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フィリップス移籍第一弾、ニーナ・シモンの極めて重要なアルバム『Nina Simone In Concert』
『Nina Simone In Concert』はニーナ・シモンのキャリアで極めて重要なアルバムである。サウス・キャロライナ州出身のユニークなヴォーカリストが、新しいレーベルのフィリップスから初めてリリースした作品だ。レーベルは、ニーナ・シモンの新たな章を大胆にもライヴ・アルバムでスタートを切ることを決めた。このアルバムは、ニーナ・シモンの優れたコンサート、そして初めて、彼女を公民権運動の唯一の声に仕立て上げた果敢な道理を捉えている。
アルバム『Nina Simone In Concert』は、1964年の3月と4月にニューヨークのカーネギー・ホールにて行われた3回のステージを収録したものだ。ニーナ・シモンは31歳となり、レコーディング・アーティストとなってから6年が経っていた。その1年前に有名な会場にてコンサートを行っており、その様子はコルピックス・レーベル時代の終盤にアルバムとして発売。過去の作品を振り返りながら新しい章に向けて前進する彼女のステージを捉えた『Nina Simone In Concert』では、素晴らしいパフォーマンスが驚くほどに透明感があり、針が落ちる音も聴こえてくるのではないかと思うほどだ。
アルバムは1958年のデビュー作『Little Girl Blue』に収録されており、ジョージとアイラ・ガーシュウィンの『ポーギーとベス』からの優しくて魅力的な「I Loves You Porgy」で始まる。クルト・ヴァイルとベルトルト・ブレヒトの『三文オペラ』からの「Pirate Jenny」では、見事な解釈とドラマチックなテンションでその役を演じながら、黒人に対する差別と抑圧と向き合い、物語を通じて人の心を掴んでいく。
続くトラックはニーナ・シモンが共作した曲で、「Old Jim Crow」は人種差別を強化して黒人たちの自由を妨げてレコーディング当時もまだ存続していた悪法ジム・クロウ法について歌っている。「Don’t Smoke In Bed」ではニーナ・シモンの一流のピアノ演奏が披露されており、続く2曲も社会的な主張をするパワフルなトラックとなっている。
「Go Limp」は陽気なメロディと典型的で大胆な筋を結びつけ、美徳を犠牲にするのではないかと恐れる母親が娘に対してNAACP(全米黒人地位向上協会)に入るなと注意している。ニーナ・シモンはいたずらっぽく観客たちにも歌うように誘い、その後には“次の歌詞を忘れちゃった!”と言ってアドリブで歌い始め、うっとりと聞き入る観客たちの前で心から笑う。そして総立ちの拍手喝采が起こる。
最終トラックは彼女の楽曲「Mississippi Goddam」で、彼女はそれを“まだ映画は書かれていないけど映画のサントラだ”と言い、この曲では1963年に起こった人種差別が動機の忌まわしいミシシッピ州のメドガー・エヴァーズの殺害とアラバマ州の教会爆破事件についてひるむことなく歌っている。『Nina Simone In Concert』は、レコーディングの歴史を代表する素晴らしいライヴ・アルバムの一枚であることは間違いない。
Written By Paul Sexton
ニーナ・シモン『Nina Simone In Concert』
♪ プレイリスト『Nina Simone Best Of 』
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