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エレクトロ・デュオの草分け、シルヴァー・アップルズのシミオン・コックスが逝去。その半生を辿る

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Photo: Mick Hutson/Redferns

エレクトロニック・ミュージックの草分け的デュオとして知られるシルヴァー・アップルズ(Silver Apples)のシミオン・コックス(Simeon Coxe)が2020年9月8日に82歳で逝去した。シミオン・コックスの訃報に関する公式声明には次のように記されている。

「シルヴァー・アップルズのシミオン・コックスが、2020年9月8日(火)午前4時に安らかに亡くなりました。享年82歳(1938年6月4日〜2020年9月8日)。彼は体内への酸素の取り込みがうまくいかなる進行性の肺疾患、肺線維症と闘病していました。彼は、長年の伴侶で、創作面の共作者でもあったリディア・ウィン・レヴェート(Lydia Winn Levert)と弟のデイヴィッド・コックス(と彼の妻であるフォスター)、そして甥のアーロン・コックスとその家族を後に残しました」

テネシー州ノックスビルで生まれたシミオン・コックスは、7歳からの幼少期をニューオーリンズで過ごした。1970年代にはアーティスト、そして70年代から80年代にかけてアラバマ州モービルのローカル局“WKRG”や、州外のテレビ局などでニュース・リポーター兼プロデューサーとして活躍していたが、世界的に最もよく知られているのは、エレクトロニック・ミュージック・デュオ、シルヴァー・アップルズでの活動である。

60年代後半にエレクトロニック・ミュージシャンとなったシミオン・コックスは、 当時在籍していたオーバーランド・ステージ・エレクトリック・バンド(Overland Stage Electric Band)で、元々米軍で使われていた発振器を使って演奏していたが、新たな音楽に対する彼の未来的なビジョンは、バンド・メンバーの理解を得られず、その多くが脱退していった。その後シミオン・コックスと唯一残ったドラマーのダニー・テイラーは、1967年にシルバー・アップルズを結成する。

ドラムと“積み上げられた9つの可聴周波発振器と、リード、リズム、ベース・パルスを手や足、肘を駆使して操る86個のマニュアル操縦装置(彼らのデビュー・アルバムのライナー・ノートの解説によると)”で構築された自家製シンセサイザー、そしてシミオン・コックスのヴォーカルとで奏でられる彼らの音楽は実に画期的だった。

最初の2作のアルバム『Silver Apples』(1968年)と『Contact』(1969年)で創り出されたサウンドは、現代においても影響力を持っているが、当時の彼らは短命なプロジェクトに終わった。アルバム『Contact』のプロモーションのために短期間ツアーを行った後、バンドはパンアメリカン航空(通称:パンナム)に訴えられてしまった(ジャケット写真の表面で、彼らがコックピットに座り操縦している飛行機には明らかにパンナムのロゴが貼られており、その裏面では墜落した飛行機が描かれていた)ために、彼らサード・アルバムはお蔵入りとなり、解散に至った。

Oscillations

1996年になって、新ラインナップで再結成されたシルヴァー・アップルズは、ライヴ活動を再開し、彼らの3作目のアルバム『The Garden』を発表。シミオン・コックスは、1998年にツアーバスの事故により首を骨折する大怪我を負ったが、その後は充分に回復し再び活動に復帰している。

ダニー・テイラーは2005年に癌のため他界したが、2007年に、シミオン・コックはソロ名義で再びシルバー・アップルズを復活させ、ツアーを再開。イギリスでは頻繁に公演を行い、2016年にはニュー・アルバム『Clinging To A Dream』をリリースした。

シミオン・コックスの訃報を受けて、彼が影響を与えたミュージシャンたちが追悼を捧げている。

ポーティスヘッドのジェフ・バーロウは次のようにツイートしている。

「シメオン・コックスよ、安らかにお眠りください。本当に素晴らしい人でした。ここ何年にもわたって何度も一緒に時を過ごした彼は、音楽面だけでなく、人生においても私のインスピレーションでした。彼とダニーは天国でもシルバー・アップルズとして活動していることを願っています。とても悲しいです。エイドリアン・ウトレイに、彼らを紹介してくれてありがとう」

Written by Tim Peacock




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