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チャック・ベリーの「Rock & Roll Music」
1957年11月18日、チャック・ベリーがまたもや音楽界に大きな影響を与える新たなロックン・ロールを世に出した。ロックの歴史を語る上で欠かすことのできない重要な作品「Rock & Roll Music」はこの日R&Bチャートに登場。ヒットを連発していたチャックの勢いが些かも衰えていないことを印象付けた。
この時点で、既にチャック・ベリーは2年以上のあいだコンスタントにR&Bチャートにヒット曲を送り込んでいたが、意外なことにポップ・チャートにおける実績はそれに遠く及ばなかった。実際、チャックにとって、チェスからリリースされた「Rock & Roll Music」は、R&Bチャートでは10曲目のヒット曲だったが、ポップ・チャートではまだわずか5曲目だったのである。「Maybellene」のカップリング曲「Wee Wee Hours」や、両A面でリリースされた「Too Much Monkey Business」と「Brown Eyed Handsome Man」――これらの重要曲は、R&Bファンのあいだでヒットしたに過ぎなかったというわけだ。
しかしながら「Rock & Roll Music」は、一聴してヒット間違いなしを思わせる作品だった。実際、ラジオ番組の関係者はこぞってこの曲を流し、結果、同曲はポップ・チャート、R&Bチャートの双方で成功したのだった。この曲のR&Bチャートにおける成績は6週ランクインで、最高位6位というもの。対してポップ・チャートにおけるそれは、19週ランクインし(しかもR&Bチャートへのランクインに先駆けてのチャート入りだった)、最高位8位というものである。
ご存知の通り、この曲「Rock & Roll Music」を耳にした若者達の多くが大いに刺激を受け、自らのレパートリーとして採り上げるようになった。代表的なカヴァーは、やはりザ・ビートルズの『Beatles For Sale』(1964年)所収のカヴァー・ヴァージョンだろう。エネルギッシュなジョン・レノンのヴォーカルと賑やかに鳴り響くポールのピアノが印象的なそのヴァージョンに比較すると知名度は劣るものの、チャック・ベリーと同様、ロック黎明期に活躍したビル・ヘイリー・アンド・ザ・コメッツも1973年のアルバム『Just Rock & Roll Music』でこれを取り上げ、シングルとしてもリリースしている。
またデヴィッド・キャシディも同じく1973年にこの曲のカヴァー・ヴァージョンを発表。ハンプル・パイが1975年に発売したアルバム『Street Rats』にも「Rock & Roll Music」は収録、翌年ザ・ビーチ・ボーイズのアルバム『15 Big Ones』に収録された同曲は、1976年に全米トップ10に返り咲いた。近年ではブライアン・アダムスが『Tracks Of My Years』(2014年)でやはりこの曲をカヴァーしている。
そしてチャック・ベリー自身もまた、自身がフィーチャーされたドキュメンタリー映画『ヘイル! ヘイル! ロックン・ロール(原題:Hail! Hail! Rock ‘n’ Roll)』の中でこれを再演。エタ・ジェイムズをリード・ヴォーカルに迎え、パワフルなコール・アンド・レスポンスを披露した。この曲の歌詞にあるように、どう料理しようとロックン・ロール・ミュージックの魅力は揺るがないのである。
「Rock & Roll Music」収録のベストアルバム『The Great Twenty-Eight』を聴く:iTunes / Spotify
『チャック~ロックンロールよ、永遠に。』
『チャック・ベリー追悼 紙ジャケット/SHM-CDコレクション』
2017年3月18日、惜しくも90歳でこの世を去ったロックン・ロールの創始者、チャック・ベリー。
後のロックアーティストに多大な影響を与えた彼の偉業を称え、チェス・レコード時代の16タイトル再リリース&マーキュリーから発表した5作品を初紙ジャケット化!