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クイーン+アダム・ランバート『Live Around The World』発売記念Q&Aイベント、日本語訳全公開
クイーン+アダム・ランバートとしての映像も付いた初のライブ・アルバム『Live Around The World』(購入はこちら)の発売を記念してブライアン・メイ、ロジャー・テイラー、そしてアダムの3人が参加した生配信トークイベント。世界中のファンやメディアから質問が募集され、メンバーがそれに答えたこのイベントの全文を日本語でご紹介します(質問者の中には、世界的ミュージシャンが二人も!)。
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司会:おはよう、こんにちは、こんばんは、世界中の皆さん、マット・エヴェレットです。クイーンのスペシャル・ライヴ・イベントにようこそ。明日、クイーン+アダム・ランバートのニュー・アルバムCD/DVD/Blu-ray『LIVE AROUND THE WORLD』がリリースされます。世界中200以上のコンサートから厳選された新作のリリースを前に行うこのイベントが特別なのは、ロジャー・テイラー、アダム・ランバート、そしてブライアン・メイのご本人たちが今、隣に座ってくれているからです。お三方、ありがとうございます。近くに座っているように見えますが、全員PCR検査で陰性判定も出ており新型コロナ対策は万全ですのでご安心を。今夜はありがとうございます。最近はどうされていましたか?
ロジャー:元気でやっているよ。今、誰もが直面している状況を考えると、元気だよ。アダムは?
アダム:Great! ここに来られて嬉しいですね。
ブライアン:いいですよ。退屈な時期もあったけど、こうしてここにいられるのは嬉しい。みんなも見てくれてありがとう。生でこれが配信されているなんてすごいね。
司会:ではアルバムの話を伺いつつ、世界中のファンから寄せられた質問に答えてもらおうと思います。早速、1問目。ドーソン・サヴィン、ワイト島に住む10歳からメンバー全員に「好きなクイーンの曲はどれですか?」との質問です。選べますか? まずロジャー。
ロジャー:いつだってこの質問が一番大変なんです。ワイト島からありがとう。難しいけど、当然「Bohemian Rhapsody」がまず頭に浮かぶね。「Under Pressure」も好きだけど、この辺にしておこう。アダムは?
アダム:僕もいつもこの質問をされるけど、1曲は選べません。その日の気分によっても違ってくるから、、全部が好き。
司会:それはいい答えですね。
アダム:本当にすべてが好きなんですよ。
ブライアン:私は「The Miracle」を選びたい。みんなも知ってくれていると思いますが、フレディが書いた曲です。ちょっと変わっていて、ユニークで、マジックがある曲。これを書いた時、フレディは辛い時期で、とても将来に楽観的ではいられなかったはずです。それなのに楽観主義に溢れていて美しい曲なんです。というわけでそれを選びましょう。「The Miracle」です。
司会:ライヴでやって行くうちにスタジオとはまた違う良さを持つようになる…、年月とともに、曲は変わるものでしょうか?
ロジャー:実際そうだね。「Somebody To Love」がそう。とても良い曲で、レコーディングされたものも素晴らしいけど、ライヴではまた違う良さを持つ曲になった例です。すべては変わっていきます、年月とともにね。
ブライアン:国によっても違うんですよ。今回のDVD/Blu-rayでもそれは明らかです。ある曲が持つ意味はその国ごとに違っている。たとえば「I Was Born To Love You」は日本ではとても大きな意味を持つ曲なんだけど、他の国ではそうでもなかったりする。その一方で「We Will Rock You」や「We Are the Champions」はどんな状況だろうと、たいていがうまく行く。その瞬間に会場全体を大きな喜びで一つにしてくれる素晴らしい曲です。あれは何度やっても飽きることがないですね。
司会:アダム、「Somebody To Love」は…
アダム:あの曲を歌うのは大好きですよ。
司会:今回収録されたのは特別なパフォーマンスですよね?
アダム:はい、とても楽しかったですね。さらに世界で起きていることと連動して、曲の持つ意味が変わってくることもあるんです。2020年の今の状況を考えた時、「The Show Must Go On」というのは的を射たメッセージではないでしょうか。もともとレコーディングされた時、フレディがあの曲をバンドとレコーディングした時、彼は苦しんでいました。命を落とす少し前だった。そう思うと、どこかで今の状況に当てはまる。この先、事態はまだ深刻で困難が待ち受けているのかもしれないけど、それでも立ち上がってやり続けるしかないというとても良いメッセージだと思います。
司会:スペインのRock FM Radioからの質問。3人のチームワークは素晴らしいですが、どんなバンドでもメンバーはチームに何かをもたらすのだと思います。クイーンがアダム・ランバートに、アダム・ランバートがクイーンにもたらすものはなんですか?
ブライアン:アダム、答えてよ。
アダム:重い質問ですねぇ。“キラキラ” かな?
ブライアン:(笑)
ロジャー:言えてる。
アダム:あとは靴。
ロジャー:言えてる。
ブライアン:ヒールのね。
アダム:(笑)でも真面目な話、ブライアンとロジャーからは本当に多くを学びました。ツアーで各地を回り、一緒に過ごしていろんな話をして、世界のことや人生のこと、愛について…。二人が経験してきたツアーや黄金時代の音楽界の話を聞く中から、僕もたくさんのことを学びました。おかげで人として、ミュージシャンとして、成長させてもらったと思います。
司会:人としても成長…それは素晴らしいですね。
アダム:はい、そうなんです。
ブライアン:こちらもアダムからたくさんのものをもらいました。新しい血を注入された気分です。いつもたくさんの素敵なアイディアと熱意を持って来てくれる弟。もし彼がいなかったら、ロジャーも僕もここにこうしていません。そうだろ?
