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「クリケットは好きじゃないです」との返答から生まれた10ccの「Dreadlock Holiday」
「バス・ストップ」を作曲し、10ccとして活躍するグレアム・グールドマンはジャマイカからの紳士と一度だけ会話を交わしたことがある。覚えているのは「君はクリケットが好きに違いない」とその国の偉大なスポーツ専門家の一人に聞かれて「クリケットは好きじゃないです / I don’t like cricket 」とグレアムが返事をすると「僕は好きだよ / oh no I love it」と彼が返答してきたことだ。1970年代のヒット曲の中でも最も記憶に残る歌詞はこうやって生まれた。
この歌は、ロル・クレームとケヴィン・ゴドレイが10ccを脱退後、今ではグレアム・グールドマンの唯一のパートナーとなったエリック・スチュアートと共に書かれた「Dreadlock Holiday(邦題: トロピカル・ラヴ)」だ。1978年9月23日、コモドアーズの「Three Times A Lady’s(邦題: 永遠の人に捧げる歌)」を押しのけ、この曲がイギリスのチャートの1位に1週間登場、1973年の「Rubber Bullet’s」や2年後の「I’m Not In Love」に続く10cc 、3度目となる1位獲得楽曲となった。
カリビアン調の「Dreadlock Holiday」は一部、バルバドスでエリック・スチュアートが彼の友達、ムーディー・ブルースのジャスティン・ヘイワードと彼の家族と一緒に過ごした休暇からも発想を得ていた。彼らがパラセイリングのボートに乗っている間、もう一人のジャマイカ出身の男がジャスティン・ヘイワードが付けていたシルヴァー・チェーンに大きな興味を示してきたのだ。ジャスティン・ヘイワードはそれが母親からのプレゼントであることを彼に告げた。エリック・スチュワートは帰路に着いたあと、その出来事をグレアム・グールドマンに伝えたことで、このエピソードは「Dreadlock Holiday」のもう一つのキー・イメージとなった。
アメリカではポリドール・レコードよりリリースされたこのシングルは最高44位までしか上昇しなかった。しかしこの曲が2010年のメジャー映画『ソーシャル・ネットワーク』の中で、カレッジDJがミックスする曲として使われ、より大きな影響をファンに与えることとなった。不幸にも、10ccは「Dreadlock Holiday」以降全英シングル・チャートのトップ40に入ったのは、1995年に再録した「I’m Not In Love」は緩やかに29位にチャートインした以外にはなかった。しかし「Dreadlock Holiday 」は最も著名なイギリスのポップ・カタログの一曲として、今もスポットライトが当たり続けている。
Written by Paul Sexton
10cc『Bloody Tourists』