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ジ・オーブのアレックス・パターソンが選ぶエレクトロニック・ミュージック・トップ11

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Alex Paterson Top 11 Electronic Music Feature Image

ジ・オーブの革新的なアルバム『Adventures Beyond The Ultraworld』リリースから数十年、グループの大黒柱アレックス・パターソンは、エレクトロニック・ミュージックのゴッドファーザーとして、地球の軌道を一周できるほど数多くの惑星間音楽を生み出してきた。

キリング・ジョークとの初期の時代からEGレコード(エレクトロニックのパイオニア、ブライアン・イーノ他多数にとってのホーム)と組んでいた頃までで、アレックス・パターソンは全てを目にしてきた。他の惑星から奇妙なニュースを持ち帰りながら、彼はuDiscoverだけの為にエレクトロニック・ミュージック・トップ11の小旅行へと誘ってくれた


 

1: ブライアン・イーノ・ウィズ・ダニエル・ラノワ&ロジャー・イーノ『Apollo: Atmospheres & Soundtracks』(1983年)

映画『宇宙へのフロンティア』を観たことがあるかな? 必見ものだ。宇宙が好きならぜひ観て欲しい。「ジ・オーブの「Supernova At The End Of The Universe」と「Back Side Of The Moon」の宇宙飛行士のヴォーカル・サンプルはこの映画から数多く拝借している。と言うわけで、“彼等が知ることはないだろう、月の裏側に我々はいま立つ”。このサンプルは宇宙飛行士のバズ・オルドリンが月の裏側に立った時に発した言葉から取ったものだよ。

曲:「Always Returning」
名作へと成長したナンバー。ニュー・エイジとしては殆どスタンダードでコマーシャルなナンバーだけど、そのメロディは心から離れない非常に印象的なものだ。

 

2: デリック・メイ『Innovator』(1996年)

この曲を選びたかったからこのアルバムを選んだ。

曲:「Strings Of The Strings Of Life」
ドラムなしの9分ヴァージョンがあるんだけど、これがまさにそのヴァージョンだ。デリック・メイはオリジナル・テクノ・ボーイのひとりだ(ホアン・アトキンスとケヴィン・サンダーソンと共にザ・ベルヴィル・スリーのメンバー)。彼ら3人は自分達の世界に没入していた。その親方はクラフトワーク、でも彼ら黒人のテクノ・ボーイズ達は、クラフトワークを異なる次元へ…遥かにダンサブルなものへと誘って行った。彼らの音楽はとにかくダンサブルだった。そう、ブラック・ダンス・ミュージック的だ。「Strings Of The Strings Of Life」には全てのシークエンスが入っている。まるでエクストリーム・アシッドをやりながらのモダン・ジャズのよう。信じられないほど素晴らしい曲だ。ぜひじっくりと耳傾けて欲しい。

 

3: J・ディラ『Donuts』(2006年)

ソウル・ミュージックが分かっていて彼の貢献が理解出来るようなら、これは人生を変えてしまうようなアルバムだろう。10ccなどの、異なるメロディをソウルにミックスした作品なんだ。『Recipe For Donuts』というアルバムがあるんだけど、それは『Donuts』を作る為に使ったサンプル・レコーディング全てが収められているんだ。それはeBayで£100くらいするよ。『Donuts』は自分で繰り返しプレイしたいタイプのレコードだ。

J・ディラは31歳で亡くなった。彼には非常に深い敬意を抱いている。俺達の最新アルバム『Moonbuilding』を制作してる時に、J・ディラの財団に連絡を取って、自分達で曲を作れるようなループは残っていないか訊ねたんだ。そうしたら15個しか見つけることが出来なかった。15個と聞くとそれで充分だと思われるかも知れないが…ジ・オーブはそうはいかない(笑)。15個って何個かのブリッジと幾つかのフィルってことだろう?(笑) でもJ・ディラの財団はそのループを使って『Moonbuilding』のプロジェクトに組み込んでも良いと言ってくれた。俺達はそのヴァージョンをアルバムでリリースすることはなかったが、別の形で12”として『Moonbuilding』のトリプル・アルバムでリリースした。