ロジャー:まったくその通り。そしてたまたま、彼が世界で最も素晴らしい声の持ち主で、それをもたらしてくれたことも忘れちゃいけない。僕らは感謝してそれを受け止めた。彼の声は僕らの曲ととても相性がいい。彼と一緒にやるのは、喜びであり、楽しく、ユーモアがいっぱいなんです。
アダム:お二人は20世紀を代表する最高の楽曲を書いてきたんです。歌い手にとって、それを毎晩歌えるのは本当に嬉しいことなんです。でも同時に気が抜けない。どの曲も決して歌うのが楽な曲じゃなくて、多くを要求される。ジャンルも多岐に渡っていますが、歌っていて本当に楽しいんです。
司会:なるほど。
アダム:ベストな曲ばかりなんです。
司会:毎晩歌えと言われるのがベストな曲ばかり、ってことですね。
ブライアン:このまま続けるべきだね。
司会:ニューオーリンズのヘイリーからの質問。ライヴで盛り上がる、お気に入りの街はどこ? ツアーが延期されてしまった今、ツアーの何が最も恋しいですか?
ロジャー:好きな街はありすぎます。当然、ロンドン、ニューヨーク、LA…もちろん、ニューオーリンズ! ニューオーリンズは文化も含めて大好きですよ。シドニー…
ブライアン:東京。
アダム:お気に入りを選ぶのは難しいですよ。
ロジャー:ああ、一つを選ぶのはとても難しい。
ブライアン:韓国もこの前初めて訪れたけど、すごかったね。
アダム:すごい盛り上がりでしたね!
ブライアン:ああ、人々の熱量がすごかったね。
ロジャー:ソウルだよね?
ブライアン:韓国でやるのは初めてだったんです。ちょうどコロナの波が押し寄せる直前に行けたのはラッキーだったというか。特にオーストラリアにも。その時は森林火災でニュースがよく報道されていましんた。それから1ヶ月後には誰もどこにも行けなくなってしまいました。
アダム:クレイジーな年です。
司会:今回のライヴCD /DVDにはその森林火災復興支援チャリティ「Fire Fight Australia」での特別なパフォーマンスが収録されています。何が特別なのか、教えてください。
ブライアン:私が話しましょう。オーストラリアの森林に火災が及び、多くの人が家を失ったり、野生動物の命が危険に晒され苦しむ様子は本当に心が痛む思いでした。そこでオーストラリアでの私たちのコンサートの収益金を、消火活動にあたる消防士援助のために寄付をしていたんです。翌日も同じスタジアムで「Fire Fight Australia」のチャリティに参加したんですが、会場全体を包むアドレナリンがものすごくて。その時点で僕らは「ライヴ・エイド」のセットを完全再現しようと決めていました。どちらもチャリティだという点で共通点がありましたから。「ライヴ・エイド」の時はあれっきりだと言っていました。実際、一度もやったことはなかった。オーディエンスは…
アダム:ワイルドでしたね。
ブライアン:ああ、ものすごいエネルギーで。今回のCD/DVD/Blu-rayの間違いなくハイライトです。たまたまシドニーの「Fire Fight Australia」コンサートがツアーの最後になったことも含め。(オリジナル同様)一度限りのセットです。
ロジャー:シドニーのスタジアムを包んでいた空気は、僕らがステージに上がる前からすごくて。(観客と)コネクトしたんだろう。だから、あの1985年の『ライヴ・エイド』の短いセットを再現することが、今回のアルバムの最後を飾るのにふさわしいと思ったんです。とてもいい結果になったと思う。
ブライアン:もちろん、ホームタウンでやるのはいつでも好きだけどね。ロンドンからはまだ刺激をもらえますよ。
アダム:僕はLAでやるのが楽しいです。というのも、なかなか最近はツアーばかりで、LAでやる機会があまりないんです。地元に戻り、友達をコンサートに招待できるのは楽しいですね。
ブライアン:フォーラムは世界有数のヴェニューだよね。
アダム:前回のツアーでのフォーラムは楽しかったですね。
司会:DVD/Blu-rayを観ていて気付くのは、オーディエンスの皆が本当に楽しんでいる様子です。音楽を楽しんでいるのはもちろん、その場に集まって全員が一つのことを体感している。その様子をステージから見る気分って、私には想像もできませんが最高なんでしょうね。
ロジャー:それが僕らのコンサートのすべてなんです。ステージとの一体感、オーディエンス同士も一つになり、喜びを分かち合う共同体的な体験。気持ちは高まり、一瞬だけ日常を離れ、別世界に連れて行かれるんだ。
ブライアン:ちょっとしたドラマだよね。
アダム:そして何よりもクイーンというバンドと一緒にクイーンの音楽を皆で祝おう、ということです。だってポップカルチャーの一部ですから。僕はクイーンのことを知る前から、クイーンの曲を知っていた。クイーンの曲は永遠です。さらに僕は、毎晩フレディの魂を祝う思いでステージ立たせてもらっている。フレディの代わりを務めるのは不可能です。だから僕はオーディエンスにフレディの話をし、スクリーンにフレディの姿を映し出し、彼の声が流れる。それを体験することが、オーディエンスにとっても大切だと思うから。
ブライアン:フレディの声が流れるシーンはDVD/Blu-rayにも収められています。僕がフレディと一緒に歌う曲もある。いつも本当に感動的でね。あれをやりたくないなんてことは想像出来ないよ。オーディエンスも一緒に歌ってくれます。というよりも、オーディエンスがすべてなんですよ。その瞬間や記憶をシェアし合う。私たちはまだここにこうしているわけで、レガシーは生き続ける。フレディはきっと喜んでいてくれると思います。アダムのことも。彼だったら絶対に悪くすることはないってわかっているから。
アダム:そんな。
ブライアン:決してフレディを真似てない。アダムはアダムでありながら、クイーンのマジックを届けてくれる。3人が一つになって作り出しているんです。
司会:アメリカのGoldmine Magazineからの質問です。クイーンのコンサートではヒット曲をやらねばならないでしょうが、ヒット曲以外にも良い曲がたくさんあります。ヒット曲以外に入れたいという曲はありますか?
