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メタリカ『Reload』解説:メインストリームに迎合しようしないバンドによる『Load』の続編

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『Load』や『Reload』を発表したころのメタリカについて長年のファンがどう感じていたにせよ、「彼らが彼らの信念に反することをした」と非難する者は一人もいないだろう。

それでも変化を嫌うリスナーはいるものだが、そうした人たちは1982年に『No Life ‘Til Leather』のデモが裏で取引を行うテープ・トレーダーたちの間で大きな話題を呼んだときから、彼らが“金に魂を売った”と騒ぎ続けてきたのだ。実際、フロントマンのジェイムズ・ヘットフィールドは2017年、雑誌Clashの取材で以下のように語っている。

「俺たちを分類したり枠にはめたりするようなルールや試みを、俺たちは常に嫌ってきた。俺たちは限界や制限といったものが好きじゃないんだ。それに…ヘヴィ・メタルにはパンクと少し似たところがあって、“この世界なんてクソ食らえだ”とか“俺たちは俺たちでしかない、自分たちの好きなようにやる”っていう精神が根付いている。だから、ほかの連中のやり方に合わなくたって構わないんだ」

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証明する必要などない唯一無二のグループ

サンフランシスコ出身のヘヴィ・メタル・バンド、メタリカは、通称“ブラック・アルバム”と呼ばれるセルフ・タイトル作で大きな成功を手にしたが、それでもメインストリームが彼らを完全に受け入れることはなかった。そのため、『Reload』がリリースされたころ(1997年11月18日)には、彼らはもはやメインストリームに迎合しようとはしなくなっていた。

このころのメタリカは、既成のジャンルに囚われず、自らの力を誰かに証明する必要などない唯一無二のグループになっていた。アルバムの中で一番クセのある曲を1曲目にしたいと思えば、彼らはその気持ちにそのまま従ったのだ。

荒々しいオープニング・ナンバー「Fuel」は、猛スピードで車を走らせたくなるような強力なリフを持つ、猛烈な曲調の1曲だ。この曲でライヴのモッシュ・ピットに入れば、酷いむち打ちになることは間違いないだろう。

また、前作『Load』がサザン・ロックに接近しすぎたと感じていたリスナーにとって、怒りに満ちた「Fuel」は心強い1曲だった。この曲は『Reload』の収録曲としてはめずらしく、現在でもメタリカのライヴで取り上げられている。

Metallica – Fuel (Official Music Video)

 

アルバムの内容

「Fuel」に続くのは、『Reload』の挑発的なリード・シングル「The Memory Remains」だ。この曲では、おどろおどろしいリード・ヴォーカルを聴かせるヘットフィールドと並んで、マリアンヌ・フェイスフルがタバコでかすれ切った歌声を披露。凋落したかつてのスターや小さなブリキの女神が登場する歌詞は、これまでヘットフィールドが手がけた中でもっとも冒険的で難解な内容といえるだろう。

Metallica: The Memory Remains (Official Music Video)

だが、『Reload』は全体として、グルーヴに重きを置いた作風のアルバムだ。そんな同作のサウンドを象徴する1曲が猥雑な「Devil’s Dance」である。また、掴みどころのない展開をみせる「Slither」や、ゆったりとした力強いビートが特徴の「Carpe Diem Baby」もそれに通ずる曲調の楽曲といえよう。

Carpe Diem Baby

他方、「Better Than You」や「Prince Charming」などの楽曲では、メタル寄りの勢いのあるサウンドを聴くことができる。だが、ロック界の大物ともなったメタリカは『Reload』の大部分において、以前の彼らの代名詞であった目まぐるしいスラッシュ・サウンドの枠をはるかに超えた演奏を披露している。

Prince Charming

実際、「The Unforgiven II」や「Low Man’s Lyric」にはサザン・ロックというより、本格的なカントリーの影響が密かに取り入れられているように思える。そして、ゆったりとしたグルーヴに乗せてスケールの大きな演奏が繰り広げられる「Fixxxer」でアルバムは終幕を迎えるのである。

Fixxxer

 

「あのときは、あれが正しいことだと思った」

当初、メタリカの面々は、『Load』を2枚組アルバムとしてリリースするつもりだったというが、最終的には、『Loud』は1枚のアルバムになり、その続編として『Reload』を1年後に発表することにした。そんな2作には類似点もあるが、メンバーたちは『Reload』をあとからリリースすることで、収録曲を改めて精査し、全員の満足いく作品に仕上げ直すことができた。

しかし、2004年のドキュメンタリー映画『メタリカ: 真実の瞬間』で描かれているバンドの内部抗争が公になる以前から、彼らはメンバー間の友好関係を保つために一定程度の妥協が必要であることに気づいていた。

ヘットフィールドはClashの取材でも、『Reload』の構想に関してドラマーのラーズ・ウルリッヒとギタリストのカーク・ハメットに従ったことを認めている。それでも、彼はその構想を実現させるために全力を注いでいた。

「あのアルバムに関して俺はベストを尽くしたよ。求めていたほど良いものにはならなかったけどね」

そして、彼はこう続けている。

「でも、後悔はしていないんだ。あのときはそれが正しいことだと思えたからさ…。もしも個人的な思いが優先されるようになって、それが気に入らなくなれば、いつだって手を引ける。創作活動に対してそういう熱意をもっていれば、きっとそれをわかってくれる人がいるからね。そういう人たちの居場所は決してなくならないよ」

これは筆者の意見に過ぎないが、『Reload』を改めて聴くと、記憶よりずっと良い作品に思えるはずだ。

Written by Caren Gibson



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