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ロブ・ゾンビ『American Made Music To Strip By』:REMIX作が目指すべき模範
リミックスのアルバムというのは興味深いものである。すでにファンが好きなものを選び、それを変えてしまうわけだが、良いものになるものもあれば、そうでもない結果になるものもある。そしてそれは本質的に賛否の分かれる動きである。
しかし90年代のトレント・レズナーによるナイン・インチ・ネイルズのリミックスから、2000年代にリリースされたリンキン・パークの『Reanimation』まで、さらに2018年2月にはコード・オレンジが彼らのシングル曲「Only One Way」をリミックスしたものをリリースするなど、リミックスというものは、ファンを満足させるように新しい風味を付けながら、アーティストを新しい分野へ探求させてくれる試行的かつ不変のものなのだ。ロブ・ゾンビの『American Made Music To Strip By』は、リミックス・アルバムのすべてが目指すべき立派な模範である。
1999年10月26日にリリースされた『American Made Music To Strip By』は、20世紀の最後の最後に流行しているものを取り込み、ロブ・ゾンビのデビュー・ソロ・アルバム『Hellbilly Deluxe 』のゆがんだ音楽のキャンバスを塗ろうとホワイト・ゾンビの黒幕が試みた一枚だ。そしてこのアルバムは、あらゆる点でその通りにワイルドだった。
『Hellbilly Deluxe 』のゴシック・ロックな騒々しさはなくなり、代わりに、90年代のエレクトロニック・ダンス・ミュージックが入りこんできた。DJリーサルやナイン・インチ・ネイルズのチャーリー・クラサーとクリス・ブレナ、そしてラムシュタインといった面々が12曲に参加し、ロブ・ゾンビと寄せ集めのコラボレーターたちは、デビュー作に溢れたキャラクターを現在にしっかりと取り入れることを目指した。
生ける屍となったミューズへの無謀な欲望のバラード「Living Dead Girl」は最大限に詰め込んだスキャンダルとともに、悲観的な失望のサウンドトラックとしてぶっ飛んだ曲「Subliminal Seduction Mix」に作り変えられた。極めて不気味な「What Lurks On Channel X?」は、”XXX Mix” の厚意によりメガ・アンセムとなった。そして「Si Non Oscillas, Noli Tintinnare Mix」とともに、『Hillbilly Deluxe』のリード・シングルとなった「Dragula」はサウンドトラックからサイバーパンクのバーでの乱闘騒ぎ、そして衣服を脱ぐ音楽へと発展した。もはや地獄からのバイカーではなく、ゾンビは火星からやってきた熱狂者である。
そういったあらゆることを経て、一枚目で定義されたエッジをこの音楽は失わない。ロブ・ゾンビのダークな叙情主義はすべての曲に突き刺さり、それは一部の欠けたヴォーカルによってさらにいっそうインパクトの強いものとなった。そしてそれは別の場所から引き出されただけで、音質的には同じ量のパワーを詰め込んでいる。
新たなイメージはアートワークにまで広がる。『Hellbilly Deluxe』を飾ったロブ・ゾンビの威嚇するような視線とはまるで異なり、『American Made Music To Strip By』のアルバム・ジャケットは、全裸でグリーン色になったロブ・ゾンビの現在の妻、シェリ・ゾンビが、ホワイト・ゾンビの1996年のリミックス・アルバム『Supersexy Swingin’ Sounds』のジャケットを彷彿させる50年代のピンナップ・ガールのポーズを決めたド派手のものである。美学的思想は常にゾンビのアートにとって必要不可欠であり、これは何ら変わりはない。音楽が再加工されたように、ロブ・ゾンビはアルバムのパッケージに彼のキャラクターと人生の完全に異なった側面を活用していた。
『American Made Music To Strip By』はロブ・ゾンビの基準の中で重要な位置を占めていた。彼のソロ・デビュー作で表現された迫り来る未来のブギーマンの存在は仕方がないが、今すぐここで関連付けられると、恐怖ははるかに強力である。常に概念論者であり、こういったリミックスやこのアートワーク、そしてこのプロジェクトに投入されたコラボレーションは彼のペルソナを具体化し、完全な予測不能さを彼の武器に追加させた。
レコーディング以来、彼が持っていたソロ作品と並行して脚本家、そして映画音楽の作曲家としてロブ・ゾンビが得たステータスと一体になって『American Made Music To Strip By』は、彼のアウトプットを明確にするための器用さ、熱意、芸術的なビジョンを高める不可欠な次の段階として考えられる。
『American Made Music To Strip By 』はロブ・ゾンビの基準の中で重要な位置を占めていた。彼のソロ・デビュー作で表現された迫り来る未来のブギーマンの存在は仕方がないが、今すぐここで関連付けられると、恐怖ははるかに強力である。常に概念論者であり、こういったリミックスやこのアートワーク、そしてこのプロジェクトに投入されたコラボレーションは彼のペルソナを具体化し、完全な予測不能さを彼の武器に追加させた。
レコーディング以来、彼が持っていたソロ作品と並行して脚本家、そして映画音楽の作曲家としてロブ・ゾンビが得たステータスと一体になって『American Made Music To Strip By』は、彼のアウトプットを明確にするための器用さ、熱意、芸術的なビジョンを高める不可欠な次の段階として考えられる。
ホワイト・ゾンビのリミックス・アルバムをこれまでに2枚リリースしてきたロブ・ゾンビは、彼の実験を進める中で一人ではなかった。当時の崇拝される多くのアーティストは、似たようなプロジェクトに挑戦していた。前述の鬼才、トレント・レズナーは遡ること1990年、ヒット・シングル曲の「Head Like A Hole」のマルチループを提案した。フィア・ファクトリーはギターをやめて、「Remanufacture」リミックスをすべて電子楽器で演奏した。そしてメタリカさえも、文学的な仮名を名乗ったモービーに「Until It Sleeps」のリミックスを依頼していた。
実験に対する燃えるような情熱によってその地位を獲得したパイオニアとして、今、ロブ・ゾンビを含むこういったアーティストを振り返ってみる。『American Made Music To Strip By』のようなプロジェクトは、ロック・ミュージックの偉人たちの魅力的な洞察として役立っている。今日、同じようなリスクを冒し、新たなアプローチを探求しているアーティストたちは未来のアイコンとして歴史に残るだろう。ロブ・ゾンビがその証しだ。
Written by Terry Beezer
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