ブライアン:たまに新しい曲を入れるんですよ。
アダム:今回もありましたね。
ブライアン:ヒット曲はどうしてもやらなきゃならないからね。でもヒットをやるのは楽しいですよ。お客さんは聴きたがるからね。でも新しい曲も入れ続ける。今後もそうすると思います。さっきもそんな話をしていました。「次にツアーをやる時にはどの曲をやろうか? これを新たに試してみる?」ってね。今回の選曲には苦労しました。7年間この3人でやってきて、かなりの曲数を演奏しています。すべては入れられなかったので、残念ながら外した曲もある。そうやってこれからもヒット曲とそれ以外のバランスを取りながら、やって行きます。コンサートではしばらく「Machines (Or Back To Humans)」をやっていて、個人的には楽しかったですね。
アダム:「Save Me」も。
ブライアン:ああ「Save Me」もやったね。
アダム:「It’s Late」も…
ブライアン:結構やってるんですよ。アダムのソロ曲もコンサートではやるよね。
アダム:そう!僕にとってはこんな光栄なことはなくて、初めて言われた時には「マジ? マジ?僕の曲をやっていいの?」って。
ブライアン:すごくクールだよ。
アダム:ロック・イン・リオでは「Ghost Town」をやらせてもらえましたね。
ブライアン:それらを全部入れるにはもう1枚アルバムが必要だね。
ロジャー:コンサートというのは、少しだけ毎回変えることが重要なんです。そうすることで僕ら自身が楽しめる。新曲を加えたり、構成を変えるのはチャレンジだから、むしろそれがいいんです。世界中から集めた曲たちが、一つのトータルな作品になっていればいい。着ている服は曲ごとに違っていたとしてもね。
ブライアン:特にアダム。
アダム:着替えるのが大好きなんですよ。1回のコンサートでなるべくたくさん着替えたい!
ロジャー:そう、ヴァースのたび、ミドルのたびに。
アダム:あるコンサート評でそのことを揶揄う奴がいたんです。「なんだって?」って思いましたよ。まず第一に僕は汗っかき! だから着替えたい。第二に、これはショウなんです。お客さんが見て楽しめるものにしないと!
ロジャー:コーラスが半分進んだところで。
アダム:そう!今ここで着替える!ってね。
司会:Music Rockzからの質問。ステージに上がる直前、考えることは何ですか? ちなみにこのCDジャケットの写真はステージに上がる直前の写真ですね。3人が集まっての特別な時間ですが、この時、何を考えているのでしょう?
ロジャー:集中力を高める時間です。気持ちは盛り上がっているけれど、集中して、冷静になって、盛り上がって、集中して…マラソン、すなわちコンサートのスタートを切る。僕にとっては、毎晩が高い山を登るようなものですね。でもとってもエキサイティングですよ。コンサート直前の気持ちにとって代わるものは何もないね。
ブライアン:そうですね。毎回のコンサートが違うとロジャーもさっき言ってたけど、僕らはクリックを使わないんです。すべてを生で演奏している。だからハプニングも起こりうるし、時にはトラブルにも見舞われる。“ミスも”って言いそうになってしまった(笑)。でもアクシデントが起きた時は、ユーモアのセンスと互いへの信頼で、それに応じて物事を変えるということを学びました。逆にいいことですね。決められた型式を繰り返しているだけじゃないですから。そしてオーディエンスとも反応し合う。オーディエンスはクイーンのコンサートの大きな一部なんです。
ロジャー:何が起こるかなんて誰にもわからないからね。ブリスベンでは熱帯性暴風雨の中で演奏しなきゃならなくて…
アダム:あれはエキサイティングでしたね!
ロジャー:どれだけ酷いのか、自分たちでも気付いてなかったんだ。
アダム:コンサート中ずっと…モンスーンの中で。
ロジャー:ナイアガラの滝の中でやってるようだった。実際そうだったよ。でもオーディエンスはそんな中でも最高でした。僕らもなんとか「泳ぎ切った」!
