クイーンは1978年の春、6枚目のアルバム『News Of The World(邦題:世界に捧ぐ)』を引っ提げてヨーロッパ・ツアーを行った。そうしてロンドンに戻ってきた彼らは、またひとつ歴史を作ることになる。それ以前に彼らがロンドンで公演を行ったのは1977年6月のアールズ・コートでの2夜が最後だった。だが39年前の5月11日、彼らは初めてウェンブリー・アリーナ(*当時はエンパイアプール)の舞台に立った。
シングル「We Are The Champions (邦題:伝説のチャンピオン)」がアメリカでプラチナ・ディスクとなった数週間後の5月11日、クイーンによる同会場での3夜連続公演の初日が行われた。その年を最後に会場はエンパイア・プールから名前を変えることになった。
その年の2月、クイーンは1974年のチャート・イン以来、全英チャートで最低の順位を経験した。『News Of The World』に収録されたジョン・ディーコン作の「Spread Your Wings(邦題:永遠の翼)」が全英34位に留まったほか、アメリカのみのリリースとなった同作収録の「It’s Late」のシングル・ヴァージョンも74位に入るのがやっとだった。
それでも彼らは同じアルバムで間違いなく英国のアリーナを沸かせる名曲を生み出していた。その両A面シングルは時代を代表するパワフルな2曲だった。ロック史に燦然と輝く「We Are The Champions」と「We Will Rock You」は1977年の後半にひとつの7インチ・シングルとして発表され、全英2位の大ヒットとなった。会場を盛り上げるには十分な同2曲が新しいセット・リストの核となったことは言うまでもない。
「We Will Rock You」でウェンブリー・アリーナのステージをスタートさせた4人は、「Somebody To Love(邦題:愛にすべてを)」、「Killer Queen」、「Good Old Fashioned Lover Boy(邦題:懐かしのラヴァー・ボーイ)」、「Now I’m Here」、「Bohemian Rhapsody」といったそれまでのヒット曲のほか、「Millionaire Waltz」や「White Man」など人気のアルバム曲も織り交ぜ2時間の演奏で観客を魅了した。
セットを一旦ノリの良い「Tie Your Mother Down」で締めくくったかと思うと、アンコールでは「We Will Rock You」のリプライズから「We Are The Champions」や「Jailhouse Rock」のカヴァーを披露した。まさに“チャンピオン”である。
1 Comment