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1965年パリでのライヴ盤『Motortown Revue: Live In Paris』:モータウンのヨーロッパ侵略
モータウン・レーベルが全力でヨーロッパ侵略を図るのにあたり、パリよりも良い場所が他にあっただろうか?フランスの首都はそれまでも、そして今も変わらずにずっとお洒落でクールな街であり続け、流行りのサウンドを求める観衆がそこに存在する。そして1965年は『The Sound Of Young America』こそがそれだった。
1965年4月13日にパリのオリンピアにて“モータータウン・レヴュー”のコンサートが開催され、アール・ヴァン・ダイク、マーサ&ザ・ヴァンデラス、スティービー・ワンダー、ザ・シュープリームス、そしてザ・ミラクルズが出演した。モータウンのスターがパリでパフォーマンスを行うのはこれが初めてのことだった。ベリー・ゴーディのビジネス・パートナーであるバーニー・エイルズはuDiscoverにこう話してくれた。「上手くいくと彼らは信じていた。旅行で来たわけじゃないからね」。
そしてライヴは見事に成功した。1965年のライヴ・アルバム『Motortown Revue: Live In Paris』のエクステンデッド・リイシュー盤が証明するように、ベリー・ゴーディ率いるモータウンのミュージシャンたちが披露したステージは熱かった。ジェームス・ブラウンは自分のことを“ショービジネス界一番の働き者”と言ったが、少なくともこのアルバムでは、モータウンのバンド・リーダーであるアール・ヴァン・ダイクとソウル・ブラザーズがそのあだ名に相応しいと言えるだろう。『Motortown Revue: Live In Paris』のリイシュー盤には「See See Rider」や「Too Many Fish In The Sea」といった序説のインスト練習曲のみならず、その夜披露されたすべての曲のバックヴォーカルまでも余すところなく収録されている。
それは正にエンターテイメントと言える。モータウンの有名な練習への力の入れ方が報われ、すべてのパフィーマンスは完璧だった。マーサ&ザ・ヴァンデラスの「Heat Wave」はアルバムよりもテンポは速く、そのパフィーマンスはエネルギーに満ち溢れ、その後の出演者たちのお膳立てをした。スティーヴィー・ワンダーはフランス語で感謝の気持ちを伝えながら観客たちを魅了し、ヴァン・ダイクとソウル・ブラザースにインストゥルメンタルのオープニング演奏の勢いを維持するように煽る。
ステージの後半になるとザ・シュープリームスのダイアナ・ロスの洗練された声が終始官能的な魅力を発揮する。「Baby Love」の前の短い間奏では、彼女たちやモータウンの多才さを証明しつつ、一流の野心も感じられる。マーサ&ザ・ヴァンデラスに比べると明るくリラックスとしているが、しっかりと練習を重ねたミラクルズと共に、ヨーロッパの新たな客層に急速に成熟するモータウンのアーティストたちを紹介し、レーベルの世界征服に向けた道を切り開いた。
ライヴ・アルバムとセットで発売された『The French EPs 1965』は、それぞれのステージから1曲ずつが5枚の7インチEPとして再発され、モータータウン・レヴューがヨーロッパでコンサートを開いた頃にフランスで初めてリリースされた。オリジナル盤が100ポンドで売られる中で(ミラクルズの「Ooo Baby Baby」は250ポンドで売られている)、今回の限定版ボックスセットにおいて、モータウン作品のコレクターたちに足りないものを補う完璧なコレクションとして受け入れられるに違いない。
Written By Jason Draper
『Motortown Revue: Live In Paris』
『The French EPs』