曲:「Gobstopper」
「Gobstopper」を選んだのは、マントロニクス・サンプルが入っているから。

4: ガス『Gas』

2001年以来毎年、コンパクト・レーベルはヴァリアス・アンビエント・アーティストのコンピレーション・アルバムをリリースしてきた。ジ・オーブもその中に含まれていて…16曲中4曲と、そう悪くはない感じだ。俺達がやってきたことと言ったら、ただゆっくりと歩みながら時おり彼らに曲を提供することで…今年たまたま1枚リリースされてたよ。しかしガスのアルバム『Gas』は、この独特なサウンドに溢れた、アンビエント・ミュージックを生み出す過程で生まれた初のアルバムだ。彼、ウォルフガング・ヴォイトは全く天才だよ。次のブライアン・イーノになる人だと思っていたし、この一連のアルバム『Pop Ambient』にはさまざまなトラックが収録されている。

曲:「Untitled」(トラック1)
「Untitled」(トラック1)は、数多くのコンパクト・ポップ・アンビエント・サウンドの青写真のようなファースト・トラックであり、そして実に素晴らしいものだ。ウォルフガング・ヴォイトはコンパクトの共同経営者のひとりで、過去に他のレーベルのプロファンやその他奇妙なものを色々と経営していた。彼は非常に多作だったんだ。凄く奇妙な運命のいたずらにより、僕は彼のファースト・レコードを1989年にEGからリリースした(笑)。とんでもなく奇妙な話だろう? 物事は一周して結局元に戻ると僕は信じているんだけど、これは本当に長い一周だったなあ。

 

5: ゲイリー・ニューマン/チューブウェイ・アーミー『Replicas』(1979年)

僕はポスト・パンクの近代主義者みたいなものだった…変なタイプのニュー・ロマンティックではなく、もっと近代主義者よりだったね。そして僕はドラマーのいないバンドを観に行っては、パンク仲間等にこぞって小ばかにされていたよ(笑)。当時は、セカンド・アルバムにはギタリストは要らないと思っていたぐらいなんだ。

曲:「Down In The Park」
この曲は頭から離れないね。そうとう風変わりだろう? あのメロディーはずっと好きだった。ゲイリー・ニューマンはこの頃は自分では何も気づかずにテクノ、ダンス・ミュージックをやっていた。90年代半ばにダンス畑に辿り着いた頃、それに苛立ちを感じるようになっていた。今ではもう上手くやれていると思うけど(笑)。実は1978年にヴェガーズ・バンケットでTシャツを作ったんだ…ずばりチューブウェイ・アーミーの為に。

 

6: シュナイダー・TM『Zoomer』(2002年)

このアルバムは…世間にはあまり理解されなかったね。シュナイダー・TMのヴォーカルを2005年のアルバム『Okie Dokie It’s The Orb On Kompakt』で1曲起用したんだけど、それは僕がこのアルバムが好きだからさ。

曲:「Reality Check」
この曲はまともな生活を送ることについて歌ったナンバー。ヴォーカルが最高なんだ。ちょっとザ・ビートルズに近い感じもするが、これはそのドイツ・スタイルだ。少しだけ訛りがあるが、全て英語で、彼が歌っている内容は理解出来ている気がする。まあ完璧ではないけど。1年半くらいヘッドフォンでこればかり聴いていた。もうこれ以上の賛辞の言葉はないだろう。

 

7: ウルトラヴォックス『Ultravox!』(1977年)

生まれて初めて観たバンドのひとつ。それは1977年5月のことだった。このアルバムはプライアン・イーノがプロデュースしたって知っていた? さあブライアン・イーノ的作品3部作、『Apollo』の次は、この『Ultravox!』だ。

曲:「My Sex」
この曲は、ワークアウトしようとしているティーンエイジャーについての、心から離れないような内容だ。“脚の間にあるのは何だ?” でも本当はとてもとても美しい曲だ。耳に残るドラム・マシーンとジョン・フォックスのヴォーカル。「Hiroshima Mon Amour」もまた美しい曲で、こっちでも良かったんだけどね。

 

8: デヴィッド・ボウイ『Low』(1977年)

僕はデヴィッド・ボウイと同じブロムリーにある美術学校に通ってたんだ。そこで出会ったブロムリーの人達にはその当時セックス・ピストルズを追い駆けているのが大勢いた。あのサウンドとヴィジョンに夢中だった。僕はあんな感じのヘアスタイルをしてたよ。そしてパンク・ブームが来た瞬間、“自分はパンク・ロッカーになる”とみんなが言い出した。それで僕は再び“ロウ”なヘアスタイルにした。以前もスカっぽいソウル・ボーイ風にしていたけど。僕はパンクだったからさ。男のボブに近い感じだね。