ブライアン:あれはとんだサプライズだったね。でも不思議と、僕らのベスト・コンサートの一つじゃなかったかな。
アダム:本当にワイルドでした。
ブライアン:誰一人として帰らなかったし。
アダム:帰らなかった。最後までみんないてくれましたね。
ロジャー:逆境に耐えて。
ブライアン:人はそれで強くなる。
司会:先ほど信頼、という言葉がでましたが、ミュージシャン同士の信頼がないとできませんね?
ブライアン:3人の間もそうだけど、クルーへの信頼もですね。私たちのツアーには100名近い、その業界のトップと呼べるクルーがついてくれています。
アダム:その通り。
ブライアン:彼らには全幅の信頼を寄せています。そうでなければならない。私たちの命は彼らにかかっていると言っても過言でないんです。超一流のクルーですよ。
アダム:7年間でコンサートのプロダクションはどんどん大掛かりでスペクタクルなものになってきました。最新のテクノロジーを駆使した動くセットだったり、小道具、大道具、プラットフォーム…とステージ上でのマジックがいっぱいなんです。そういう意味でもクルーの力が欠かせません。最高のチームですよ。
ブライアン:ああ、小惑星のようにね。
司会:ボーイ・ジョージからの質問です。
全員:ええ!?ボーイ・ジョージ!
司会:セレブからの特別の質問。ステージに上がる時、ステージを降りる時、どっちが気分はいい? それとも両方同じくらい?
ブライアン:いい質問だなぁ…。
アダム:その二つは違うものですね。ステージに上がる時は「今から行くぞ」という感じで、アドレナリンが出て、期待感がいっぱい。でもステージから降りる時は勝ち取った気分。「やった!」という達成感です。どちらも違う感情だけど、どちらもすごく気持ちいい。
司会:違うタイプのアドレナリンでしょうね。
アダム:でも2時間のコンサートが終わった後というのは、大抵「フーーーーーっ」と疲れ切っているものだけど。「すぐにシャワー浴びる!」と。
ロジャー:コンサート後というのは、疲労感の中にも安堵感がありますね。コンサート前はアドレナリンまみれの期待感。うん、違うタイプのものですね。
ブライアン:なんて的確なんだ。
ロジャー:ありがとよ。
ブライアン:そしてなんていい質問なんだろうね。ジョージ、君はどうなんだろう?知りたいよ。
ロジャー:ジョージ、君も知ってるだろ?
ブライアン:最初と最後、でも真ん中も結構いい気分になることはいっぱいあるよ(笑)
司会:オランダの雑誌からの質問。あなたたちにとっていいライヴ・アルバムとはどういうアルバムですか? クイーンが影響を受けたライヴ・アルバムは? ライヴ・アルバムとスタジオ・アルバムではまるで雰囲気は別と言えますか?
ロジャー:違いますね。
司会:『Live Killers』やウェンブリーでのライヴなどこれまでにありますが、今回とはまた違いますよね?
ブライアン:面白いですね。
ロジャー:ライヴ・アルバムは難しい。パフォーマンスの中の興奮というか盛り上がりの本質を捉えなければならない点がね。スタジオ・アルバムとは別物です。そういう意味で僕が好きだと思えるライヴ・アルバムは限られている。ザ・フーの『Live At Leeds』、ジェイムス・ブラウン『At The Apollo』は最高ですよ。
ブライアン:ジミ・ヘンドリックス。
ロジャー:ジミ・ヘンドリックス『At Monterey』はブートレッグ。そう何枚もないんだよ。
ブライアン:その通り。数は限られてるよね。ライヴはレコーディングすること自体が難しいんです。ライヴはいわばスタジオの真逆のヴァージョンです。それをまたレコードに戻すわけだから楽なわけがない。あとはオーディエンスや会場の雰囲気に負う部分も大きい。今回の選曲で決め手になったのはそこです。オーディエンスと一体になることで生まれる良い雰囲気。私たちの気分も最高に盛り上がり、彼らもそれを感じている。いいケミストリーが流れているんですよ。それを捉えることができれば成功です。完璧さではない。それよりは、ある種のマジック(some kind of magic)さ。あれ? 曲みたいだ。
アダム:いいタイトルですね。曲にしたほういいですよ。
ロジャー:「A Kind of Magic」。なんていいタイトルだ!(笑)
司会:あるプロデューサーがライヴ・トラックの観客の歓声をちょっと足したい時は、クイーンの客の歓声を使わせてもらってるんだと言ってました。
ロジャー:(笑)請求書を送らせてもらわないと。
司会:イタリアのビルボードから。アダムが歌っていて、一番自信を感じる曲はどれ?
アダム:さっきも言ったようにどの曲もそれぞれに違っています。でも「The Show Must Go On」は大好きです。立ち向かって行くような、パワフルで、ドラマチックな大作で、その世界の中に入ってメロドラマを演じあげなければならない。同時に、リアリティもすごくある曲なんです。決して作り事ではない。とても深い意味がある曲。フレディは人生の最期の時期にあれを歌っていました。上を向いて、前に向かって進んで行く、そういうことを歌った曲です。さっきも言ったけど、パワフルな曲だ。でも「どれが自信があるか?」というのは難しい質問ですね。だって(クイーンどの曲も)歌うのがとても難しいんですよ。他に比べても。
司会:歌うのが楽な曲はありますか?
