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ハワード・ジョーンズ「ベストヒットUSA」インタビュー:「僕は人々に力を与え、運命を受け入れ頑張るよう励ます」
小林克也氏がMCを務め1981年テレビ朝日で始まり今も最新のヒットや名曲などを紹介し続ける音楽番組「ベストヒットUSA」。現在は毎週金曜日24時からBS朝日で放送されているこの番組に登場するアーティストたちのインタビュー「STAR OF THE WEEK」を放送前に少しご紹介。
1981年テレビ朝日で放送がスタートし、今も最新ヒットや名曲などを紹介し続ける小林克也氏MCの音楽番組「ベストヒットUSA」(現在は毎週金曜日24時からBS朝日で放送)。
9月13日(金)深夜24時からは、80年代を席巻したイングランド出身のシンガーソングライター、ハワード・ジョーンズ・スペシャルをオンエア!!
今年5月に4年ぶりとなるニュー・アルバム『Transform』をリリースし、この夏、来日公演も行ったそんなシンセ・ポップのレジェンドに、デビュー当時から貫くアーティスト哲学や、新作でみせたこだわりについて、今回じっくりと語っていただいた。そんなインタビューの模様を番組オンエアに先駆けて、その一部をご紹介。
「4年ぶり11作目のニュー・アルバム『Transform』では、80年代の発想と新世代アーティストとのコラボレーションをミックス」
小林克也:番組へようこそ!今年で35周年だって?
ハワード・ジョーンズ:ありがとう。また会えてうれしいよ。デビューアルバム『Human’s Lib』から35年だ。
小林:おめでとう!長いキャリアだ。プライベートでも結婚してそのくらいになるよね。
ハワード:そうなんだ。40年になる。
小林:もう40年!?おめでとう。僕が興味深く思うのは、彼女は君の仕事にかかわらなかっただろ? ポール・マッカートニーとリンダは違った。
ハワード:そうだね。でも、今、妻のジャンは僕のマネージメントをしてくれているんだ。
小林:マネージャーとしての彼女は最新アルバムのことをなんと言ってる?
ハワード:満足してくれているよ。
小林:あなたは家に仕事を持ち込む?
ハワード:家にスタジオがあるから、彼女は制作の過程をすべて聴いてる。彼女をスタジオに呼んで、“これでいいと思う?”と聞くんだ。すると、親指を上げるか下げるかしてくれる。
小林:彼女が最初のジャッジなんだね。大事な役割だ。
ハワード:いつも彼女の意見を聞くわけじゃない。アーティストは自分の直感を信じ、それに従うべきだから。でも、確信がない時は、意見を聞きたい。“これでいい”とか“もっとよくできる”と思えるから。
小林:今回のアルバムにはリミックスもいくつか収録されているね。80年代みたいに。
最近は若手がリミックスをやっているね。
ハワード:面白いよね。いいアイデアだと思ったんだ。80年代、僕たちはよく12インチのリミックス盤を出した。曲を長くしたり、リズムトラックを際立たせたり…
小林:今回は他の誰かがあなたの曲をリミックスしたの?
ハワード:いま言ったのは『Human’s Lib』(1984年のデビュー・アルバム)や『Dream into Action』(1985年発表セカンド・アルバム)の時代の話。でも今回もその発想で行こうと思ったんだ。僕のファンは突飛なリミックスは好まない。オリジナルがわからないようなリミックスじゃなくて、オリジナルのボーカルを聴きたいと思っているんだ。だから今回はそういうリミックスを加えた。ファンには好評だよ。だけど、若手のシンセ・ウェーブの人たちにもリミックスしてもらった。
小林:若手の音楽的パートナーがいるとか?
ハワード:BTというアーティストと3曲一緒に作ったよ。彼は若い世代のアーティスト。でも彼は14歳の頃から僕の音楽を聴いて育ったんだよ。だからコネクションを感じたね。僕は彼の作品が大好きでね。今回ようやく会えた。それで、一緒にやろうと声をかけたんだ。
「音楽はその日、次の日を乗り切り、頑張る力を与えてくれる。アーティストとしての僕の役目は、そういう音楽を作ることだ」
小林:確かデビュー当時は、コラボレイターがいたよね?詞を書いた人が…
ハワード:確かにアルバム『Human’s Lib』の何曲かは、ある人が書いた。でも実は僕がほとんど書き直していたんだよ。
小林:新譜と昔のアルバムを両方聴くとわかるが、あなたはあまり変わっていないね。とてもポジティブだ、という意味でね。あなたは自分が変わったと思う?
ハワード:昔よりよくなっているといいなと思うよ(笑)。
小林:もちろん、良くなっているのは間違いないさ!
ハワード:言っている意味はわかるよ。人を勇気づける音楽を作るという哲学は変わっていないよ。辛い時は助けとなりたい。誰にでも辛い時はある。音楽はその日、次の日を乗り切り、頑張る力を与えてくれる。アーティストとしての僕の役目は、そういう音楽を作ることだ。
小林:日本のファンの多くがあなたの歌詞に共感している。日本の歌謡曲も、その多くが人を励ますような内容の歌になっているよ。でも80年代から90年代のアメリカの音楽の歌詞っていうのは実にシニカルだった。そのトレンドは今も続いているよね。
ハワード:どんな人にもそれぞれの役割があり、それを正直に表現すればよいと思う。だが僕は最初から、そうはならないと決めていた。シニシズムは僕の中にもある。でもそれを曲には入れ込まない。僕が考える自分の役割は、今は辛くても、状況は必ずよくなると励ますことだ。役割は自分で決める。僕は人々に力を与え、運命を受け入れ頑張るよう励ます。誰か他の人が与えてくれるのを待つのではなくね。“これが自分の人生だ!自分や他の皆のために乗り越えてみせる!”と思えるよう励ます。
小林:あなたは「New Song」(1984年)の中で、こう歌っていましたね。“僕はクールになろうとかファッショナブルになろうとか思っていない”と。だけど、80年代のあなたはとてもファッショナブルだった。髪型も、ロングコートも。あなたを真似ている人たちもいた。あれはどんな風に始まったの?
ハワード:自分をどう見せるか、服装と髪型も含めてだが、それは作品の1部なんだ。心の鎖を解き放ち、君らしくあれとメッセージを発するなら、自分もそうするべきだ。作る音楽や見た目、MVもすべてね。
小林:それも創作の一部だったんだね。
ハワード・ジョーンズのインタビューが登場するのは2019年9月13日(金)24時からBS朝日で放送の「ベストヒットUSA」
番組公式サイトはこちら
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