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クイーンのブライアンとロジャーが語るライヴでのリハーサルの重要性と“カイゼン”
英国のロック・バンド、クイーン(QUEEN)の公式YouTubeチャンネルにて2023年1月20日日本時間21時に『Queen the Greatest Live』が50週にわたり公開されることが決定した。
この企画は、2021年3月19日から50週にわたって公開されたミニドキュメンタリー『Queen the Greatest』に続くもの。前回のシリーズはクイーンを様々な面から紹介したもので、コアファンからライトファンまで好評を博し、全体で1630万再生を記録した。
今年50週にわたって配信される『Queen the Greatest Live』は、50年に及ぶクイーンのキャリアから、貴重な蔵出しライヴ映像や、最新パフォーマンス、舞台裏を明かすインタビュー等が公開される予定となる。長年バンドと協力関係にあるマルチメディア・コラボレーターのサイモン・ラプトンが細心の注意を払い、映像素材をまとめ上げて完成した本シリーズは、前シリーズに続き、筋金入りのコア・ファンにとっても新たな発見のある嬉しい内容のものとなっている。
また、今回の新シリーズの復活に合わせ、クイーンの名曲「We Are The Champions(伝説のチャンピオン)」を元にブライアン・メイが新たなオープニング・テーマを特別に作り上げている。
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クイーンのライヴの歴史
ロンドンの有名老舗ライヴ・ハウス〈マーキー・クラブ〉で1973年に行われた数百人規模の最初期ライヴから、オーストラリアのシドニーで7万人超の観客を前に披露された近年のコンサートまで、クイーンのライヴ史において一つ不変なのは、バンドのパフォーマンスを成功に導くために彼らが最も重要だと考えている側面、つまりリハーサルに対する彼らの真剣な取り組み方だ。
〈ライヴ・エイド〉から〈ロック・イン・リオ〉に至るまで、クイーンの伝説的コンサートというのは常に、何ヶ月もかけて忍耐強く入念に行ってきた準備がようやく実を結ぶヤマ場であった。今回の“エピソード1”の中でブライアンとロジャーが説明している通り、リハーサルとサウンドチェックの工程は、毎晩のステージで魔法のような瞬間を生むのに欠かせない重要な部分であり、広く知られる壮大なクイーン・サウンドを構築するのに役立つだけでなく、扱いの難しい音楽的ギアチェンジを素早く確実なものにすると同時に、めったにセットリストに登場しない曲の洗い出しにも一役買っている。「そして、もしサウンドチェックでうまくいけば、翌日の晩にはそれを入れるんだ」と、ブライアンは語っている。
この“エピソード1”では、最新インタビューに交えて、過去及び現在のクイーン・ツアーから舞台裏の映像も提供。最近の映像では、ロジャーが楽器や機材の性能を試していたり、フロントマンのアダム・ランバートがスタジアムの音響をテストしている様子が窺える。だが、同時に今回のエピソードには、ブライアンがペダルボードを弄っている一方で、フレディ・マーキュリーが誰もいない観客席に向かって「Tie Your Mother Down」を歌っているといった、アルバム『News Of The World(世界に捧ぐ)』時代のサウンドチェックの様子など、懐かしの秘蔵映像も満載だ。
リハーサルの重要性を語るブライアンとロジャー
我々の旅路はまず、クイーン・ツアーを成功に導くために不可欠な第一の要素、つまり、リハーサルの重要性について語る、ブライアン・メイとロジャー・テイラーの独占インタビューで幕を開ける。
ブライアン・メイ :「ツアー前に行うリハーサルでは、いつもちょっとした驚きがあるんだ。どれだけ覚えているか分からないし、前と同じ感覚が得られるかどうかも分からないからね。だけど、一旦、試しにやってみ始めると、自分の中に、身体中の血管に、曲が間違いなく戻って来る。その様には驚かされるよ」
ロジャー・テイラー:「僕らは普段、1曲丸々頭から通しで演奏してみて、それがライヴでうまくいきそうか確認するんだ。中には、刺激的だったり、観客を巻き込んだり、引き付けたりするようなパフォーマンス、つまりライヴ・パフォーマンスにはあまり向かない曲もある。だから、アルバム曲の中にはライヴで一度も演ったことのないものが結構あるんだけど、それには恐らくそれなりの理由があるんじゃないかな」
ブライアン・メイ:「僕らの場合、色んな曲を沢山試してみて、その後で『ああそうだ、これはこの前やったよね。じゃあ、あっちをやろうか』となることが結構多いんだ。そうしているうちに、あっという間にラフなセットが出来上がる。リハーサルには沢山の目的があるんだよ。サウンドについて検討したり、客席にいる人達にとって全てが準備万端に整っているかどうかを正面側から確認したりするのも含めてね。 モニターをチェックして、お互いがちゃんと聞こえるように、例えば、ロジャーの音が僕に聞こえ、僕がロジャーに聞こえるよう確かめるんだ」
