Stories
ザ・キュアーを初の全英トップ10に導いた「The Lovecats」
ザ・キュアーが活動を始めた頃は、「Killing An Arab」や「10.15 Saturday Night」などポスト・パンクの曲を生み出していた時期で、商業的なヒット・シングルを作るというアイデアは彼らが思いもよらなかったことだっただろう。『Three Imaginary Boys』や『Seventeen Seconds』といったアルバムをリリースしたザ・キュアーは、先鋭的で独特の雰囲気を持ち合わせたパフォーマンスとレコーディングを手段として築く信頼性が全てだった。しかし1983年、彼らの「The Lovecats」がトップ・テン入りを果たすことになる。
1982年までに5曲のシングルが立て続けにチャート入りしていたが、UKトップ40がピークだった。しかしザ・キュアーのファンもシングルを求めるようになり、1983年の初めには「The Walk」が初のトップ20入り、12位まで食い込んだ。次のステップはトップ10入りというところで「The Lovecats」がその目的を果たしたのだ。
ロバート・スミスが作曲した「The Lovecats」は1983年10月29日、UKチャートの24位に登場した。当時はカルチャー・クラブやデュラン・デュラン、そしてUB40といったコマーシャルなブリティッシュ・ポップが蔓延していた時代で、さらにはデペッシュ・モードやニュー・オーダーといったシンセ様式や、ザ・キュアーだけでなくザ・ビートルズの曲「Dear Prudence」のカヴァーでトップ10入りしたばかりのスージー・アンド・ザ・バンシーズといったニューウェイヴ出身のアーティストなどもいた。
「The Lovecats」は2週目にはトップ20に入り、12位から10位へ、そして最終的に11月中旬には7位まで上昇した。それからザ・キュアーがシングルでより優れた業績を上げたのは、「Lullaby」で最高5位を獲得した約6年後のことだった。
Written by Paul Sexton
- ザ・キュアー アーティスト・ページ
- ザ・キュアーの名作ミュージック・ビデオ11選とロバート・スミスや監督が語る裏話
- ザ・キュアー関連記事
- ザ・キュアーの20曲:40年間で最も重要なモダン・ロック・バンド
- ザ・キュアー『Entreat』:ロック界で最も必要とされるライヴ・アルバムの1つ
- ザ・キュアーを初の全英トップ10に導いた「The Lovecats」
- ザ・キュアーのデビュー作『Three Imaginary Boys』
ザ・キュアー『Japanese Whispers』