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ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース『Sports』: マイケルの『Thriller』に次いで年間売上2位となった名盤
ヒューイ・ルイスはどちらかといえば遅咲きだった。ニューヨーク生まれの本名ヒュー・アンソニー・クレッグ3世は、30歳でバンドのザ・ニュースと共に、クリサリス・レコードからセルフ・タイトルのアルバムをリリース。1980年に惜しくも全米アルバム・チャートに入ることなく、最高ランキングが203位というなんとも地味な全米アルバム・チャートへのデビューを果たした。
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3作目で初の全米1位
その3年後、バンドはアメリカの人気者となる。セカンド・アルバム『Picture This』でトップ15入りを果たし、そして3枚目のアルバム『Sports』はその長い道のりをやっと踏破した。『Sports』は1983年10月にベストセラーの仲間入りをしてから、1984年6月30日にようやく全米1位の座についたのだ。
ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのアルバムとしての成功のきっかけは、数々のシングル・ヒットにあった。ニッキー・チンとマイク・チャップマンの曲「Heart and Soul」は、最初に1981年にエグザイルというバンドがリリースしたが、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのアルバム『Sports』に収録されたカヴァーで初めて話題となった。1983年の後半には全米シングルチャート8位にランクイン、翌年の年明けには、1984年の3曲のヒットのうちの1曲としてまず「I Want A New Drug」でチャートに返り咲いて、続く「The Heart of Rock ‘n’ Roll」と「If This Is It」はともに最高6位にランキングしている。
シングル・ヒットによって『Sports』は大ヒットアルバムになった。アルバムの10週連続チャートトップは映画『フットルース』のサウンドトラックに奪われ、その翌週にはブルース・スプリングスティーンの『Born In The USA』が1位になったが、アルバム『Sports』はアメリカだけで700万枚もの売上げを達成した。1984年が終わった頃には、マイケル・ジャクソンの『Thriller』に次いで、1984年のアメリカで年間売り上げ2位となった。
Written By Paul Sexton