ブライアン・メイ:「照明や、全体の演出についても同様でね。だから、リハーサル期間中にやるべきことは物凄く沢山ある。それで、やり残したこと色々とある状態のまま、本番になってしまいがちなんだと思う。だから、ツアーに出た初日の晩も、まだ仕上げが済んでいない状態でステージに上がることがあるんだ。まだまだ制作進行中の作品だってことさ。でも、それがこの仕事の本質なんだよね。完璧にはなれない。完璧な着地なんて不可能なんだ。それでも肝心なのは、まず着地すること。そこから目指す場所に向かって進化していく。だから、ツアーが終わる頃には、とても良くなっているよ」
こういった進化を、クイーン・ツアー全体を通して確実に続けていくためには、各公演当日の貴重な数時間が極めて重要な鍵となる。
ブライアン・メイ:「サウンドチェックは、ツアーにおける基本中の基本なんだ。ツアー中にサウンドチェックを行わなかったら、何の変化も起きず、死んだも同然の状態になってしまう。それが僕の感覚なんだ。ロジャーもそう感じているはずだよ」
ロジャー・テイラー:「セットアップにしても、サウンドにしても、全ての配置を正確に把握していない限り、僕らはどうしても満足がいかない。たとえ同じ会場で数夜ライヴを行う場合であってもね。 翌日には、全てが求める通りのサウンドになっているかどうか確認しに行きたくなる。チューニングが正しいかどうか。何もかもが適切かどうかって……。前の晩、何か満足のいかないことがあったかもしれないだろ。そこを修正したくなるんだよ。それから、曲を変更したり、セットに加える新しい曲をリハーサルしたりと、とにかく色々試してみるんだ。だけど思うに、間違いなくブライアンも僕も、何の準備もせずぶっつけ本番で臨むのは好きじゃないんだよ。全てが正しい状態にあり、何もかもがうまくいくよう確かめておきたいんだ」
ロジャー・テイラー:「サウンドチェックね。普段は午後4時に、まず僕が一番乗りする。ブライアンは間違いなく時間がかかるから、最初に行けば、僕は短時間で済ませられるだろ。そのあと、ステージを他の面々に明け渡し、彼らがリズム、ベース、キーボードなど、技術的なことやハーモニーといった諸々のおさらいをして確認する。 それからブライアンがやって来て、自分の音を出す。そのあと僕を含めた皆でユニットとして集まり、アンサンブルを演奏するんだ。そう、普段はそんな風に進めるね、うん」
ブライアン・メイ:「僕らがサウンドチェックと呼んでいるもの、その一部は確かに音をチェックするためで、それは常に必須だ。でも、残りの部分は色んなことを試すためにある、たとえそれがほんの数小節であってもね。例えば、『昨夜は何が起きたっけ? ああ、あんなことがあったな。じゃあこれをやったらどうだろう?』とかね。そうやって、徐々に少しずつライヴを進化させていき、うまくいかなかった部分を少しずつ見つけては見直していくんだ。もしかしたら、改善出来るかもしれない。『よし、試してみよう。この曲はもう何年もやっていなかったよな。こいつをやってみるってのはどうだい?』ってね。そして、もしサウンドチェックでうまくいけば、翌日の晩にはそれを入れるんだ」
ブライアン・メイ:「でも、(その改善点というのは)様々なタイプの、ほんの些細な、取るに足らないような、ごく小さなことである場合もある。 例えば、『もし僕がこれをやって、そう、君があれをやったら、確かに普通は矛盾するよね、それなら、もしかして、お互いに……ああ、うん、OK。それじゃ僕はこうしよう』ってね。そして、そういった些細なところを調整することで、より良いものになっていく。日本で言うところの“カイゼン”というやつなんだ。つまり、ごく些細なことを現場で少しずつ色々と見直していく活動を続けていると、突然全体が改善を示す。だから、僕らのライヴは非常に良いものになるんだ。というか、良いものであってほしいと願っているよ。人々は『良い』と言ってくれているしね」
Written By uDiscover Team
クイーン『The Miracle Collector’s Edition』
2022年11月18日発売
国内盤: 5CD/DVD/Blu-ray/LP
国内盤: 2CD
輸入盤: 7inchアナログ
*日本盤には『THE MIRACLE RADIO INTERVIEWS』の訳、映像の字幕付き
ロジャー・テイラー『The Outsider Tour Live』
2022年9月30日発売
日本盤CD:2022年12月21日発売
CD / iTunes Store / Apple Music / Amazon Music
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