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reDiscover :ビー・ジーズ初のインターナショナル盤『Bee Gees’s 1st』
2017年6月、グラストンベリー・フェスティヴァルでのバリー・ギブのパフォーマンスを称賛する拍手が鳴り響き、その勢いに乗ってビー・ジーズのアルバム『Timeless — All Time Greatest Hits』がUKトップ10入りを果たした。その記憶に残るステージは、1967年7月に発売されたグループ初のインターナショナル盤のアルバム『Bee Gees’ 1st』の50周年記念を迎える少し前に行われた。だからこそぜひ『Bee Gees’ 1st』を再発見(reDiscover)してもらいたい。
ギブ兄弟はもちろんそれまでに第二の故郷であるオーストラリアにて数年間レコーディングをしてきた。ファースト・シングル「The Battle Of The Blue And The Grey」は1963年に発売され、続いて最初の2枚のアルバムとなる1965年の『The Bee Gees Sing And Play 14 Barry Gibb Songs』と翌年の『Spicks And Specks』をオーストラリアのレーベルから発売した。
しかし1967年1月に故郷であるイギリスに戻り、粘り強いビジネスマンとして知られるロバート・スティグウッドにマネージメントを任せたことにより、ポップ界の歴史に残る記憶すべき1年はバリー、モーリス、そしてロビンにとって非常に重要な年となった。3月を迎える頃にはロンドンのポートランド・パレスにありBBCのほぼ隣に立つIBCスタジオにて、バリーとロビン・ギブが作曲を手掛けたコンテンポラリー、そして時にはサイケデリック・ポップの14曲がレコーディングされた。
7月14日にイギリスにて発売されたアルバムには、 3月にリリースされたヒット・シングル「New York Mining Disaster 1941」が含まれている。キャッチーなメロディとありのままの歌い方をしたシングルが流行るまで少し時間がかかり、チャート登場時のランクは控えめな43位だったが、後に5週間トップ20にランクインされ、5月の終わりには最高12位の位置についた。
『Bee Gees’ 1st』に同じく収録された2枚目のシングル「To Love Somebody」は長いことビー・ジーズの傑作として扱われた曲であるにも関わらず、イギリスではヒットしなかったことは忘れられがちである。アルバム発売と同時にチャートに登場したシングルは、トップ50チャートの40位以下に何とか1ヵ月間ランクインされ、最高位置は41位だった。ニーナ・シモンの素晴らしい1969年のカヴァーのお陰で、イギリスでトップ5のヒットとなった。
そうは言うものの『Bee Gees’ 1st』が発売されたことによってビー・ジーズは、特に『Sgt. Pepper~』時代のモダン・ポップと比較され、新しいザ・ビートルズとしてメディアにもてはやされた。アルバムには「Red Chair, Fade Away」のようなサマー・オブ・ラヴのようなトラックや、宗教的な「Every Christian Lion Hearted Man Will Show You」が収録。その他には、より従来のスタイリッシュにアレンジされた「One Minute Woman」や「I Can’t See Nobody」も含まれている。
『Bee Gees’ 1st』に収録された14トラックすべてに共通するのは、その後数十年とギブ兄弟のトレードマークとなる曲作りに対する厳密な心遣いがあったことだ。9月になる頃にはイギリス・シングル・チャートにて代表曲となる「Massachusetts」が1ヵ月間1位の座についた。デビュー・アルバムには収録されなかったが、お陰でビー・ジーズは一目置かれるべき揺るぎない存在となった。
「Massachusetts」がゆっくりとチャートを降下する中で、次のヒット曲「World」がトップ10へと上昇。それら2曲の連続スマッシュ・ヒットのお陰で、アルバムにも人気の火がつけられた。8月には34位にランクインされ、トップ40に26週間という長期間に渡り登場したが、ピークの8位にランクインされたのは11月となった。現在、ビー・ジーズはシングルとアルバムの両方のシーンにおいて、メジャー・バンドとしての不変の存在を守り続けている。
Written By Paul Sexton
『Bee Gees’s 1st』
『タイムレス:オール・タイム・グレイテスト・ヒッツ』
バリー・ギブ自らが選曲した21曲をクロノジカルに並べた最新ベスト。日本盤12/6初発売。
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