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ジェームス・ブラウン『Live At The Apollo』解説:ハーレムで炸裂した粗削りなソウル・ダイナマイト
かつてミック・ジャガーは、ステージに上がる前に『Live At The Apollo』を聴くことがあると語っていた。同作を聴くことで気分が盛り上がり、大観衆を前に最高のステージを披露する準備が整うというわけだ。
ジェームス・ブラウンの代表作『Live At The Apollo』は史上最高のライヴ・アルバムのひとつに数えられる紛れもない傑作であり、「グラミー殿堂賞」にもランクイン。雑誌Rolling Stoneの選定した「500 Greatest Albums of All Time (史上最も偉大なアルバム500選) 」でも25位につけていた(2020年版では65位)。
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1962年10月に、ニューヨークのハーレムにある歴史的なホール、アポロ・シアターで実況録音されたこのアルバムは、そのショーの約7ヶ月後にリリースされた。ここで聴けるのは比類なきエンターテイナー、ジェームス・ブラウンと彼が信頼を寄せるグループ、フェイマス・フレイムスによる魅力たっぷりのライヴ・ショーである。
この7年前にジェームス・ブラウンは、シングル「Please, Please, Please」をR&Bチャートのトップ5に送り込みチャートデビューを果たしていた。しかしながらアルバム・チャートにはなかなか作品を送り込むことができず、初のランクインとなったのは1963年6月末にチャート入りしたこのライヴ・アルバム『Live At The Apollo』だった。同作には2組のメドレーや、「I’ll Go Crazy」「Try Me」といった代表曲を収録。また1961年にR&Bチャートで成功した「Lost Someone」の11分に及ぼうという長尺のライヴ・テイクも楽しむことができる。
“ミスター・プリーズ・プリーズ・プリーズ”ことジェームス・ブラウンは、この時期、スタジオ録音の「Prisoner Of Love」をR&Bチャートのトップ10圏内と、ポップ・チャートのトップ20圏内に送り込みジャンルを超えた成功をものにしていた。
また、ジェームス・ブラウンのドラマティックで規格外のライヴ・パフォーマンスの評判は既に広く知れ渡っており、その模様をレコードで体験したいと願っているオーディエンスは少なくなかった。そんなことも追い風になったのだろう。アルバム『Live At The Apollo』はポップ・チャートの2位まで上昇。実に66週に亘って同チャートのトップ10圏内に留まっていた。ジェームス・ブラウンのアルバムの中に、ポップ・チャートでこれ以上の成績を残した作品はほかに見当たらない。
1975年、英国の音楽ジャーナリストであるクリフ・ホワイトは、このアルバムを振り返り、New Musical Expressに、以下のような論評を寄せている。
「ここで聴けるパフォーマンスには、1960年代のブラック・ミュージックに革新性をもたらすことになるジェームス・ブラウン作品の構成要素のすべてが、荒削りなまま記録されている。あなたが、ブラック・ミュージックの進化を理解したいと思うなら、“Live At The Apollo”は避けて通ることのできない作品だ」
Written By Paul Sexton
ジェームズ・ブラウン『Live At The Apollo』
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