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“スワンプ・ロック”のパイオニア、トニー・ジョー・ホワイトが75歳で急逝
「Rainy Night In Georgia」や「Polk Salad Annie」などの名曲を手掛け、歌手や作曲家として高く評価されるトニー・ジョー・ホワイトが、10月24日午後、テネシー州ライパーズ・フォークの自宅で心臓発作のため急逝した。享年75歳。彼は最近ニュー・アルバム『Bad Mouthin’』をリリースしたばかりだった。
彼の息子、ジョディ・ホワイトがテネシアン紙に語ったところによると、「父は全然病気ではなありませんでした。急に心臓発作になって、痛みも苦しむこともなく亡くなりました」。彼のソーシャル・メディアでは「大きな悲しみと共に、トニー・ジョー・ホワイトが75歳で亡くなったことをご報告します。真の伝説だった彼は、本物のアーティストとして人々の記憶に残っていくことでしょう」と綴られている。
1943年7月23日、ルイジアナ州のオーク・グローヴ近郊で、7兄弟の末っ子として生まれたトニー・ジョー・ホワイトは、1969年にデビュー・アルバム『Black and White』をリリースし、そのしわがれ声のヴォーカルとトレードマークとなった”スワンプ・ロック”サウンドで知られるようになった。このデビュー作は全米チャートで51位を獲得し、収録曲「Polk Salad Annie」は全米シングル・チャートで8位まで上り詰め、彼名義のシングルとしては、初の大々的なヒットとなった。
1969年後半に発表したアルバム『…Continued』は183位を、1971年、ワーナー・ブラザーズへ移籍後にリリースしたセルフ・タイトル・アルバムは最高167位を記録したが、その頃までに彼は自身の楽曲のカヴァー・ヴァージョンによっても名を成していった。『…Continued』に収録されていた「Rainy Night In Georgia」のブルック・ベンソンによるカヴァーは1970年のR&Bチャートで1位を、ポップ・チャートでも4位を獲得した。その後もこの楽曲は多くのアーティストによってカヴァーされたが、1981年のランディ・クロフォードによるカヴァーも全英シングル・チャートでTOP20入りを果たす成功を収めた。
その後も、彼の楽曲「Polk Salad Annie」をエルヴィス・プレスリーがカヴァーし、ライヴや複数のライヴ作品の中でフィーチャーされたことで、彼の名前が広く知られるきっかけになった。エルヴィス・プレスリーによるライヴ・アルバムの1作は、1973 年の全英アルバム・チャートで23位を獲得している。1989年に世界的ヒットを記録したティナ・ターナーの「Steamy Windows」も彼の作品で、彼はこの曲のレコーディングで、ギター、ハーモニカ、シンセサイザーを演奏している。
ティナ・ターナーは、トニー・ジョー・ホワイトが演奏とプロデュースで参加しているアルバム『Foreign Affair』の中でも彼の曲「Undercover Agent For The Blues」をカヴァーしている。また、彼女が1996年のアルバム『Wildest Dreams』に収録したスティングとのデュエット曲「On Silent Wings」をシングル・カットしたことからも、彼の楽曲を高く評価していたことが伺える。この楽曲もまた全英シングル・チャートでTOP20入りを果たした。
トニー・ジョー・ホワイトは多くのレーベルからコンスタントにアルバムを出し続け、2000年に突入しようとしていた頃に契約を結んだユニバーサルのヒップ-O・レコードからの新作『One Hot July』リリースし、メジャー復帰を満喫していた。それに続くアルバム『Heroines』は、エミルー・ハリスやルシンダ・ウィリアムズ、シェルビー・リン他、女性アーティストたちとのデュエット作品になっている。直近で契約していたYep Roc Recordsからは、遺作となった『Bad Mouthin’』と2016年の『Rain Crow』をリリースした。
「彼はこの5年間、Yep Roc Recordsを支える最も重要なアーティストでした。心よりお悔やみ申し上げます」とレーベルはツイートの中で述べている。型破りなカントリー歌手、ウェイロン・ジェニングスの息子であるシューター・ジェニングスは「とても悲しい訃報です。彼は僕の父にとってナッシュビルの親友でした」と綴っていた。
Written by Paul Sexton
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