアルバム『Wild Is The Wind』は他の作品と同じくニューヨーク生まれの作曲家・編曲者のハル・ムーニーがプロデュースを手掛け、ニーナ・シモンが作曲した典型的な勇敢で社会的な主張をする「Four Women」が収録されている。アルバム・タイトルはディミトリー・ティオムキンとネッド・ワシントンが作曲した曲から付けられており、1957年の同名の映画で使用されたジョニー・マティスのアカデミー賞にノミネートされたヴァージョンによって世に紹介された。デヴィッド・ボウイもこの曲の多くのファンの一人で、1976年のアルバム『Station To Station』ではカヴァーが収録されている。
ニーナ・シモンは1966年の3月に行ったニューヨークのスクエア・イーストでのコンサートにて最初に「Wild Is The Wind」を歌い観客たちに感動を与えた。Billboard誌の評論家クロード・ホールはこう書いている「高まるテンポと高まるエンディングで心をドキドキさせる曲だった。彼女のピアノ演奏は素晴らしく、その歌声は主に楽器として使用されており、総合効果に大きな影響を与えている」。
その他にも注目すべきトラックとして、伝統的な曲「Black Is The Colour Of My True Love’s Hair」とジェームズ・シェルトンの「Lilac Wine」のカヴァーが含まれている。「Lilac Wine」はイギリス人の多くにとって、後にエルキー・ブルックスのカヴァーがヒットしたことにより親しみがある曲となった。ジェフ・バックリィの歴史に残る1994年のアルバム『Grace』にも収録された。
『Wild Is The Wind』はR&Bチャートの12位に、そしてポップ・チャートの110位にランク・インした。その後に幅広い称賛を受けることになる。
Written By Paul Sexton
ニーナ・シモン『Wild Is The Wind』