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ABBAの名曲「Gimme! Gimme! Gimme! (A Man After Midnight)」にまつわる逸話と様々なカバー

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1979年11月9日、ロンドン ウェンブリーアリーナ (Photo by Gus Stewart/Redferns)

けばけばしい装飾過多ときらびやかな豪華絢爛さのちょうど真ん中を進んだABBAの楽曲「Gimme! Gimme! Gimme!  (A Man After Midnight) (ギミー!ギミー!ギミー!) 」は、シェールやマドンナのような現代の大物ポップ・シンガーも取り上げる名曲となった。

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マドンナは、2003年の『American Life』をリリースしたあと、再びダンスフロア向きのヒットを飛ばすことを目指していた。そして、そのためには強力なリフレインが必要だった。彼女はABBAのソングライターの二人、ベニー・アンダーソンとビョルン・ウルヴァースに手紙を書き、どうか彼らの楽曲のサンプリングを許可してほしいと頼み込んだ (当時このふたりは、自分たちの楽曲のサンプリングは許可しないという基本原則を貫いていた) 。

この手紙そのものが、音楽界の伝説になり得るものだった。やがてマドンナはサンプリング許諾を得ることに成功。そしてABBAの「Gimme! Gimme! Gimme!  (A Man After Midnight) 」のリフを土台として「Hung Up」を作り上げた。この「Hung Up」は、彼女の長いキャリアの中でも最大級のヒットのひとつとなった。

Madonna – Hung Up (Official Music Video)

レコーディング・セッションでの苦労

マドンナがABBAの代表曲のひとつである「Gimme! Gimme! Gimme!」からリフを借用したのはまさしく適切な判断だったように思える。この曲は1979年8月、リハーサルが直前に迫ったツアーの合間にポーラー・ミュージック・スタジオでレコーディングされた。この曲ではアグネッタがリード・ヴォーカルを担当している。楽曲の発想のヒントになったのは、ビョルンが読んでいたとある本だった。

この曲の初期のヴァージョンでは歌詞は複雑なひねりが効いたものになっていたが、最終的にはよりストレートな内容に落ち着いた。そちらのほうが、このノリのいい曲には合っていたのである。そしてこの「Gimme! Gimme! Gimme!」も他のABBAの楽曲のように複雑なメロディーをダンスフロアで踊れる曲に仕立て上げる彼らのすばらしい能力が存分に発揮されている。

ABBAは、迫力たっぷりのポップなフレーズや複雑でテクニカルなアレンジをじっくりと煮詰めていった。そうして出来た作品はシンプルに聴こえるが、実のところうまく仕上げるのは至難の技だった。こうした見事な技巧は、その後のソングライター達に大きな影響を与えている。とはいえビョルンは、「Gimme! Gimme! Gimme!」に関してはレコーディングで苦労したことのほうが記憶に残っているようだ。彼はこう語る。「いい曲なんだけれども、レコーディングの仕上がりはお粗末の一言に尽きる」。しかし、その意見に今や賛成する人は、あまり多くはないだろう。

ABBA – Gimme! Gimme! Gimme! (A Man After Midnight)

 

リリース後の反響

この曲はベスト・アルバム『Greatest Hits Volume Two』の先行シングルとなり、1979年10月2日に発売された。「Gimme! Gimme! Gimme!」はイギリスのシングル・チャートで最高3位を記録。さらに世界中のチャートで上位にランクインした。

スペインとラテンアメリカでは「Dame! Dame! Dame!」というタイトルでリリースされ、ベスト盤『Gold』のスペイン語ヴァージョン『Oro』のハイライトになった。また、アメリカとカナダはヨーロッパのミュージシャンにとって伝統的に進出するのが難しい地域だったが、「Gimme! Gimme! Gimme!」はディスコで人気を集め、北米でとりわけ人気の高いABBAの曲のひとつになった。とはいえ奇妙なことに「Gimme! Gimme! Gimme!」は本国スウェーデンではシングルとしてはリリースされなかった。ただし輸入盤シングルの売り上げがかなりのものになったおかげで、そのセールスだけでヒット・チャートの16位に達している。

Dame! Dame! Dame!

さまざまなカヴァー・ヴァージョン

「Gimme! Gimme! Gimme!」はリリースから既に40年近く経ったが、それでもなお、人気が衰えていない。それゆえシェールがABBAの楽曲のカヴァー・ヴァージョンから成るアルバム『Dancing Queen』をレコーディングしたときも当然取り上げられ、同アルバムからの最初のシングルにも選ばれている。ただしカヴァーしたのは彼女が最初ではない。21世紀初頭にABBAのティーンポップ・カヴァー・ヴァージョンで人気を博したA★Teensも、この曲をシングルで出している。

けばけばしい装飾過多ときらびやかな豪華絢爛さの中間を進むのは並たいていのことではない。とはいえABBAは、この曲で見事に成功を収めている。「Gimme! Gimme! Gimme!  (A Man After Midnight) 」は挑発的なタイトルが付けられていたものの、ドラマティックな歌詞と魅力的な決めフレーズがしっかりと土台になっていた。それゆえ、シェールやマドンナのような大物ポップス歌手にも取り上げられる作品になったのである。

スウェーデンのスーパースターABBAのすべてのスタジオ・アルバムが、先ごろ初めてカラー・ヴィニール仕様で再発された。この8枚組カラー・レコード・ボックス『ABBA : The Studio Albums』では、オリジナル・アルバムのアートワークが忠実に再現されている。

Gimme! Gimme! Gimme! (A Man After Midnight)

Written By Mark Elliott


ABBA『The Best Selection』
CD / iTunes / Apple Music / Spotify

 



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