アダム:いや、どれも楽じゃありません。曲によっては、少し休みながら、息をついて歌えるものもある。「Crazy Little Thing Called Love(愛という名の欲望)」は、他の曲ほどヴォーカル的に要求される部分がないので、楽しく歌える曲ですね。「Who Wants to Live Forever」も細やかな感受性や親密感を要求され、最後の頃にはものすごいハイスピードまで上がって行く難しい1曲。ヴォーカル的にはジキルとハイドのような二重人格的な曲なんです。
司会:「Love Of My Life」は今後もずっと影響を持ち続ける歌詞だとおっしゃっていましたが、演奏していて、歌っていて、楽しみの中に一瞬ふと何かを感じてしまう、というような経験もありますか?
ブライアン:そういった感情の幅があるのはいいことだと思うんです、それはクイーンの音楽の一部ですね。そしてアダムはそれを完璧に届けてくれる。聴く者を笑わせ、泣かせる。2時間半のコンサートの中で毎曲それをしなければならないけど、彼はやれていると思います。「Who Wants to Live Forever」はいい例です。たまにアダムに「今何したの!?」って思う時があります。それくらい、それまでとは全然違うレベルまで、アダムが曲を連れていってくれるんです。終わることない発見の旅、という感じで。だからこそ、こうして僕らはここにいる。こんなにまだ大好きなんです。
司会:ここ数ヶ月は世界中の人が色々と大変な思いをしてきています。みなさんもツアーを延期することになり、本当だったら「夜8時になった、開演時間だ」という時にそれが出来ないのは、残念に違いないと思うのですが、いかがですか?
ロジャー:ああ、世界の誰にとってもこんな妙な年はなかったと思います。でも僕はそのことを嘆き悲しむ資格はないと思う。いい暮らしをさせてもらっているわけだから。ブライアンは大変な思いをしたけど、こうして元気を取り戻して全速力に近い姿を見て、本当に良かったと思います。
ブライアン:ありがと、ロッジ。実際、危機一髪だった。
ロジャー:ああ危機一髪だったね。僕らにとっても変な1年になってしまい、大変なこともいっぱいでしたよ。
ブライアン:こうして生きていることに感謝しています。死んでいたかもしれないって思える瞬間を経験したから、気分はだいぶ落ちていたこともありましたが、今は本当に感謝を感じています。もしこれが1年前だったら、ツアーを全部キャンセルしなきゃならなかったから、それはそれで悲惨です。体力を回復するための1年間を与えられたんだと思っています。今は体を鍛えることが、僕の宗教みたいに、大きな人生の目的なんです。毎日、体づくりをしています。クイーンのコンサートをやるには鍛えてないと出来ないし。その価値はありますよ、ツアーが再開した時に万全でいたいですから。
司会:みなさん、ブライアンが健康を取り戻していると知って喜ぶでしょうね。
アダム:一番大切なのは皆の健康と安全です。ビジネス面で仕事やチャンスが失われたことをとやかく言うのではなく、最優先すべきことが何かは僕らはわかっている。僕は3月にソロ・アルバム『Velvet』を出したんですが、その1週間後に全てがキャンセルになってしまった。ツアーもプロモーションもできなくて、数週間は“なんて僕はツイてないんだ!”と身勝手なことを思っていました。でもすぐに世の中にはもっと大切なことがあると気づいた。それで「You Are The Champions」のリリースを決め、出来る限り、世の中にお返しをしようと思ったんです。今こそアーティストがファンをサポートする時期だ、と。音楽は楽しみであり、一瞬の逃避だから。
ブライアン:いい“機会”なんだと思います。刻々と物事が変化するのに応じて、そこに“機会”が生まれる。ネットを見ていてもそう思います。インスタグラムとかも楽しい。これまで以上にファンと近くなれていますよ。それっていいことですよね。今後も続けていかなくてはならないことですね。コロナ以前の世界には絶対に戻れないのだから。多くを学びました。先日、ロジャーと自宅のソファからテレビ出演して思ったんです。「5分のインタビューのために公害を撒き散らしてロンドンに行く必要ないね?」って。ZOOMの方がうまく行きます。そう言うアダムはわざわざLAから来たんだけどね…。
アダム:新しく買ったこのネックレスを見せびらかしたかったんですよ!
司会:でもこうやってファンと直接話ができるというのは、これまではあまりなかったことですよね?
ブライアン:ああ、ロックダウンがなかったらやってなかったでしょうね。
アダム:テクノロジーというのはすごいものだと、僕らは学びました。いかに人と繋がれるか。その意味では学ぶことの多い1年でした。
ロジャー:でも僕はZOOMにちょっと飽きて来た。
アダム:本物にはかなわないですよね。
ロジャー:テレビに映るのも全てZOOM だし。
司会:アトランタから質問。まだアダムとやっていない曲で、やりたい曲はありますか?
ブライアン:たくさんありますよ。アダムは何でもできるから。本当に使えるやつなんですよ。
アダム:「You Take My Breath Away」とか? トリッキーで楽な曲じゃないんですが、あれなんていいかも。
ブライアン:なるほど。
ロジャー:「A Kind of Magic」を歌ってほしいなぁ。
アダム:了解。メモに書きました。早速練習し始めます。
ロジャー:決まったな。
司会:アダムは曲を覚えなきゃならない上に、どう自分らしく歌うかを考えなきゃならないわけですよね?
