Stories
オールモスト・マンデー、ロサンゼルス公演ライブ・レポート
サンディエゴ出身のドーソン・ドハティー(ヴォーカル)、ルーク・ファブリー(ベース)、コール・クリスビー(ギター)からなる3人組のZ世代インディ・ポップ・バンド、オールモスト・マンデー(almost monday)。
<ロラパルーザ>や<ファイアフライ・フェスティバル>などアメリカの人気大型音楽フェスに多数出演し、エルトン・ジョンやゼイン・ロウなど音楽業界の重要人物からラブ・コールを受ける彼らのロサンゼルス公演の様子を音楽ジャーナリストの鈴木美穂さんがレポート。
<関連記事>
・オールモスト・マンデー、オルタナ・ポップ・バンドが語るZ世代と新作
・イージー・ライフ『life’s a beach』:新人バンドがコロナ禍で作り上げた逃避/日常/希望
3月16日、オールモスト・マンデーが、ジョイウェーヴの全米ツアーのオープニング・アクトとしてロサンゼルスで公演を行った。20時すぎ、すでにほぼ満杯になっている会場のステージに、ドーソン(vo)、ルーク(b)、コール(g)とツアー・ドラマーの4人が登場すると、温かい歓声と拍手が巻き起こった。明らかに彼らのファンのお洒落な女子5人組が最前列に並んでいて、一際大きな歓声を上げていた。
オープニング曲は、まだ発表されていない新曲「distance」。キーボードと軽快なドラムのサウンドに合わせて、サングラスをかけたドーソンが体をくねらせながらハイトーンボーカルで歌い出し、観客も一緒に体を揺らし始めた。サビのシンプルなメロディがすごくキャッチーで、耳に焼き付く。
「僕達はカリフォルニア州サンディエゴ出身のオールモスト・マンデーだよ。観に来てくれてありがとう。このステージに立てて、最高に嬉しい。ジョイウェーヴの前に君達を楽しませて、一緒にいい時間を過ごしたいんだけど、いいかな?」と、ドーソンが丁寧な挨拶をした後、ラップと歌が軽やかに交錯する「cool enough」を披露。自然に歓声が巻き起こった。
「オーライ、LA。ダンスしたい気分の人はいる?」と問いかけて歓声を浴びた後は、ミドルテンポだけれどダンサブルな「til the end of time」に突入。2021年7月に発表されたセカンドEPのタイトル曲だ。ドーソンの瑞々しくエモーショナルな歌声は、ショウが進むにつれてどんどん鮮やかになっていく。サングラスをかけた独特のスタイルの彼が歌いながらユニークな動きや踊りで場を盛り上げるのに対し、向かって右手にいるコールと左手のルークは、ずっと俯いたままクールな佇まいで黙々とプレイしていて、3人はこの絶妙なバランスをキープしたまま、パフォーマンスを続けた。
「LA、これはまだ発表されていない新曲だよ。“sunburn”」という紹介で始まったのは、ビーチやプールでのパーティにぴったりの夏らしさ全開の曲だ。彼らの曲はダンサブルでポップというだけでなく、西海岸のビーチや眩しい太陽や夕陽の光景が頭に浮かぶような雰囲気を持っている。サンディエゴのサーフショップでライブをやっていたという彼らだから、自然とこういう曲が生まれるのだろうか。場内はすっかり温かいムードに包まれていた。
「ジョイウェーヴに、このツアーに僕らを連れてってくれて本当にありがとうって言いたい。これが僕達の初のツアーになったよ。彼らに発見された時、僕達はジョイウェーヴのカバーバンドだったんだけど、彼らに言われたんだ。『酷いから止めてくれ。自分達の曲を書くんだ。それで、僕達と一緒にツアーしよう』って。だから今、僕達はここにいるんだよ」と、ドーソンは真顔でジョークを言って笑いを起こし、「もう数曲やってもいいかな?」と再び尋ねて歓声を浴びた。
それからサーフ・ロック風の未発表の新曲「sun keeps on shining」、未発表だけれど曲の一部が既にTikTokで好評になっている「cough drops」、Spotifyで960万回を超えるストリーミング数を達成しているデビュー曲「broken people」を披露して、オールモスト・マンデーはショウを終えた。彼らはこのツアーに参加する直前まで、初のヘッドライナー・ツアーも行っていたのだが、今年初めてツアーに乗り出したバンドだとは思えないほどこなれたパフォーマンスだった。
全ての曲がキャッチーでダンサブルで楽しいので、彼らの曲を知らない観客も、すっかり取り込まれていた。6月には、ニューヨーク州で行われるザ・ガバナーズ・ミュージック・ボールの出演が決まっている彼ら。楽しませ方を心得ているライブの力で、急速にファンを増やしていきそうだ。
Written by 鈴木 美穂
オールモスト・マンデー『sunburn』
2022年4月8日発売
iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music
- オールモスト・マンデー、オルタナ・ポップ・バンドが語るZ世代と新作
- イージー・ライフ(Easy Life):UKバンドの枠組みからはみ出す5人組の魅力とは
- ヤングブラッド、ルックスも音楽性もジェンダーも全ての壁を破壊し続ける異色アーティスト
- The 1975がリスナーを魅了する5つの理由:ロック・バンドらしからぬロック・バンド
- 注目の新人を選ぶ“BBC Sound of 2020”の1位に輝いたセレステ