Stories
トム・ペティのベスト・ソング20曲:バンドやソロ活動で生まれた名曲たち
彼の突然の死がトム・ペティのベスト・ソング20曲にこれ以上追加できない形になってしまったが、このプレイリストは、我々が失ったものの大きさを明らかにしている。38年に渡って、彼の人気バンド、ザ・ハートブレイカーズと作ったスタジオ・アルバムの曲と彼のベストなソロ曲、そして勿論、おそらく最も即興的なスーパーグループ、トラヴェリング・ウィルベリーズの曲を網羅した。
<関連記事>
・トム・ペティを偲んで:Runnin’ Down A Dream
・ザ・ハートブレイカーズのフロントマン、トム・ペティが66歳で死去
トム・ペティの鋭いソングライティング、辛辣な歌詞、特徴のあるヴォーカルが世に出たのは、彼とザ・ハートブレイカーズがデビュー・アルバムを発表した1976年のこと。しかし、彼らが初めてチャート入りを果たしたのは、アメリカではなくイギリスだった。そのデビュー・アルバムから、「Anything That’s Rock’n’ Roll」と「American Girl」が、夏の間、全英トップ40チャートに入る小さなヒットとなった。それから11月に、同アルバムの「Break Down」が全米チャートに入った。今考えても、アンセム風の「American Girl」が全米チャートに一度も入らなかったのは、信じ難いことである。
それらのヒット・シングルの後、このプレイリストでは沢山のザ・ハートブレイカーズの名曲が続く。これらの曲によって、彼らはアメリカの知的で重要なコンテンポラリー・ロックン・ロールの代表格となった。「Don’t Do Me Like That 」と「Refugee」は、両方とも1979年の忘れ難いサード・アルバムの収録曲で、その後、彼らは1981年のスティーヴィー・ニックスのソロ・アルバム『Bella Donna』に収録された「Stop Draggin’ My Heart Around」にゲスト参加し、素晴らしいコラボレーションを行なった。
ザ・ハートブレイカーズの1982年のアルバム『After Dark』には、「You Got Lucky」を始め、トム・ペティとバンド・メンバーのマイク・キャンベルとの共作曲が多数収録されていた。1985年の『Southern Accents』は、イギリス人のデイヴ・スチュワートと共同プロデュースを行なったアルバムで、トム・ペティとザ・ハートブレイカーズによる、8曲の全米トップ20入りシングル曲の中で6番目にチャート入りした「Don’t Come Around Here No More」が収録されていた。
グループ休止中に、トム・ペティは友人のボブ・ディラン、ジョージ・ハリスン、ジェフ・リン、ロイ・オービソンと共にジャム・バンドを組み、チャーリー・T・ウィルベリー・Jr.を装って演奏した。このスーパーバンドは、何百万枚ものセールスを達成する。トラヴェリング・ウィルベリーズの1988年のアルバム『Vol.1(邦題:トラヴェリング・ウィルベリーズVol.1)』は、それぞれのスターがリード・ヴォーカルをとり、始めから最後まで素晴らしい作品に仕上がっている。トム・ペティがロイ・オービソンとヴォーカルを取った曲のひとつが、「Last Night」だ。
そのすぐ後に、トム・ペティはソロ・デビューを果たした。1989年発表の『Full Moon Fever』は、彼が最も商業的に成功したアルバムで、ジェフ・リンと共同でプロデュースを手がけ、ジョージ・ハリスンとロイ・オービソンがゲスト参加していた。このアルバムには、彼のベスト・ソングに入る「I Won’t Back Down」、「Runnin’ Down A Dream」、「Free Fallin’」といった代表曲が含まれていた。
1990年、トラヴェリング・ウィルベリーズは遊び心のあるタイトルのセカンド・アルバム『Vol.3(邦題:トラヴェリング・ウィルベリーズ Vol.3)』でシーンに復帰。このアルバムからは、トム・ペティ作曲の「Cool Dry Place」を選んだ。それから、彼は再び自身のバンドで作品を発表。1991年にMCAからの最後のリリース作品となった『The Great Wide Open』もジェフ・リンとの共同プロデュースだが、アルバムのタイトル曲と「Leaning To Fly」をプレイリストに入れた。
1994年、トム・ペティは再びソロ・アルバム『Wild Flowers』を発表。彼がリック・ルービンとデヴィッド・キャンベルと共にプロデュースした作品で、「You Don’t Know How It Feels」が収録されていた。また、辛辣な「The Last DJ」は、ザ・ハートブレイカーズの2002年のアルバムのタイトル・ソングで、リード・シングルだった。そして、「Saving Grace」は、彼の3枚目にして最後のソロ・アルバムとなった『Highway Companion』の収録曲である。
ザ・ハートブレイカーズは、再びトム・ペティの創造力の最前線となり、2010年に『Mojo』(「Good Enough」を収録)を、2014年には、13枚目にして彼らの最後のアルバムとなった『Hypnotic Eye』(「American Dream Plan B」を収録)を発表したが、悲しいことにこれらがトム・ペティの晩年の作品となってしまった。
アメリカン・ロック・カルチャーと化したこれらの名曲の多くは、2017年に国内外で行なわれたトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのツアーで、見事なパフォーマンスと共に披露されていた。トム・ペティの歌声は沈黙してしまったかもしれないが、彼の音楽の遺産は、これからも長く生き続ける。
Written By
- トム・ペティを偲んで:Runnin’ Down A Dream
- ザ・ハートブレイカーズのフロントマン、トム・ペティが66歳で死去
- reDiscover:トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ『You’re Gonna Get It!』
- reDiscover:トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ『Damn The Torpedoes / 破壊』
- reDiscover:トム・ペティ『Full Moon Fever』
- トム・ペティ 関連記事
3 Comments