アダム:多くはその場で起きるんです。それは信頼があるから出来ることです。互いへの信頼、自分自身を信じ、身を投じてやってみる。曲をあまりにも大事にしすぎない。初めて3人でやったフルの2時間のコンサートは50万人の前でした。だから「大したことない!」て開き直るしかない。(その時は)キエフで、9日間のリハーサルをしました。二人にとってはバイクに乗るのと同じで体が覚えていたでしょうけど、僕は知らない曲もあって、全部は覚えていませんでした。でもあとは信じてやるしかなかった。二人を信じてね。
司会:9日間のリハでは足りなかったんですか?
アダム:2時間分の音楽には十分ではないですね。なかなかの試練でした。
ブライアン:あの時は頑張ってくれたよね。見ただけではとてもそうは見えないけどね。
アダム:自分にはわかるんです。録画を見直したら、顔が引きつってて「ここで歌うの?まだ?どこ?」って。わかるのは僕だけだけど。
司会:今回のCD/DVD/Blu-rayは何年間にもわたる、いくつもの国、都市でのコンサートが一つになっているので、客席も賑やかでそれぞれの曲ごとの個性が出ていますよね。
ロジャー:そうだと思います。何よりも素晴らしかったのは、映画『ボヘミアン・ラプソディ』のおかげで若い、新しい世代がクイーンのこと、僕らの音楽を知ってくれたことです。それはオーディエンスにも表れていた。素晴らしいことです。本当に幅広い年齢層が一堂に会していて、僕らも見ていて嬉しかった。こうやって若い人たちとまだコネクトできるんだっていうのは、ありがたいことです。年寄りともね。年寄りはずっと昔から来てくれてたわけだけど。
司会:あの映画は本当に多くの人の心に触れる映画になりましたね。あそこまでそうなれる映画は滅多にないと思います。
ブライアン:あそこまで大ヒットして、影響を与える作品になるとは、誰も予想していませんでした。『スター・ウォーズ』よりも『風と共に去りぬ』よりも売れたとか言われても、なんのことやら。フレディにとってのいいメモリアルになればと思っただけで、意識したのはそれだけでした。実際そうなったわけだけど、それをはるかに超えるものになった。モンスターだよ。信じられない。でも私たちにとっては素晴らしいことですね。
ロジャー:僕らは見てくれた人の気持ちが上がり、何かを心に感じてもらえればというだけでした。素敵な気持ちで映画館を出てくれれば…とそれだけ。
アダム:曲を口ずさみながら。
ロジャー:ああそうだね。
司会:自分がやったステージを、他人が演じるのをスクリーンでみるというのは、滅多にない経験だったと思います。「ライヴ・エイド」のステージを再現すると聞いた時、これは大変だぞと思ったんですが、予想に反してあれは見事でしたよね。
アダム:マジックですよね。
ブライアン:素晴らしいチームでした。僕らを演じてくれた役者たちは本当にうまかったね。ラミもグウィリムも。私たちも協力して彼らと何時間も過ごしたけど、何と言っても彼らは素晴らしかったよ。
ロジャー:しかもミュージシャンじゃないのに。ただただすごい役者だったよね。見事な演技だった。僕らもとても満足だった。難産の末の作品でしたからね。
ブライアン:12年かかったからね。
司会:12年も!?
ブライアン:はい、最初の脚本を受け取ってからですね。
ロジャー:どれほどかかったことか。
ブライアン:何度も脚本を書き換えて…。でもあれはフレディの映画であって、僕らはどうでもいいんです。そう思って来ました。でも僕らは彼の人生に大きく関わって来たから、僕らがいないわけにはいかなかった。それだけですね。
アダム:アカデミー賞授賞式に招待され、パフォーマンスができたことが僕は嬉しかった。大興奮ですよ。楽しかった!
ロジャー:僕らがオスカーだなんてさ。場違いだったよ。
司会:ビッグなバンドになると切手になり、コインになり、映画になり、アダムも言っていたように、カルチャーの一部になる。ビートルズ、クイーン…そういうバンドはそういないんでが、ご自身ですごいことだと思いませんか。
ロジャー:当事者になるとまた違うものですよ。
ブライアン:いい意味で、私たちはクイーンという一種の「概念」になったんだと思うんです。とてもありがたく思っています。よく言うんですが「We Will Rock You」は昔からずっとある曲で、誰が書いた曲とかではないって思われているんですよ(笑)。それくらい僕らの音楽は社会や人々の日常生活の一部になっています。単にヒットを出すよりもずっといいことだから嬉しいし、誇らしい。本当はフレディがいて、ジョンがいてくれたら一番よかったんですが。ある意味、ジョンも失ってしまったので、その部分では辛い。でもこうして私たちはここにいて、まだやり続け、会場を見れば皆の笑顔が見える。そしてアダムの笑顔も。
ロジャー:ああ、誰かが言っていたよ。ここにいられるのはいいことだ。どこにいられるのもいいことだって。
司会:デンマークからの質問。ステージで演奏中に曲目を変えたことはありますか?
