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ザ・ビートルズの形成期に大きく貢献したデザイナー、トニー・ブースの功績
トニー・ブース(Tony Booth)は、ザ・ビートルズ(The Beatles)の初期のライヴの宣伝用ポスターを手掛けたリヴァプール出身のアーティストで、バンドの形成期に大きく貢献した知る人ぞ知る人物である。彼の名前を知らなくても、彼の特徴的なアートワークを見たことがある人は多いだろう。
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1933年6月22日にマージーサイドで生まれた彼は、50年代前半に兵役に就き、その頃にはすでにデザイナーとして優れた才能を発揮していた。1960年代初頭、すでに多くのライヴの宣伝用ポスターを手掛けていたキャヴァーン・クラブや、ホワイトチャペルにあるザ・ビートルズのマネージャー、ブライアン・エプスタインの事務所に近い、リヴァプールの中心地で働いていたトニー・ブースは、ブライアン・エプスタインに雇われ、彼が経営するレコード・ショップのポスターやカードの制作を担うようになる。
当時の彼は、ザ・ビートルズだけでなく、他のリヴァープール出身バンドやキャバーン・クラブに行われていた様々なライヴの宣伝ポスターを手描きで制作していた。彼のオリジナル・アートワークはほとんど残っていないが、あるポスターは、1961年にキャバーン・クラブで行われたオールナイト・イベントの出演者の最下段に、ザ・リモ・フォーと並んでザ・ビートルズの名前があったことが記録されている。
彼のオリジナル・アートワークの多くは、イベント後に廃棄されるか、シルクスクリーン印刷の工程で失われてしまった。しかし、その希少価値から、彼の作品は現在でも非常に人気が高く、数年前にキャバーン・クラブのオリジナル・ポスターがアメリカのコレクターに27,500ポンド(約500万円)で売却されている。
後年、トニー・ブースは自身の作品の複製を制作し、限定版のサイン入りプリント・ポスターや手描きのレプリカとして、世界中のビートルズ・コレクターに販売していた。2017年1月11日、彼は癌のため83歳で逝去。奇しくも、彼の最後の仕事は、彼の死後の週末に行われたキャバーン・クラブの60周年記念イベントのポスター制作だった。
Written By Paul Sexton
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