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ジョージ・ハリスンが残したシングルのB面曲を一挙紹介(プレイリスト付)

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遠い昔のこと、すべての重要なシングルにはA面とB面があった。B面曲はレコード会社の重役には軽んじられただろうが、アーティストにとってはアルバムの収録曲の一つとして大切なものでもあった。ジョージ・ハリスンのソロ活動の中にも、B面に収録された名曲が存在し、中には”オリジナル・アルバム未収録”で、シングルでしか聴けなかった至宝とも言うべきトラックがある。我々はジョージによる秀でた(あるいはなかなか出会えない)15曲のB面収録曲を選び、読者に楽しんでもらえるようプレイリストを作成した。

よく知られている通り、ジョージ・ハリスンの「My Sweet Lord」は、「Isn’t It A Pity」との両A面シングルの収録曲として世界中でリリースされている。しかしながら、本国イギリスは例外だった。海外に少し遅れ、1971年1月15日にリリースされたイギリス盤シングルでは、大衆のニーズを見定め、「What Is Life(美しき人生)」がカップリング・ナンバーに選ばれていたのである。その他の多くの国では「What Is Life」は、「My Sweet Lord」に続くシングルのA面に選ばれたが、この際、B面に収録されたのは(「My Sweet Lord」や「What Is Life」、「Isn’t It A Pity」と同様)アルバム『All Things Must Pass』に収録された「Apple Scruffs」だった。これはジョージがビートルズの熱烈なファンに向けて書いた1曲である。

1971年になると、シングルのリリースも一般的なパターンに落ち着いてくる。同年の「Bangla Desh」のB面に選ばれたのはアルバム未収録曲「Deep Blue」だった。この曲は、ジョージが末期ガンに苦しむ母を見舞ったことをきっかけに書いた感動的な楽曲だった。「Bangla Desh」に続いてリリースされたシングル「Give Me Love (Give Me Peace On Earth)」にもアルバム未収録のB面曲がカップリングされた。ウィットに富んだ1曲「Miss O’Dell」である。このB面曲のモデルとなったのは元アップル・コアのスタッフで、後にデレク&ザ・ドミノスやローリング・ストーンズなど数々のバンドに、彼らの求める物の調達役、あるいはトラブルの揉み消し役として関わることになる女性である。

1974年にリリースされたアメリカ盤シングルのA面曲「Dark Horse」は、この年にジョージがリリースした同名のアルバム『Dark Horse』の収録曲だったが、B面の「I Don’t Care Anymore」は例によってオリジナル・アルバムでは聴くことのできないトラックだった。イギリスでは、シングル「Dark Horse」のB面にはアルバム『Dark Horse』のオープニング・トラック「Hari’s On Tour」が採用されたが、『Dark Horse』からの次のシングル「Ding Dong, Ding Dong」のB面に「I Don’t Care Anymore」を選択。一方、アメリカでは「Ding Dong, Ding Dong」がシングル・カットされた際のカップリングに「Hari’s On Tour」が採用されている。

『Extra Texture(ジョージ・ハリスン帝国)』からシングル・カットされた魅力的な「You(二人はアイ・ラヴ・ユー)」のB面には、同じ『Extra Texture』に収録されていた「World Of Stone(悲しみの世界)」が選ばれた。また、『Extra Texture』からの次のシングル「This Guitar (Can’t Keep from Crying)(ギターは泣いている)」のカップリング・ナンバーは『Dark Horse』所収の「Maya Love」だった。

1976年作『Thirty Three & 1/3(33 1/3)』からの最初のシングルのA面に選ばれたのは「This Song」で、同曲のB面には、やはり『Thirty Three & 1/3(33 1/3)』に収録されている「Learning How To Love You(愛のてだて)」が選ばれている。イギリスでは、『Thirty Three & 1/3(33 1/3)』から独自に「It’s What You Value」もシングル・カットされているが、そのB面に収録されたのも『Thirty Three & 1/3(33 1/3)』のオープニング・トラック「‘Woman Don’t You Cry For Me(僕のために泣かないで)」である。

「Blow Away」は自身の名を冠した1979年のアルバム『George Harrison(慈愛の輝き)』からのシングルだった。これをA面に配したシングルは、イギリスでは「Soft Touch」、アメリカでは「Soft-Hearted Hana」をB面にリリースされているが、これらはいずれも『George Harrison』の収録曲だった。

『Somewhere In England(想いは果てなく〜母なるイングランド)』からのシングルで、空前の大ヒットとなった「All Those Years Ago(過ぎ去りし日々)」にカップリングされたのは聴き手の心を揺さぶらずにおかない「Writings On The Wall(神のらくがき)」だった。これはジョージの残した最高のB面曲に挙げられるべきトラックだ。アルバム『Gone Troppo』からの2枚目のシングルとしてリリースされた「I Really Love You」は、1961年にステレオズがリリースした楽曲のカヴァーだ。同曲のB面に併録されていた「Circles」も『Gone Troppo』の収録曲だが、こちらは1968年にジョージが書いた曲だった。その年、ジョージは、ビートルズのメンバーと共に、マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーのもとで超越瞑想を学ぶためにインドを訪れているが、この曲はそのときに作られている。

1987年のアルバム『Cloud Nine』からのシングル「When We Was Fab(FAB)」のカップリング・ナンバー「Zig Zag」は、ジョージとジェフ・リンが、映画『上海サプライズ』のために共作した作品だったが、オリジナル・アルバムには収録されなかった。

ジョージが亡くなってからおよそ2ヶ月を経た2002年1月、リード・トラックに「My Sweet Lord」を配した3曲入りのCDシングルがリリースされた。チャリティ盤として発売されたこのディスクには、1970年から71年にかけてヒットした「My Sweet Lord」のオリジナル・ヴァージョンなどに加え、アコースティック・ギターを伴った、繊細で美しい「Let It Down」のリハーサル・テイクも収録されている。ジョージ・ハリスンの”B面”を振り返った本稿の締め括りにまたとないトラックと言っていいだろう。

Written By Richard Havers


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