全員:ありますね。
司会:でも大掛かりなプロダクションでやっていると、そんな風に突然曲を変えたりできるのですか?
ブライアン:できますよ。この曲はやめた!と言うのが多いですね。何かトラブルが起きたり、アダムや私に何か突発的なことが起きたりして。
アダム:じゃなかったら「こっちかこっちのどちらかをやろう。それは後で決めよう」と言ったまま本番になり「で、後っていつ? え、今?」ってなってます(笑)
司会:その自然発生的なものがあると、決して退屈しませんね。
アダム:もしくはちょっとしたミスが起きて、でも僕らはごまかすのがうまいので誰も気づかなかったとか、それをカバーするために曲を長くしたり、その時の気分で演奏が長くなってしまったりします。ミスが新しい発見につながることはありますね。楽しいですよ。
司会:特にバンドが大きくなるに従って、全てセットは決められ、その中に閉じ込められてしまいますよね。それもそれでいいのですが。
ロジャー:閉じ込められる、って今言ったけど、最近のコンサートはコンピューターで制御されている。だから毎晩同じ内容なんです。クリックにすべて支配されてる。テンポから何から何まで予めプログラミングされている。それでいいなら、それも構わない。でも僕らのやり方じゃない。
アダム:そういうオーガニックな形でやっているから、僕らのコネクションが強まるんです。
ロジャー:その通り。
アダム:曲の下で鳴っているメトロノームに合わせて、踏ん反り返ってやるわけにはいかない。リアルタイムで起こっているわけだから、ピッチもタイミングもテンポも、すべてが有機的に一つにならなきゃいけない。それをするには信頼関係が必要なんじゃないかなって。補助輪はつけられない。
ブライアン:ああ、必要なきっかけが全部ないとダメだからね。でもそれが楽しいんだよ。アドレナリンが駆け巡るっていうか。すべてがうまく行っている時っていうのは、エネルギーが流れるような、言葉では説明しようがない感覚ですね。
ロジャー:僕はその可哀想な年寄りメトロノームってことか(笑)
アダム:メンバー同士、そしてオーディエンスとの関係って、バッテリーをコンセントに差し込むようなものなんです。特にアリーナのような大会場のライヴで感じる感覚。今年は全然なくなってしまったから、余計に感じますね、エネルギーの充電ができないのが寂しいなって。
ロジャー:そうだね。
司会:ロンドンのミアから。3人でZOOMセッションをしたことはありますか? 生配信コンサートを考えていますか?
ブライアン:誤解している人が多いけど、ZOOMでのジャムセッションは無理なんです。ディレイ(遅れ)が生じるんです。ごまかしてやることはできるし、私も試したことはある。流れでやるような曲だったらごまかせるが、ビートに合わせる演奏はできない。不可能なんだ、科学の法則です。そこに限界があるね。
ロジャー:それに即興的なジャムセッションではアイコンタクトが何よりも重要だ。ディレイとかがなかったとしても、実質的に不可能でしょうね。
アダム:同じにはなりませんね。
ロジャー:同じ場所でやる方がずっといい。
ブライアン:それに一番近かったのが「You Are The Champions」です。あれは半分偶発的ではありましたけどね。インスタで私が演奏し、そこにファンが加わって、ドラムや声を重ねたことはありますが、(「You Are The Champions」の時は)ロジャーのドラム、アダムのヴォーカルを順番に重ねて行きました。だから遅れが出なかったんです。
アダム:つまりライヴではなかったということ。
ブライアン:ライヴでは無理。アインシュタインもそう言うだろう。
ロジャー:それにiPhoneでの録音は理想的ではない。レコードを作るのにはね。
全員:無理無理。
ブライアン:人とのインタラクションとしては面白いですよ。私の音楽に誰かが何かを乗せ、新しい音楽を作る。それはこのロックダウンがなかったら、やってなかったことだと思う。新しい扉が開いたという感じですね。今では誰もが僕と演奏できるんです、それはとてもいいことですよね。
司会:ワンリパブリックのライアン・テダーからの質問。
全員:!!!
司会:レストランを基準にした時、世界のTOP3の都市はどこですか?
ブライアン:いい質問だ。
ロジャー:東京。
ブライアン:賛成。
アダム:美味しい本格的和食なら東京ですね。
ロジャー:おそらくパリかな。
アダム:ブエノスアイレスに行った時に食べたアルゼンチン料理が僕はすごい好きだったな。ワインも肉も…。
ロジャー:最高だね。
アダム:ニュージーランドも、すべてが新鮮で、オーガニックでした。
ブライアン:イタリアならどこでも。イタリアで食べ物がまずいって話はあり得ない。
ロジャー:ボローニャだろ?
ブライアン:ああ、ボローニャが恋しいよ。
司会:日本の音楽評論家、Yu Masuda(増田 勇一)から。日本人として2014年サマーソニックのパフォーマンスが収録されていたのが嬉しかったです。あの時のことで、何か覚えていることはありますか?
アダム:暑かった!暑くて、蒸し蒸ししてて、野外で。ベトベト、汗でビショビショ、とにかく暑い!
