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ジャネット・ジャクソン「All For You」:2000年代最初の女性アーティストによる全米1位曲の裏側

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Photo: KMazur/WireImage

ジャネット・ジャクソン(Janet Jackson)は華やかな人気少女歌手として活動をスタートさせたが、1986年のControl以降、三拍子揃ったエンターテイナーに変貌を遂げた。そしてそれ以来、ポップス界を代表する大スターのひとりとして活躍してきた。

彼女は歌詞の中で挑発的な話題を取り上げていた。たとえば黒人女性の苦悩(1986年の『Control』)、社会問題(1989年の『Rhythm Nation』)、性意識(1993年の『Janet』や1997年の『The Velvet Rope』)といった具合である。そうしたテーマをヒット曲にうまく盛り込みながら、ジャネットは世界中で1億枚以上のレコード・セールスを記録してきた。

彼女はそうして何十年にもわたって重いテーマを音楽に埋め込んできたが、21世紀に入ると打って変わって楽天的なエネルギーで活動を進めていこうと決意した。2001年の7枚目のアルバム『All For You』は、トラウマや性的なアイデンティティを描いた問題作『The Velvet Rope』に続く作品だった。

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当時レネ・エリゾンド・ジュニアとの結婚生活に終止符を打っていたジャネットにとって、このアルバムは新たな一歩の象徴となっていた。そして、このダンス、ポップ、ファンクがミックスされたアルバムは、独身生活に戻ったことに伴う性の解放を祝うものでもあった。

アルバムのタイトル・トラックでリード・シングルとなった「All For You」は、そうした気ままな雰囲気を凝縮した曲だった。ここでは、イタリア系アメリカ人のグループ、チェンジが1980年に出したシングル「The Glow of Love」をサンプリング。長年にわたって彼女の共同プロデューサーを務めてきたジミー・ジャムは、当時MTVのインタビューで次のように語っていた。

「ジャネットの歴史においては、ハッピーなレコードや人々を笑顔にするレコードが伝統的に大成功を収めてきた。たとえば、“When I Think of You”や“Doesn’t Really Matter”のような曲だね。このアルバムもその伝統を引き継いでいる。いわば、80年代のダンス・ミュージックをリスペクトした作品なんだ」

「All For You」は、ジャネットの性格に含まれている生き生きとした小生意気な側面をうまくまとめ上げた曲だ。ここでは彼女の有名な笑顔と同じくらい明るいハーモニーを聞くことができる。とはいえジャネットは、この曲が過度に甘ったるくなることがないように、いかにも彼女らしいいたずらっぽさをここで発揮している。

ミュージック・ビデオ

2001年のプロモーション・ビデオで、ジャネットは次のように説明している。

「(All For Youは)クラブに行って友人と遊んだ経験からインスピレーションを受けた曲なの。ああいう場所では、なかなか魅力的に見える人が自分にアプローチをかけてきそうな感じに見えることがある。でも、向こうが怖気付いちゃって、そこでストップしてしまう。そういうことを私はずっと経験してきた。私が今まで付き合った人は、みんなこちらから誘ったの。だから、願わくばそういうことがなくなるといいんだけど……」

このシングルについては、曲そのものと同じくらいカラフルなミュージック・ビデオが作られた(監督はデイヴ・メイヤーズ)。その中では、ジャネットと仲間たちが二次元の世界で楽しい夜を過ごす様子が描かれていた。このビデオで特に有名なのはダンス・ブレイクのシーンで、そこでは姉のレビー・ジャクソンの「Centipede」、ジャネット自身の「The Pleasure Principle」や「Go Deep」、シャノンの「Let the Music Play」がサンプリングされている。

Janet Jackson – All For You (Video)

「All For You」は、曲と映像の生き生きとした組み合わせにより、全米シングルチャートで首位を獲得し、7週連続その座を維持した。これはジャネットにとって10曲目のNo.1ヒットとなった。さらには2000年代に女性アーティストが首位を獲得した最初の例となり、また2001年のチャートで最も長く首位に留まった曲という記録も達成した。

「All For You」はラジオでも人気を集め、ポップ、リズミック、アーバンの全ラジオ局のプレイリストに加えられた最初のシングルとなった。そして、グラミー賞の最優秀ダンス・レコーディング部門とASCAPリズム&ソウル賞の最優秀ダンス・ソング・オブ・ザ・イヤーを獲得するという栄誉にも輝いた。

同名のアルバムはダブル・プラチナ・ディスクに認定され、ジャネットの作品としては5枚連続で全米アルバムチャート1位を獲得。発売第1週の売り上げは、女性アーティストとしてはブリトニー・スピアーズの『Oops!…I Did It Again』に次ぐ第2位の成績を収めた。

この当時ジャネットは既にポップス界を代表するアイコンとみなされていたが、『All For You』によってその地位はさらに確固たるものとなった(2001年には、そのものズバリ『Icon』と銘打ったMTVの特別番組の第1回で特集されている)。

このアルバムは嵐の後にも幸せがあることを示していた。本作のリリース後、ジャネットは自分で作った太陽の光を長きにわたって浴び続けることになる。

Written By Bianca Gracie



ジャネット・ジャクソン『All For You』
2001年4月24日発売
LP / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music


最新ベスト・アルバム
ジャネット・ジャクソン『
JANET JACKSON Japanese Singles Collection
2022年8月24日発売
CD購入
2SHM-CD+1DVD(CD全38曲/DVD全44曲収録)

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