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ライオネル・リッチー唯一の全英シングル1位獲得曲「Hello」
止めることが出来ない勢いのモータウンのバラードは1984年3月24日、その年の5月12日に全米ポップ・チャートの首位を独占する前に、大西洋の向こう側のチャートを征服した。元コモドアーズのリード・シンガーであるライオネル・リッチーがジェイムズ・アンソニー・カーマイケルと一緒に作曲したライオネル・リッチーのバラード曲「Hello(邦題: ハロー / 出会いの扉)」は、全英チャートで6週間首位の座を守り続け、その後2週間、全米シングル・チャートのトップを走り続けた。
ライオネル・リッチーが何をしても許されるかのように、このバラードは全米R&Bチャートでも3週間続けてトップに君臨、アダルト・コンテンポラリー・リストにも6位に登場した。当初、曲としては悪くはないと判断され、初セルフ・タイトルのソロ・アルバム『Lionel Richie』には収録しされなかった。彼の妻ブレンダがこの曲の収録を強く求めるまでセカンド・アルバム『Can’t Slow Down』でも収録を見送ることを検討されていたほどだった。
イギリスで「Hello」は25位に初登場、そして5位まで一気に上昇したのち、ネーナの「99 Red Balloons(邦題: ロックバルーンは99)」から首位の座を奪い、ライオネル・リッチーはこのようにして1980年代中旬のモータウン所属の一番人気のスターとしてのポジションを確固たるものとした。しかし当時、世界的なヒットを出していたモータウンのアーティストはライオネル・リッチーだけではなかった。マイケル・ジャクソンとジャーメイン・ジャクソンのヴォーカルを起用した曲「Somebody’s Watching Me」でモータウンの創設者ベリー・ゴーディの息子、ロックウェルも全英チャート入りを果たしていた。
約40年間、ライオネル・リッチーが世界各国で納めた揺るぎない成功を治めたが、全英チャート獲得という意味では「Hello」は彼にとって全英1位を獲得した唯一のソロ・シングルで、アルバム『Can’t Slow Down』も全英1位を獲得した唯一のスタジオ・アルバムとなった。スタジオ盤以外では、1992年にイギリスでベストセラーになったグレイテスト・ヒッツ『Back To Front』で首位を獲得。そして2003年に発売されたコモドアーズの曲も収録した彼の『Definitive Collection』が2015年に全英1位を獲得している。これは、同年のライオネル・リッチーのグラストンベリー・フェスティバルのパフォーマンスが素晴らしさがチャートに直接反映されたのだった。
「Hello」は発売された1984年の全英チャート・シングルの中でも7番目に売れたシングルで、『Can’t Slow Down』は最も売れたアルバムだった。またこのバラード曲は、オランダ、スイス、アイルランドとヨーロッパ数カ国でもチャートの首位を占め、オーストラリアでも1位を獲得。アメリカでは、フィル・コリンズの「Against All Odds (Take A Look At Me Now) (邦題: 見つめて欲しい)」から全米シングル・チャートの首位の座を奪っている。
Written by Paul Sexton
ライオネル・リッチー『Can’t Slow Down』