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映画『フリー・ガイ』サントラ・アルバムに収録されている9曲のオリジナル楽曲を解説
2021年8月13日、アメリカと同日公開となった映画『フリー・ガイ』はルール無用・何でもありのオンライン・ゲーム<フリー・シティ>の世界を舞台に、ゲームの中のサエないモブ(背景)キャラのガイが、プログラムを無視して“いい人すぎる”ヒーローとして自分勝手に立ち上がる物語で、『デッドプール』で名を挙げた俳優のライアン・レイノルズが主演となる。
ゲームが主題のストーリーなのでゲームの小ネタが多く登場するなかで、音楽も重要な役割を果たしています。この記事では映画のサウンドトラックに収録されたスコア4曲以外のオリジナル楽曲9曲を、音楽ジャーナリストの高橋芳明さんに解説頂きました。
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1. マライア・キャリー「Fantasy」
1995年、当時向かうところ敵なしだったマライア・キャリーのヒップホップ路線を磐石なものにしたキャリア通算10曲目の全米ナンバーワンヒット。グランドマスター・フラッシュ&ザ・フューリアス・ファイヴ「It’s Nasty」を踏まえたトム・トム・クラブ「Genius of Love」の大胆な引用が光る。
2. AG「Legendz (feat. Devvon Terrell)」
フロリダ出身のプロデューサーAGことエイドリアン・ゴンザレスとブルックリン出身のラッパー、デヴォン・テレルとの2019年のコラボ。アメリカのケーブルテレビシリーズ『クローク&ダガー』の挿入歌としても使われたことがある。
3. ロジック「100 Miles and Running (feat. Wale, John Lindahl)」
昨年ラッパー活動からのリタイアを宣言するも、先日突如引退を撤回したロジックの2018年作『YSIV』収録曲。ヒップホップ黎明期から愛され続ける定番ブレイクビーツ、インクレディブル・ボンゴ・バンドの「Apache」をサンプリングしたファンキーなナンバー。
4. デジタル・アンダーグラウンド「The Humpty Dance」
伝説のラッパー、2パックが在籍していたことでも知られる大所帯ヒップホップ集団、デジタル・アンダーグラウンドが1990年にリリースした出世作にして代表作。豪快なファンクサウンドが支持を集めて100万枚を超えるセールスを達成した。
5. フレッド・アステア「Cheek To Cheek」
ハリウッドのミュージカル映画全盛期を代表する名優フレッド・アステアが、1935年公開の主演作『トップ・ハット』の挿入歌として発表した全米ナンバーワンヒット。作曲は「White Christmas」を手掛けたアメリカを代表する音楽家、アーヴィング・バーリン。
6. ママ・キャス「Make Your Own Kind Of Music」
「California Dreamin’」のヒットで知られるママス&パパスの中心メンバー、ママ・キャス(キャス・エリオット)が1969年にリリースしたソロアルバムの表題曲。ライチャス・ブラザース「You’ve Lost That Lovin’ Feelin’」を書いた夫婦ソングライターコンビ、バリー・マンとシンシア・ウェイルの代表作でもある。
7. フランキー・ヴァリ「Can’t Take My Eyes Off You」
映画『ジャージー・ボーイズ』で再び脚光を浴びたフォー・シーズンズのリードシンガー、フランキー・ヴァリによるポップ史に燦然と輝く名曲。日本においては「君の瞳に恋してる」の邦題でおなじみ。ボーイズ・タウン・ギャングによるディスコヴァージョンも名高い。
8. マクファデン&ホワイトヘッド「Ain’t No Stoppin’ Us Now」
フィラデルフィアソウルの数々の名作に携わったジーン・マクファデンとジョン・ホワイトヘッドのコンビが1979年に放ったディスコヒット。ルーサー・ヴァンドロス、スパイス・ガールズ、ジョージ・マイケルなど、著名アーティストによるカバーも多数。
9. ジョーイ・スキャベリー「Theme from The Greatest American Hero」
カリフォルニアのシンガーソングライター、ジョーイ・スキャベリーが1981年に発表した唯一のヒット曲。アメリカのコメディドラマ『アメリカン・ヒーロー』の主題歌として人気を博し、全米チャートで最高2位にランクインした。
Written by 高橋芳朗
『フリー・ガイ オリジナル・サウンドトラック』
2021年8月13日発売
国内盤CD / iTunes / Apple Music / Spotify
映画『フリー・ガイ』
8月13日(金)映画館だけで公開
公式サイト
ヒーローらしからぬ自由奔放なスタイルとクールで過激なアクションで、世界中を魅了した「デッドプール」シリーズのライアン・レイノルズが、何でもありの≪ゲームの世界≫を舞台に、今度はありえないほど“平凡すぎる”新キャラクターに挑む。
ライアン・レイノルズが自ら現代版「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と呼ぶ、新たな時代ならではの新感覚アクション・エンターテイメント。
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