ブライアン:そういうことって分からないかもしれませんが、歌うのも、演奏するのも大変なんです。指がぶよぶよになって、痛くなってくる。暑い中での演奏は一苦労なんです。
アダム:こんな顔になっちゃう。
ロジャー:でも良い面ももちろんありました。お客さんが最高だった。スタジアムも素晴らしかった。若いオーディエンスだったんです、DVD/Blu-rayからも分かるようにね。熱気に溢れていて、どこかに連れて行かれる気分だった。
アダム:猛暑の厳しさを忘れさせ、その場に立った瞬間「最高だ!」と思わされる、すごいオーディエンスでしたね。それに全員どの曲も大合唱してくれてたし。
ロジャー:歌ってくれてたね。
ブライアン:日本は僕らにとってずっと昔から特別な国だったんです。きっと日本人にとって初めての海外からのロックスターだったんでしょう。私たち自身も、慣れていなくて、突然ビートルズになった気分でしたよ。あの時は、まだほんの子供でしたからね。
ロジャー:ロックスター気分だったね。
ブライアン:日本は特別な国です。あの晩(サマソニ)も特別だった。DVD/Blu-rayに収録できて良かったです。特にあの曲「I Was Born To Love You」は日本で人気曲なんです。世界の他の国ではそうでもない。でも今回の新作で人気になるでしょうね。フレディの書いた名曲の1つ。フックもすごく良い。みんなで歌える曲です。
司会:このアルバムはみなさん自身で選曲から関わってたんですよね? 何時間分の映像があったんですか?
アダム:7年間分。
ブライアン:私たちだけでなく、一流のチームがいるので手伝ってもらいました。もちろん何時間も一緒に作業をしましたが、ある程度彼らが選んでくれたものをベースにしたんです。曲によっては迷うこともなく選べたのもある。ワイト島や「Fire Fight Australia」などがそうですね。一番大変な編集やミキシング作業はジャスティン、クリスチャン、ジョシュがやってくれました。映像のサイモンも素晴らしい仕事をしてくれましたね。必ずしも、映像がいいものばかりとは限らなかったので、苦労もしたけれど。
アダム:それに3人とも違った意見があるから…
ロジャー:それは言える(笑)
ブライアン:意見もぶつかるし。うそうそ!
ロジャー:オーバーダブは一切ない。すべてが生演奏だ。一切、ごまかしはありませんよ。
アダム:ミキシングのおかげで、本当にアリーナ会場の中にいる気分になれるんです。包み込まれるような雰囲気が興奮を一層なものにしていますね。
司会:これだけ色々なところでやってこられたわけですが、まだ訪れたことがなくて行ってみた都市はどこですか?
アダム:僕はギリシャとかエジプトの世界遺産でやってみたいという空想を抱いています。アクロポリスの神殿とか。
ブライアン:それはいいね。アテネに行ったことはあるけど、コンサートはやってないね。インドもまだ行ったことがない。ぜひ行きたいです。
ロジャー:僕はあるよ。
ブライアン:あるんだっけ?
ロジャー:ああ、レッド・ツェッペリンと一緒に。大昔さ。テレビの番組。
ブライアン:そうか、インド行ったんだ。どうだった?
ロジャー:なんとも不思議だったな。
ブライアン:南極大陸にはまだ行ってないね。
司会:どこでも可能ですよね。
ブライアン:突然、静かになっちゃった。
司会:ファンがチャットで盛り上がっているのが目に浮かぶようですが…
アダム:メキシコってやりましたっけ? 2人はやってるんですよね? 3人ではやっていないけど。
ブライアン:僕らはやったけど、3人でぜひやりたいね。やろう。
司会:最後の質問。ツアーは来年に予定されていますが。
ロジャー:そうなるといいな。
ブライアン:祈ってます。
司会:決してこれが最後になるわけではないですよね?クイーンのマシーンは今後も動き続けるのですよね?
ロジャー:そうであってほしい。マシーンに関しては分からないけど、この3人の年寄りで…。あ、君は違ったな。
アダム:僕も年取ってきていますよ。年々。
ロジャー:ツアーに出るのを心待ちにしているんだ。実現してほしい。
ブライアン:願うしかないね。
司会:クイーン+アダム・ランバートとして、前進し続けると?
全員:そうだと思います。
ブライアン:僕らはとてもうまくいってます。ほとんど年齢差というのも感じない。違いよりも、むしろ音楽的な価値観も、仕事に対する価値観も一緒なんです。いろんなことを同じように楽しいと感じてやれています。
アダム:この2人とやると、超一流の仕事とはこういうことなのだと、働くことに対する価値観が研ぎ澄まされるんです。
ロジャー:しかも楽しみながら。
アダム:それにオーディエンスも!3人はお互いが大好きですが、そこに客席からのフィードバックとエネルギーが加わると、僕らは突き動かされるんです。これに代わるものなんてない。望んでくれる声がある限り、やり続けようじゃないかという気持ちです。そうですよね?
ブライアン:ああ。
司会:そう聞けて良かったです。ありがとうございます。
アダム:みんなも(You, too)このアルバムをゲットできるよ。
ロジャー:U2っていうのはやめてくれ(笑)
アダム:失礼、君も(You as well)もこれをゲットできるよ。アナログ盤だよ。
司会:今日はありがとうございました。
ロジャー:Lots of love!
クイーン+アダム・ランバート『Live Around The World』
2020年10月2日発売
CD+Blu-ray / CD+DVD / CD / LP
※日本盤CDのみSHM-CD仕様
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