曲:「Sound And Vision」
アルバム収録曲はどれも素晴らしい。「Sound And Vision」を挙げたのは、‘ブルー、ブルー、エレクトリック・ブルー、それが僕の部屋の色だから’という歌詞。そしてそれは僕のチームの色でもあり、僕の目の色でもあるからさ。

 

9: エリックB & ラキム『Paid In Full』(1987年)

生まれて初めてこれを聴いたのは、デフ・ジャム・ツアーの時だった。その時に、生まれて初めてくらいに808(ローランドTR-808ドラム・マシーン)をちゃんと巨大スピーカーで聴いたんだ。耳を突き破るような感じでさ、今もあのサウンドを再現しようと頑張っている。ビースティ・ボーイズやRun DMCと同様、悪くはなかったよ。

曲:「I Know You Got Soul」
もう最高。このビートは数多くのレコードを生んだよ。

 

10: ジョイ・ディヴィジョン:『Closer』(1980年)

みんなジョイ・ディヴィジョンのファンだったんじゃないかな。幸運なことに、仕事をしていたバンドのキリング・ジョークが、彼らとツアーしたことがあったんだ。僕はドラム・テクニシャンとして働いていてジョイ・ディヴィジョンに夢中だった。「あのドラム・サウンドはどうやってやったんだ?」とか、ほとんどの時間バンドのドラマーのスティーヴン・モリスに話しかけてたよ。ボーカルのイアン・カーティスのことは分からず仕舞いだったね…他の人達と同様に。みんな彼のことをちょっとよそよそしいと思っていた。でもどっちみちシンガーってみんなよそよそしいもんだろう?

曲:「The Eternal」
同じく、ジョイ・ディヴィジョンの曲なら数多くあり…アルバムを挙げるなら、最高傑作『Closer』。これに対する僕の思いは変わらず、みんながジ・オーブの『Adventures Beyond The Ultraworld』に対して抱いている思いと同じだと思う。つまり、タイムレスでエンドレスなもの。昨日書いたとしてもおかしくないものさ。そして曲を選ぶなら「The Eternal」。あるいは「Love Will Tear Us Apart」か「Transmission」でも良い。イアン・カーティスが不幸にも亡くなったことで、どのアルバムにも収録されることなく、別の形で発表された曲だ。

 

11: クラフトワーク:『The Man-Machine』(1978年)

クスリをかなりやっていた頃によく聴いていたんだ、信じられないかも知れないけどね。クラフトワークのものなら何でも…ファースト・アルバムから『Tour De France Soundtracks』まで何だってこのリストに選べたと思う。おかしな話があるんだけど、納得するのが最も大変だったのが、僕は1981年の、ロボットが登場するクラフトワークのツアーのチケットを持っていたんだけど、僕はキリング・ジョークと仕事をしなければならなくてさ。それで僕のガールフレンドとその友人がふたりで観に行って、物凄く楽しいひと時を過ごしたそうなんだ。僕にもその後チャンスが訪れたんだけど、それがまた不思議な、奇妙な具合でさ…。僕達はジ・オーブとして、クラフトワークのサポートでオーストラリアでギグを何回かやってて、ラルフ・ヒュッターに会う機会があったんだ。その時彼に「一緒に写真を撮っても良いですか?」と訊いたら彼は、「うーん…アレックス、外に出なきゃいけないと思う」と言うんで、「なぜですか?」と言ったら、「ここだとフワフワした雲が写真に写らないよ」と言われたんだ(笑)。

曲:「Neon Lights」
クスリをやりながら「Neon Lights」を聴いて、凄く素敵な体験をしたことがあるんだ。それが再びかなり長い間ちょっと頭から離れなくてさ。こういう特定の瞬間が思い切りフラッシュバックするのは、凄く面白いものだね。あの当時はみんな大型ポータブル・ラジカセを持っていて、自分の大型ポータブル・ラジカセで掛けていた曲のひとつがこれだった。

Alex Orbison with Ralf Hütter of Kraftwerk

アレックス・パターソンとクラフトワークのラルフ・ヒュッター

Written by Jason Draper


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アレックス・パターソンのフェイヴァリット・トラックは、90年代に爆発的人気を博したダンス・ミュージック・ジャンルの土台を作った。これ以降の話を聴くには、プレイリスト『It’s OK To Like Dance 』をフォロー:Spotify

 


 

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