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ミック・テイラーのキャリアを振り返る:ストーンズでも活躍した叙情的なギタリスト
ミック・テイラー(Mick Taylor)は、1949年1月17日に英ハートフォードシャー州ウェルウィン・ガーデン・シティで生まれ、1969年にはあのザ・ローリング・ストーンズに加入し、1974年にバンドを脱退。バンドのファンに大きな印象を残した彼はストーンズ以外でも活躍し、英国で最も優れたギタリストの一人となった。
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1969年にブライアン・ジョーンズの後任としてストーンズに参加したミック・テイラーだったが、彼がミュージシャンとして大きなプレッシャーのかかる仕事を引き受けたのは、それが初めてではなかった。
彼は1967年に、ファンでもあり、英国の偉大なギタリストの養成所としても有名だったジョン・メイオール&ブルースブレイカーズの一員として、ピーター・グリーンの後任としてバンドに加入した。ジョン・メイオールは、1967年にMelody Makerの取材に応じた際、ブルースブレイカーズのメンバー構成や新メンバーのテイラーについて、冗談まじりでこう語っていた。
「バンド名をジョン・メイオール&ザ・フェイスレス・ファイヴ(顔なしの5人)に変えようかと思っているんだ。みんなで歴代のブルースブレイカーズ・メンバーのマスクをかぶるんだ。ミックはエリック・クラプトンのマスクを被り、キーフはヒューイ・フリントのマスクを被るんだ。そうすれば、みんな俺たちのことをわかってくれるかもしれないしね」
ミック・テイラーは、ストーンズからの運命的な電話を受ける前の2年間、ジョン・メイオールとともにその評判を高めていった。長いアメリカ・ツアーの終わりにブルースブレイカーズを脱退した彼は、1969年の夏、ハイド・パークで行われたストーンズの無料コンサートにて、初めて公の場でバンドと共演を果たした。
多くの人が、テイラーはブルースブレイカーズで演奏した中で最も技術的に優れたミュージシャンであると考えており、彼が60年もの歴史があるストーンズに在籍したのはたったの5年であったことを残念に思っている。ミック・テイラーは『Let It Bleed』『Sticky Fingers』『Exile On Main St.』などの名盤やライヴでストーンズの黄金期を築いたメンバーであることは間違いない。また、彼は『Goats Head Soup』や1974年の『It’s Only Rock ‘n’ Roll』にも参加していたが、その後、脱退することになる。
その後のテイラーの活動は、彼自身のソロ作品に加えて、ステージ上とレコードの両方で様々なコラボレーションを行なった。彼が共演したミュージシャンといえば、マイク・オールドフィールド、ジャック・ブルース、ボブ・ディラン、グレイトフル・デッド、アルビン・リー、リトル・フィートなどなど。そして彼は1989年にはローリング・ストーンズとともにロックの殿堂入りを果たしている。
2013年、ストーンズのドラマ、チャーリー・ワッツは、ミック・テイラーがバンドにもたらした貢献について次のように大きな賛辞を送っている。
「ミック・テイラーをバンドに迎えたのはいい選択だったよ。彼はバンドを猛烈に向上させてくれたからね。当時、彼自身は気づいていなかったかもしれないが、本当によくやってくれたんだ。ミックとキースから受け取った素晴らしい曲の数々を彼は演奏してくれた。素晴らしい時期だったよ。俺達にとって、最も音楽的な期間だったんだ。それは、ミック・テイラーの演奏のおかげだったと私は思う。彼は叙情的なギタリストだったよ」
Written by Paul Sexton
ザ・ローリング・ストーンズ『Exile On Main St.』
1972年5月12日発売
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